2012年05月06日

【その他】Z/X体験会感想+理論

土曜日にA級戦犯君と池袋のアメニティで行われたZ/Xの体験会に行ってきた。
他の体験会では満員で立ち見まで出たらしいが、今回は参加者は10人程度で快適にプレイ出来た。
ゲームの流れは実にオーソドックス。ゼクス(クリーチャー)をイベントカードで補助してライフを削りあうというもの。カードの運用コストに関してもありきたりなマナシステムを採用しており、手札のゼクスやイベントをマナリソースにするものでかなりDMに近い。
戦闘については攻撃側が圧倒的有利で殴り返しをメインに進行し、ヴァンガードのそれに近かった。ウリとして掲げているイグニッションシステムは要するにトリガーチェック。一定の条件を満たしてイグニッションを行うことで、デッキの一番上のカードが特定のカードであればコストを踏み倒せる。
参加賞として参加者全員に紙製のプレイマット、デッキ、プレイヤーカード(ランダムで1枚)、小冊子がプレゼントされる。ジャンケンで勝った人にはセパレーターやプレイヤーカードセットが配られたりしていた。
無料でやる分には新鮮味もあってそこそこ面白かったが、これに金を払えるかと言われると、はっきり言って払えない。駆け引きが単調かつ運に頼る要素が大き過ぎて、どうも底が浅いというかこれから先の展開が不安になる感じだった。とはいえ最初が複雑過ぎても困るし、カードゲームの始まりなんてこんなものなんだろうかね。
P1030596.JPG
デッキ(左)とプレイヤーカード(右)
P1030609.JPG
女の子の設定がヤバい

以下のカード理論は、一緒に体験会に行ったA級戦犯君の協力を得ている。
一通りのルールがわかっていることが前提なので、わからない人は最寄の体験会へ。

☆試合の流れ
圧倒的に攻撃側有利なゲームで、中盤以降リソースが溜まってきた頃に手札を叩き込めばライフ2点くらいは削れる。つまり実質的なデッドラインは大体2点で、この2点に至るまでの攻防がメインになりそう。デッキが切れた際に発生する1点のペナルティは相当に痛いが、ペナルティを恐れるよりはガツガツイグニッションしていった方がいいだろう。
4枚のライフ回復はほとんど起こらない。少なくともプレイした中では全く起きなかった。このシステムのおかげでライフラスト1枚でも負け確の状況がないとはいえ、ラストで発生する方がバグという感じもする。ライフ回復したからといって生き延びるとも限らないしね。

☆アドバンテージ収支
・カードアドバンテージ
破棄されたゼクスは1体につき1回がイグニッションの権利を得るが、このイグニッションは数値でいうとどのくらいのカードアドバンテージに相当するのかという話から入ろう。イグニッションを持つカードはデッキの中に50枚中20枚存在し、特にサーチカードの類のカードは存在していないのでゲーム中はデッキの中でこの比率が維持されると考えてよい。よって、イグニッションの成功確率は20/50=0.4であり、(イグニッションが成功すると1アドバンテージを得るから、1をかけて)1回のイグニッションは0.4アドバンテージと考えられる。つまり、戦闘で破棄されたゼクスのディスアドバンテージは-1から0.4だけ回復して-0.6だし、カーズディフュージョンは1:0.6交換ということになる。
これを使って少しカードアドバンテージの計算をしてみよう。
ラスキウスとインペラトルジャッジを使ってクレオパトラを叩く場合。相手はクレオパトラが破棄され、チャージゾーンへ行く。自分はイベントを1枚使い、ラスキウスの効果によってチャージを1枚得る。
相手:-1+0.4=-0.6
自分:-1+0.4=-0.6
以上、カードアドバンテージは±0。
では、このジャッジを絡めたラスキウスが相手のジャッジで捌かれた場合はどうなるか?
相手:-1
自分:-1-1+0.4=-1.6
カードアドバンテージは-0.6で損失が大きい。

・コストアドバンテージ
要はマナアドバンテージ。イグニッションによるコストアドバンテージについて。初期デッキにおいては2コストのイグニッションが8枚、3コストのイグニッションが12枚であったから、得るアドバンテージと確率を乗じ期待値を計算するとチャージ1枚が持つ潜在的なコストアドバンテージは
0.4*(2*8/20+3*12/20)=1.04
と考えられる。先程と同様にラスキウスとインペラトルジャッジを使ってクレオパトラを叩く応酬のコストアドバンテージを計算すると、
相手:-3+1.04=-1.96
自分:-1
で+0.96。また、ラスキウスがジャッジで捌かれた場合は、
相手:-1
自分:-1-2-+1.04=-1.96
で-0.96となる。

☆2マナ圏内のイベントカードについて
DMやMtGのようにマナシステムを採用しているTCGと比べて、マナシステムに関してZ/Xに特徴的なのは「初期リソース2が存在する」という点。先攻プレイヤーが先攻1ターン目から3コスト圏のカードを送り出せるだけではなく、攻撃宣言があった場合は後攻プレイヤーが後攻0ターン目に2コスト圏のカードを使用することが出来る。
これが如何に大きな意味を持つか、後攻1ターン目が終了するまでの応酬を考えてみよう。
まずは体験会でも推奨された、先攻1ターン目に1コストをチャージ→3コスト4500パワーのゼクスをキャストしてアタックという標準的な流れ。このアドバンテージ収支は以下。
カードアドバンテージ
相手:±0
自分:-1+0.4=-0.6
コストアドバンテージ
相手:±0
自分:-3+1.04=-1.96
先攻はドロー不可の制約があるのでカードアドバンテージ的にはそれ程得をしていないが、一方的に相手のゼクスを叩き相手のゼクスを破棄したことで、コストの面では大きく優位になったことがわかるだろう。こうしたコストアドバンテージ由来のテンポを得ることが出来るのが先攻の特権であり、後攻2ドローのカードアドバンテージと比べた利点である。
次に、このアタックを後攻プレイヤーがカーズディフュージョンで捌いた場合。
カードアドバンテージ
相手:-1+0.4=-0.6
自分:-1
コストアドバンテージ
相手:-3+1.04=-1.96
自分:-2
カードアドバンテージについては2ドローを加味すると後攻有利なのはさっきと同じ。コストアドバンテージで見ると数値でこそ損失にそれ程大きく差があるようには見えないが、前述の通りお互いのリソースは開始時点で2コストずつ存在しているのがポイント。後攻1ターン目開始時には後攻プレイヤーがカーズディフュージョンで失ったリソースは全て回復するため、後攻プレイヤーのリソース損失は0である。別の言い方をすれば、1ターン目において先攻が使えるリソース3に対して後攻はリソースを2+3=5だけ持っているとも言える。後攻は0ターン目にはカードを使えない場合も多く、その場合は2コストがふいになることでコストリソースはトントンになるが、「2コスト圏内のイベントカード」に限っては例外的に後攻0ターン目に2コストを使用することが出来る。これを上手く使えた場合は元々カードアドバンテージ的には優位である後攻は更に大きく優位に立つ。
以上、「カーズディフュージョン」は初期デッキにおけるキーカードといっても差し支えないし、これから先イベントカードの数が増えてきても「2コスト圏内のイベントカード」は大きな価値を持つカードとして評価出来る。
ちなみに、1コストのイベントカードであるインペラトルジャッジも理論的には同じような運用が可能とはいえ、先攻1ターン目に出やすい4500パワーのゼクスに対応出来ないのでイマイチ。これでアタックを捌けるケースは、例えばラスキウスとジャッジが絡んだアタックのように相当限られてくる。

☆スクエア解説
zx_square.jpg
便宜的にスクエアに名前をつける。Aが自分のプレイヤースクエア、Fが相手のプレイヤースクエア。
・各スクエア
 Aスクエア
プレイヤーの所在地であり、守るべき場所。このスクエアに展開したゼクスのみが得る大きな特徴として、「他のスクエアよりも若干破棄されにくくなる」というものがある。現在のところ、全てのカードが持つ火力と除去で対象に出来るのはノーマルスクエアのゼクスのみで、プレイヤースクエアのゼクスは戦闘で排除しなければならない。破棄のされにくさも相まって、大きめのゼクスを配置するとライフを守りやすくなるだろう。
 Bスクエア
自身のプレイヤースクエアの脇2つ。プレイヤースクエアを叩こうとする敵ゼクスが展開する場所である。また、ここに自軍ゼクスを配置すると、これを排除されない限りはプレイヤースクエアを同時に叩ける敵のゼクスは2体までになる。Cスクエアは激戦区で除去されやすいので、プレイヤースクエア以外に固めるならここか。また、Aスクエアには敵ゼクスが展開出来ないため、Bスクエアに展開されたゼクスはDスクエアからしか叩けない。更に、Bスクエアのゼクスを叩くために展開されたDスクエアのゼクスはAスクエアを叩けないので、破棄された後も防衛効果を期待出来る。
 Cスクエア
中心地。隣接するスクエアが多く、特にそれぞれ最優先で展開すると思われるプレイヤースクエアにも隣接しており、殴りやすく殴られやすい。Aスクエアと隣接しているため、自分のプレイヤースクエアを守りながら敵のプレイヤースクエアを叩ける。
 Dスクエア
自分のプレイヤースクエアを守るでもなく、相手のプレイヤースクエアを叩くわけでも無い微妙なポジションのスクエア。Fスクエアに展開された敵ゼクスはDスクエアからしか叩けないし、Cスクエアを殴れるのはこことプレイヤースクエアのみ。補助的な戦闘をするスクエアと言える。
 Eスクエア
主に敵のプレイヤースクエアを叩きに行くスクエア。Cスクエアではなくここにゼクスを展開するメリットは、三方から叩かれる危険が無いこと。逆にここにゼクスを置くと自分のプレイヤースクエアがガラ空きになるのでライフが削られやすくなるリスクもある。相手のプレイヤースクエアに畳み掛ける時はCスクエアだけではパワーが足りないことが多く、相手のプレイヤースクエアを叩けるスクエアとしてゼクスを展開する機会はそこそこ多い。
 Fスクエア
敵陣。

☆スタートカードの選択
初期デッキのスタートカードについて。
現状ではクレオパトラかボーンキーパーの二択。スペックが同じかつデッキ内の色の配合比は等しいので、結局のところスタートカードの選択はスタートカードを弾いたデッキ状態に集約されてくると考えてよい。具体的には、クレオパトラを選択した場合はデッキ内の赤コストが若干出しにくくなり、ボーンキーパーを選択した場合はデッキ内の黒コストが若干出しにくくなる。
とはいえ、最速で初手、遅くとも中盤以降で足りない色をチャージしてリソースに補えるであろうから、初手〜1ターン目に使う低マナ圏のカードが使いやすくなるような選択をするのが良い。となると、やはりカーズディフュージョンの存在からスタートカードはクレオパトラを選択するのが正解のように思う。マリガンチェックで後攻カーズディフュージョンを拾っておきながら初期リソースに黒が無くて使えないというのは寒すぎる。

☆ルール質問
・戦闘タイミングの定義
Q:こちらのクレオパトラで相手のボーンキーパーにアタック。攻撃宣言時の優先権を行使してカーズディフュージョン(対象ボーンキーパー)。カーズディフュージョンは即時解決されボーンキーパーが破棄されるが、カーズディフュージョンの解決後に相手は優先権を行使してなんらかのイベントを発動出来るか。
A:発動出来ます。
攻撃宣言タイミングでの除去イベントによりゼクス同士の戦闘が中断された場合でも、お互いに優先権を放棄するまでイベントを応酬することが出来る(両方のゼクスが場を離れた場合であっても、お互いが優先権を放棄するまで攻撃宣言タイミングでイベントを発動出来る)。

Q:マリガンチェックはどちらから先に行うか?
A:先攻です。
「基本的には同時で、どうしてもどちらが先に行うかどうかを決めたい場合は先攻から行ってください」という歯切れの悪い回答だった。最初は「まだ公開情報が存在していないので同時に行います」とか意味不明なことを言っていたが、それでは不都合があるだろうと言って、ようやくこの回答を得た。
アクションゲームじゃあるまいし、TCGの意思決定に「同時」なんてものは絶対に存在してはいけないのだ。このくらいは理屈では無く感覚として理解して欲しいところだが、別に自分の感覚を盾にイチャモンを付けたいわけではなく、実際のプレイにも影響を及ぼしてくる。
例えば、カーズディフュージョンの存在がそれだ。前述の通り現状のカードプールでは後攻初手にカーズディフュージョンを握るメリットが非常に大きく、後攻がマリガンしなければカーズディフュージョンの存在が濃厚とすら言っていい。マリガンチェックを後攻から行う場合、先攻プレイヤーは「後攻がマリガンしない」という情報を元に「カーズディフュージョンが存在する」→「カーズディフュージョンに捌かれる3コスト4500のアタックは無理に狙わなくても良い」というような情報を得て、マリガンするかどうかの判断も変わってくるだろう。

☆優先権管理
攻撃宣言時の優先権の応酬について。
今回はイベントカードが除去のみだったためあまり気にはならなかったが、「ターンプレイヤーから優先権を得る(=除去を扱う非ターンプレイヤーが優先権を得るまで一度ターンプレイヤーの承認が必要)」「イベントは即時解決(=先撃ち有利)」という二点は確認と巻き戻しに関して結構な危険性を孕んでいる。
具体的には、回復カードの扱いである。カードプールが増加するにつれて、まあ、除去の次に出てくるであろう回復カード、これがカードプールに存在するだけで戦闘が円滑に行えなくなり、サクサクと殴っていくゲーム性と矛盾したかなり面倒な事態になるのではないか…というようなことをザーっと書いたのだが、まだ回復系カードが登場していない以上はどうにも妄想じみているので今回は載せない。
優先権は相手から得た方が色々と捗ったんじゃないかナアと思うのだが、これからどうなるか…
ラベル:Z/X
posted by LW at 21:21| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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