2020年03月18日

【その他】デッキ切れ勝負を制するテクニック

ラッシュデュエルや大規模裁定変更で盛り上がる昨今ですが、今回は「デッキ切れ勝負を制するテクニック」という15年前くらいのロストテクノロジーについて書こうと思います。もう既に遊戯王を引退して久しく、kindle配信にもpaypay支払いにも付いていけないオヂーヂとなり、「まだ他に書かれていなくて有用そうなこと」を書こうと思ったらこんなことしかありませんでした。
いや、有用ではないかもしれませんが、一応遊戯王というゲームの範疇で起きる話です。ドラフトやゲートボールのような特殊フォーマットで遊ぶときとか、15年前にタイムスリップしたときとか、次の改訂でここ15年以内に刷られたカードが全て禁止されたときのために覚えておいても損はないでしょう。

今回扱うデッキ切れとは《ヘル・テンペスト》や《精気を吸う骨の塔》によるデッキデス戦略ではありません。普通の対戦でメインから発生する普通のデッキ切れのことです。
『普通の』対戦でメインから発生する『普通の』デッキ切れってなんだ……?」ともう既に意味がわからない人も多いと思うので、盤面を用意しました。

shukusho.png

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こちらは相手の《マシュマロン》が、相手はこちらの《ボタニカル・ライオ》が倒せずに盤面が膠着しているという状況です。
こちら視点では、《マシュマロン》には強力な戦闘破壊耐性があるため《ボタニカル・ライオ》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》では突破できません。まごついているうちに相手の伏せも厚くなってきてしまい、無制限の《神の宣告》を筆頭に《万能地雷グレイモヤ》《奈落の落とし穴》などの強力な除去が控えていることが予想されます。《マシュマロン》に対してクリティカルな《神聖騎士パーシアス》や《異次元の女戦士》を引いてきたところで、攻撃は簡単に捌かれてしまうでしょう。
一方で、相手視点でも2000という高守備力を誇る《ボタニカル・ライオ》を超えるのは至難の業です。《死霊騎士デスカリバー・ナイト》によって《ならず者傭兵部隊》や《ドリルロイド》も通りにくいですし、厚い3伏せを乗り越えなければならないのは相手も同じです。

このようにお互いに容易には突破できない盤面が発生し、残りの山札を尽くしてもライフを減らせなくなった場合、勝負はデッキ切れによって決着します。
こういった、デッキ切れによる決着が予想される試合のことを「デッキ勝負」と呼ぶことにします。勝負を分けるのはもはやライフではなくデッキだからです。

昔はこういうことが本当にありました。
《マシュマロン》が制限カードとして猛威を振るっていた頃。カードプールには強力な除去効果を持つシンクロモンスターなど存在するわけもなく、そもそも除去効果を持つモンスターすら数えるほどしかおらず、《ライトニング・ボルテックス》や《地砕き》が規制される時代。そんな世界では、戦闘破壊耐性モンスターが出るや否や除去できずにゲームが膠着することは珍しくありませんでした。ちなみに、戦闘破壊耐性モンスターが増え始めて突破も容易になってきたのは《アルカナフォース0−THE FOOL》が登場した2008年頃です。
戦闘破壊耐性モンスターほどではないにせよ、高守備力モンスターを突破するだけでも今よりは遥かに難しく、《ボタニカル・ライオ》は「高い攻撃力を持ちながら壁にもなる」というだけの理由で高い評価を得ていたものです。《レベル制限B地区》《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》を搭載したロックデッキが相手ならもちろんのこと、初心者にありがちなちょっと壁を多く入れただけのスタンダード同士の対決でも少し対処を間違えればデッキ勝負に突入していました。

なお、「低速デッキ同士のマッチングにおけるデッキ切れに備えたセオリー」という概念はMtGやハースストーン等の他カードゲームには明確に存在します。遊戯王ではシンクロ登場以降ゲームが高速化してから失われて久しい古代技術ですが、同じように文書化して確立しておこうという意図があります。
遊戯王においては、他カードゲームと全く同じ内容のセオリーがある一方で、「手札枚数制限」「カードゾーン」「罠のセット」といった遊戯王特有のルールによるセオリーもあります。どちらもデッキ勝負における鉄則という形で詳しく紹介していこうと思います。

☆鉄則1:デッキ枚数を多く保て!
デッキ勝負において、「デッキ枚数が多い方がデッキ切れしにくいから有利」というのは当たり前だと思うかもしれません。
しかし、この鉄則から派生してデッキ勝負の展開やプレイングのセオリーが次々に導かれていき、最後にはそれらを知っている者と知らない者の間に決定的な差をもたらします。

まず、デッキ勝負ではデッキ枚数によってプレイヤーの役割、つまり「攻め」と「守り」が定義されます。
ここでデッキ勝負の「攻め」とは「デッキ枚数が少ない方」、「守り」とは「デッキ枚数が多い方」です。何故なら、盤面が膠着したままデュエルが何もなく進行したとき、「デッキ枚数が少ない方」はそのまま負け、「デッキ枚数が多い方」がそのまま勝つからです。そのため、「デッキ枚数が少ない方」は何が何でも攻めて膠着を打開しなければならないために「攻め」に回らざるを得ず、逆に「デッキ枚数が多い方」は現状維持していれば勝手に勝つために「守る」ことが目標になります。

そして、基本的には「守り」が「攻め」よりも圧倒的に有利です。このまま何も起きなければ勝つのが「守り」で負けるのが「攻め」ですから、前者の方が有利というのは当たり前ですね。
また、一般的に言って膠着した盤面を打開する難易度は高いです。こういう盤面で「攻め」の障害になっているモンスターは大抵「戦闘破壊耐性モンスター」「高守備力モンスター」のいずれかですが、いずれもデッキに最も多く入っているであろう下級モンスターを何枚使っても突破できません。
突破には「除去カード」か打点で上回る「上級モンスター」を引いてくるしかありませんが、除去カードは「一度しか使えない」、上級モンスターは「罠で弾かれる」という難点があり、それぞれ「新しい壁を出し直す」「罠を伏せる」というだけの行為で簡単に防がれてしまいます。よって、一度でも状況が膠着して防御札の溜め込みがスタートすると、漫然と攻めているだけでは「攻め」側が状況を打開することは難しくなります。
結局のところ、最初に述べたように、デッキ切れ勝負で勝つためにはまずは「守り」に回ること、すなわちデッキ枚数を相手よりも一枚でも多くしておくことが最初に目指すべき目標になります。

「デッキ枚数を多くしておく」といっても、(当時の)遊戯王には「デッキを増やす」カードは《貪欲な壺》程度しかないため、実際にやるべきことは「デッキを減らさないこと」です。そしてそれは意識しておかないと絶対にできない、腕の差が出てくる部分です。

デッキ枚数を減らす行為の代表例は《増援》《キラー・トマト》のようなサーチ・リクルートの発動です。漫然と対戦しているとこれらの発動を控えることはまず有り得ませんが、デッキ勝負では発動することが有り得ません。デッキ勝負において《増援》とは手札調整で捨てるもの、《キラー・トマト》のリクルート効果とは不発にするものです。これがわかっているかどうかで勝敗が決まります。
具体的に言うと、お互いにデッキ枚数が20枚のときに自分が《増援》を打つと、こちらだけデッキが19枚になり、19ターン後の敗北が確定します。比喩でも何でもなく、デッキ勝負で考えなしに《増援》を打つことは、自分からサレンダーすることと大して変わりません。《増援》は手札に持ち続け、手札が余ってきた段階で用途の無いカードとして手札調整で捨てることになります。

お互いの盤面に守備モンスターが並び始めたあたりで、早い段階から「これはひょっとしてデッキ勝負になる?」と予想してサーチやリクルーターの発動を控えることで、いざデッキ切れ勝負に突入したときに「守り」のポジションを取れる可能性がグッと上がります。
このように、デッキ勝負においてはその本質を理解した上で行う異常なプレイングが勝敗を分けます。「デッキ枚数を多く保つ」と言えば簡単ですが、こうやってプレイングレベルにまで落とし込んでみると、セオリーを知らない人はセオリーを知っている人にまず勝てないレベルの絶望的な差が生じることがわかります。

☆鉄則2:「デッキ勝負」を相手に気付かれるな!
盤面が膠着し始めたときに「この勝負、ライフではなくデッキが無くなることで決着が着きそうだな」と思っても、相手にそれを悟られてはいけません。可能な限りライフ勝負をしているフリをしながらデュエルを続行します。

何故なら、相手がそれに気付くと「守り」のポジションの取り合いになるからです。
デッキ枚数の多寡というのは本当にシビアです。基本的に同じ枚数であり、(デッキに触ることが少ない当時の遊戯王では)ライフのように変動させる手段は多くありません。確実に「守り」のポジションを取るためには、自分が自分のデッキを減らさないのと同時に、相手自身に相手のデッキを減らしてもらうことも必要になります。そのためには、相手に試合がデッキ切れ勝負になることに気付くタイミングは可能な限り遅らせなければなりません。何度も言いますが、相手が「デッキ勝負になるか?」と気付いた瞬間にサーチカードの発動を控えてしまう、その一枚が勝敗に直結します。

この鉄則により、デッキ枚数の確認方法には細心の注意を払う必要があります。
自分がデッキ枚数を気にしていることを相手に気付かれてはいけないので、「デッキ残り何枚?」などと相手に直接尋ねるのは厳禁中の厳禁です。自分のデッキをおもむろに手に取って数え始めるのも最悪です。デッキを触るついでに枚数を数えるのもよくありません。
基本的には、別の領域にあるカードの枚数を数えてそれらを合計して40から引くという方法でデッキ枚数を求めましょう。デッキ枚数を数える行為に比べれば、「今手札は何枚?」「墓地確認いいですか?」と声をかけてそれらの枚数を数える行為は自然に行えます。
もちろん墓地のカードを丁寧に5枚ずつ分けて枚数を正確に数えるなんてことはしてはいけません。「枚数を数えているのではなく内容を知りたいだけ」というスタンスを崩さないようにしてください。オススメの墓地確認タイミングは自分のドローフェイズ直後です。ドローしたら、いかにも「墓地に関わるカードを引きました!」という顔をして素早く墓地に手を伸ばし、墓地にいるモンスターを確認するフリをして枚数を数えましょう。《リビングデッドの呼び声》や《生者の書−禁断の呪術−》を引いたのであれば、墓地確認するのも不自然ではありません。

更に、不自然なプレイングを行う際はそれが自然に行われる状況を考えて演技してください。
例えば鉄則1で述べたようにリクルーターの効果は発動してはいけないわけですが、即決で「発動しません」と宣言してはいけません。《キラー・トマト》が戦闘破壊された後、手札と墓地を見比べ、しばらく考えてから「いや〜もう多分対象がいないですね〜えーっとこれ任意でしたっけ? あっ『できる』なので発動しなくてもいいんですね〜じゃあ不発で」です。デュエル中に嘘を吐いたり不正な処理をしたりするのはルール違反ですが、「もう多分対象がいない」は嘘ではなく勘違いです。そして任意効果を発動しないのはもちろん適正な処理です。

また、膠着中はなるべく素早くターンを回した方がいいです。相手がデッキ勝負に気付く前に惰性でターンを回させ、「お互いに状況を打開するためのキーカードを引く勝負をしている」と思わせるためです。
相手がまだデッキ勝負になることに気付いていなければ膠着状況を打開してライフを削ることを考えているはずですから、打開カードに辿り着くためのデッキ圧縮としてサーチカードを打つことでしょう。「ドローした」→「打開カードじゃない」→「仕方ないのでエンド」という応酬が高速で続き、今そういう勝負をしていると相手に思わせている裏でこちらは黙々と全く別の勝負を進行させます。

☆鉄則3:手札調整を恐れるな!
本格的にデッキ勝負に入ると、盤面が膠着するために手札の使い道もほとんど無くなり、持て余した手札を抱えるようになります。
そうして溜め込む手札の数がどんどん増えていき、遂に7枚を超え始めたとき、アド損を嫌うカードゲーマーの本能は「適当にカードをセットして手札調整を回避する」という行為を行いがちです。しかしこれは愚策の極みであり、使い道のないカードを適当に伏せるくらいなら捨てた方がマシです。

理由は「フィールドを埋めてしまうから」です。
手札調整を回避するためにどんどん手札を場に置いた結果、フィールド10枚が全て埋まって手札も6枚という状況は最悪という他ありません。打開できるカードを引いたとき、プレイできる場所がなくなるからです。《マシュマロン》を破壊できる《ならず者傭兵部隊》を引いても出せませんし、《ライトニング・ボルテックス》を引いてもプレイできません(ルール上、「手札からの通常魔法のプレイ」にもゾーンを一つ必要とします)。
それだけではなく、有用なモンスターを置くスペースが減ってくるとその分だけ同時に展開できる攻め手も減っていきます。リクルーターや中途半端な攻撃力のサブアタッカーなど、相手から見て無視してもよいモンスターを並べると、除去効果を持つモンスターや上級モンスターを複数並べる際に邪魔になってしまいます(一度に複数の打開策を同時に展開する「溜め込み」の有用性は後で解説します)。あまり役立たないモンスターはやはり適当に出すよりは手札調整で捨てた方がいいでしょう。
「打開策を引いたときに場を開ければいい」と思うかもしれませんが、膠着状態で一度埋めてしまったゾーンを開けるのは実はかなり難しいです。モンスターゾーンにあるカードを自爆させようにも相手のモンスターは全て守備表示で戦闘破壊が成立しないですし、生贄召喚でモンスターの数を減らせるのは最上級モンスターを出す場合のみです。お互いに動かないので、伏せた罠の発動条件を満たせることもほとんどありません。ちなみに、《奈落の落とし穴》や《炸裂装甲》は自分に打てませんが、《神の宣告》《月の書》《強制脱出装置》は自分に打てます。暇なときに要らなさそうな罠を自分に打って廃棄することを検討しましょう。

今書いた「打開策を引く」は「攻め」側の発想ですが、「守り」側にも同じことが言えます。有効でない罠を捨てるのが惜しいあまりに適当に伏せてしまうと、もっと有益な罠を引いたときにも防御を厚くすることができなくなります。遊戯王では一度に準備できる妨害は最大でも5個しかありませんから、置く罠は厳選しましょう。
例えば、守り側であれば、基本的に攻めを通すためのカードである《盗賊の七つ道具》や、溜め込み時に機能しない《マジック・ドレイン》の価値は著しく下がります。また、一ターン中に連続して打つことを想定しにくい《奈落の落とし穴》を複数枚置くよりは《炸裂装甲》や《マジック・ジャマー》に散らすべきです。他にも、相手のデッキには《王宮のお触れ》が入るか、テーマデッキ特有のキラーカードを持っているかなど、状況に応じて最強の布陣を適宜考えてください。

☆鉄則4:溜め込んで一気に攻めろ!
デッキ勝負で自分が「攻め」側になってしまったときは、何とかして相手の牙城を切り崩すしかありません。
その際、打開策をトップしたからといって意気揚々と出すべきではありません。それは大事に手札に持っておき、相手の伏せを突破するのに十分な枚数が溜まったときにまとめて叩き付けます。
これは、伏せカードは5枚しか置けないのに対して、手札は6枚(ドローフェイズのドローも込みで最大7枚)持てるという枚数差を利用するためです。相手の妨害をセットカードだけに単純化して考えると、こちらが1枚の手札で1枚の伏せを剥がせるとすれば、手札全てが有効牌である場合、7-5=2枚が通ります。更にもっと広い視点で見ると、相手がこちらのターンに使える妨害カードは場のモンスター5枚+セットカード5枚で最大10枚であるのに対して、自分がこちらのターンに使える攻め手は場のモンスター5枚+セットカード5枚+手札7枚=17枚です。最大限溜め込めば、17-10=7枚分有利です。
もっとも、現実的には除去カードが貴重な当時、そもそも攻め側が使える打開カードがデッキを全部掘ってもそんなにないということも多いです。その一方、守り側の5伏せが全て攻め側の攻撃に対して有効であることは少ないですし、通常魔法を発動するために1つスペースを空けていて4伏せに留まっていることも少なくありません。このあたりのバランスは結局はお互いのデッキ内容によってきますが、それでも基本的には攻め側が手札分だけ多くのカードを一度に使えるという優位を活かすには溜め込み勝負を仕掛けるしかないことは常に念頭に置いておきましょう。

また、1枚通せば複数枚を無力化できるキラーカードを持っている場合は1対1交換で消されないように大切に使いましょう。《人造人間−サイコ・ショッカー》や《同族感染ウィルス》が代表例で、それぞれ具体例を挙げて説明します。

まず相手の伏せが《神の宣告》《天罰》《奈落の落とし穴》《炸裂装甲》だとしましょう。ここに《人造人間−サイコ・ショッカー》を生け贄召喚したとすると、確実に《神の宣告》が飛んできます。
このとき、こちらが既に《リビングデッドの呼び声》を伏せていた場合、ただちに蘇生して《人造人間−サイコ・ショッカー》が通り、《サイクロン》や《神の宣告》を含むほとんどの除去ではどかせない状態で定着させることができます。
しかし、自分がまだ《リビングデッドの呼び声》を伏せていなかった場合、《人造人間−サイコ・ショッカー》の再利用は《リビングデッドの呼び声》を引くまで待つことになります。その際に最も恐ろしいのは、相手が空いたスペースに有効牌を補充することです。改めて《リビングデッドの呼び声》を引いて伏せて発動したときには補充された《サイクロン》《神の宣告》で妨害され、結局《人造人間−サイコ・ショッカー》は通らないことが十分にあり得ます。
このように、同じ攻め手でも一度に仕掛けるかどうかで通るか否かが変わってきます。相手に伏せの補充を許してしまうと、実質的に6枚以上の伏せと戦うことになってしまうからです。
なお、「そもそも《神の宣告》を引かれない段階で《人造人間−サイコ・ショッカー》を出せばいいので、《リビングデッドの呼び声》が無くても最速で動く」という考え方もあります。それにも一理ありますし、ライフ勝負の場合は正しい選択でしょう。しかし、デッキ勝負の場合は相手が引いているかいないかに依存した運否天賦になってしまいます。相手が既に伏せを厚くしている段階で攻めを確実に通すにはやはり溜め込みがベストです。デッキを全て引き切る勝負では「(今ある手札ではなく)デッキ全てを使って戦う」という視点を持ちましょう。

次に、《同族感染ウィルス》の有用性は、相手の場に《ボタニカル・ライオ》が二体と《マシュマロン》が寝ているような状況を想定すればわかりやすいです。除去魔法を三枚切るよりは《同族感染ウィルス》を一枚通して全て破壊する方が手軽です。
《同族感染ウィルス》を通すためには優先度の低い囮を使いましょう。《異次元の女戦士》が最も良い例です。《異次元の女戦士》は通常は一対一交換が保証されている優秀な下級モンスターですが、デッキ勝負においては《同族感染ウィルス》と比べると一対一交換しかできないという欠点が際立ちます。
よって、こちらとしては「《同族感染ウィルス》が通るなら《異次元の女戦士》は通らなくてもいい」という立ち位置であり、《異次元の女戦士》が避雷針として先に除去を受けて死ぬ分には一向に構いません。しかし、相手から見れば数少ない除去効果を持つ《異次元の女戦士》に機能されることを嫌い、そこに罠を切ってくれる可能性は少なくありません。つまり、相手が《異次元の女戦士》に《奈落の落とし穴》を打ったのち、《同族感染ウィルス》が無事に着地するというシナリオがベストです。
「召喚は1ターンに1回しかできないから溜め込んでも意味が無いのでは?」と思うかもしれませんが、裏側守備表示を活用することで召喚回数は実質的に水増しできます。《異次元の女戦士》を伏せた状態でターンを回し、帰ってきたターンに《異次元の女戦士》を反転して《奈落の落とし穴》を受けたあとに《同族感染ウィルス》を召喚するというプレイにより、上のシナリオを実行できます。
このように、「裏守備で出して溜め込む」というプレイは崩しの際に常に意識しておいてください。「このモンスターは普通は裏で出さない」という常識にとらわれず、《ならず者傭兵部隊》も《N・グラン・モール》も伏せて出す選択肢を持ちましょう。

☆鉄則5:除去を回避しろ!
こちらが「攻め」である場合、除去を回避して攻めを通すのが目標です。上に述べた溜め込みのプレイも「対応しなければならない伏せの数を減らす」という形で除去を回避していたのですが、除去の回避方法は他にも無数にあります。
このあたりはデッキ勝負というよりは普段の勝負でも使っていける小テクニック集ですが、「リバースの利用」「チェーンの利用」「ダメージステップの利用」など、様々なルールを活用して罠を回避できることは覚えておいて損はしません。

「リバースの利用」については、攻撃を受けたことによるリバースを用いることで召喚反応罠を回避できます。
具体的には、まずモンスターを裏側守備表示で出し、それが攻撃を受けてリバースして生き残った場合、召喚反応罠を受けるタイミングがないため、安全にモンスターを展開できます。これはガジェットのような除去デッキに対するセオリーの一つでもあり、対ガジェット戦の後攻1ターン目では守備力が1400を超えている《死霊騎士デスカリバー・ナイト》や《ボタニカル・ライオ》等のアタッカーはセットから入るプレイが定石です。
こちらが「攻め」である場合でも、相手の攻撃を誘ってリバースを利用できます。一度《ならず者傭兵部隊》などのセットを見せれば、溜め込みを拒否したい相手に殴らせることができるからです。
また、守備力の低いモンスターでこのプレイをする際にキーになるカードが《収縮》です。守備力1000の《同族感染ウィルス》が殴られた際、ダメージステップに《収縮》を打つことで実質的に守備力2000として大抵の攻撃を受け切れます。デッキ勝負では《収縮》はほとんど役に立たないカードですから、カウンター罠さながらに除去の回避に使えれば儲けものです。《収縮》は単純に《奈落の落とし穴》にチェーンで打って回避する使い方もありますが、引き出しは多いに越したことはありません。実際、「裏守備を安全に反転させるために《収縮》を使う」というプレイングは上で述べた裏守備による溜め込みとの相性が良いです。

「チェーンの利用」については、チェーン2以降の逆順処理で罠の発動条件をズラすことを狙います。
当時に汎用性の高いカードでこのプレイングが意識されるものはほぼ《リビングデッドの呼び声》しかありません。04環境でも有効なプレイですが、適当な効果を発動→チェーンして《リビングデッドの呼び声》という手順でモンスターを蘇生させることで、チェーンの逆順処理後には特殊召喚タイミングが終わっているために召喚反応罠を回避できます。伏せに《奈落の落とし穴》があっても《同族感染ウィルス》を安全に着地させるという嘘臭いプレイが可能になります。
当時に他のカードでこのプレイをした記憶はあまりありませんが、マイナーなところで《光と闇の洗礼》や《モンスターレリーフ》なんかがデッキに入っているならこのテクニックを思い出してみてもいいかもしれません。

「ダメージステップの利用」については、ダメージステップでは攻守を変動させるカードかカウンター罠しか使用できないというルールがあるため、ダメージステップに行動することでほとんどの除去罠を回避できます。
最もわかりやすいのはリクルーター、例えば《シャインエンジェル》から《異次元の女戦士》という流れでしょうか。ダメージステップなので攻撃力が1500以上でも《奈落の落とし穴》を受けることなく、《マシュマロン》を突破する除去効果持ちのカードを使うことができます。特に墓守では《墓守の偵察者》から《王家の眠る谷−ネクロバレー》込みで無類の突破性能を誇る《墓守の暗殺者》を引き出すのが強力でした。
やや時代が下る余談ですが、除去デッキに対して《冥府の使者ゴーズ》《トラゴエディア》が非常に強力だったのもこの理由によるものです。彼らはダメージステップに効果で特殊召喚されるため、《奈落の落とし穴》《王宮の弾圧》《神の宣告》といった妨害をくぐり抜けて着地でき、非常に除去しにくいという特徴が打点以上に厄介でした。




以上、デッキ切れ勝負を制するテクニックを5つ紹介しました。ここまで読んだ皆さんには明らかなように、知っている者と知らない者では常勝と必敗と言ってもよいほどの差が付きます。
まあ、ほとんどの方は死ぬまでにこれらのテクニックを使う機会は特にないと思いますが、宇宙からマシュマロン星人が攻めてきたときには思い出してください。
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2019年05月04日

【デッキ考察】ライトロード 2008年3月環境

2008年3月環境紹介編の続きです。
伊東オフの2008年3月環境で使用した【ライトロード】について書きます。

1.デッキレシピ
cXl_wEgW[1].jpg
モンスター(28枚)
冥府の使者ゴーズ
創世の預言者
裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)×3枚
ライトロード・マジシャン ライラ×3枚
ライトロード・ビースト ウォルフ×3枚
ライトロード・ハンター ライコウ×3枚
ライトロード・パラディン ジェイン
ライトロード・サモナー ルミナス×3枚
ライトロード・エンジェル ケルビム×3枚
ライトロード・ウォリアー ガロス
ネクロ・ガードナー×3枚
オネスト×3枚

魔法(12枚)
大嵐
大寒波×2枚
増援×2枚
早すぎた埋葬
死者蘇生
ソーラー・エクスチェンジ×3枚
おろかな埋葬×2枚

罠(0枚)

エクストラデッキ
キメラテック・フォートレス・ドラゴン×3枚

サイドデッキ
D.D.クロウ×3枚
サイクロン
サンダー・ブレイク×3枚
ツイスター
暗闇を吸い込むマジック・ミラー×3枚
王宮のお触れ×2枚
激流葬
死のデッキ破壊ウイルス

2.デッキ選択理由
【ダムド】か【ライトロード】を使うことは最初から決まっていました
やはりこの環境ならば無制限の《ダーク・アームド・ドラゴン》か《裁きの龍》のどちらかは使いたかったですし、デッキパワーが明確に高いからです。
【ガジェット】等の罠系デッキや【ドグマブレード】【チェーンバーン】等のスペルコンボデッキも試しましたが、【ダムド】【ライロ】に対して《大寒波》が厳しいという問題がクリアできませんでした。これらのデッキはウィークポイントがはっきりしていて、サイド後に投入される《王宮のお触れ》や《D.D.クロウ》のようなクリティカルなカードへの対抗策も取りにくいです。
ただし、《大寒波》を巡るメタゲームはすぐに変化すると考えています。【ダムド】や【ライロ】と言えば《大寒波》というイメージがあるかもしれませんが、《大寒波》は単体では機能しないカードである上に相手が【ダムド】【ライロ】の場合はあまり有効ではなく、これら2つのデッキタイプが蔓延するのであればメインデッキへの投入にはリスクが伴います。かといってサイドデッキに入るカードでもありません。詳しくは後述しますが、《大寒波》はサイド後の試合では《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》《閃光を吸い込むマジック・ミラー》に触れない弱みがあり、そのために罠系相手ですら2本目以降は《サイクロン》《砂塵の大竜巻》等への入れ替えを検討せざるをえないという事情があります。総じて現状では《大寒波》はメイン採用にもサイド採用にも噛み合わなさが残る枠であり、どちらからも抜けていくことは有り得ると考えています。その場合、《大寒波》に弱いスペル系のデッキが台頭することは十分に考えられます。

最終的に【ダムド】より【ライロ】を選んだ理由は《ネクロ・ガードナー》が使えるからです。
お互いに高いカードパワーで盤面を制圧しつつ速攻で削り切るゲームプランなのですが、このゲームでは基本的に後出しで切り返す側が有利です。極端に言えば、先に《ダーク・アームド・ドラゴン》が出た返しに《裁きの龍》が通れば《ダーク・アームド・ドラゴン》を破壊して《裁きの龍》が定着するので【ライロ】の勝ちですし、先に《裁きの龍》が出た返しに《ダーク・アームド・ドラゴン》が通れば《裁きの龍》を破壊して《ダーク・アームド・ドラゴン》が定着するので【ダムド】の勝ちです。
このとき、【ライロ】は展開過程で《ネクロ・ガードナー》が勝手に墓地に落ちていくため、相手の《ダーク・アームド・ドラゴン》を《ネクロ・ガードナー》で受け止めてライフを守ってから切り返せるのが大きな強みになります。無理に攻め急がなくても《ネクロ・ガードナー》が落ちるだけで後の先を取れるのです。【ダムド】では《終末の騎士》や《おろかな埋葬》は《混沌の黒魔術師》に使うことが多く、《ネクロ・ガードナー》を切っておく余裕があまりありません。何度か回した結果、直接対決では【ライロ】に分があると思ってこちらを選択しました。

3.メインゲームプラン
メインゲームプランは罠0枚のガン攻めです。

この時期のライトロードは「攻めが強い」というよりも「攻め切らないと負け」のデッキです。
ライトロードはエンドフェイズの効果によりガンガンデッキを削っていきますが、シンクロが存在しないこの時期は能動的にライトロードを場から離す手段が《ライトロード・エンジェル ケルビム》でリリースするか《裁きの龍》効果に巻き込むしかありません。よって、ゲームが長引くと常にデッキ切れによる自滅の危険があり、中途半端に受けるよりも速やかに攻め切ることが望ましいです。デッキ内のライトロードを増やすことは、手札を攻め札で充実させるだけではなく、デッキから落ちるカードの質を上げて《裁きの龍》の特殊召喚や《ライトロード・ウォリアー ガロス》のドローを円滑に行うことにも繋がります。高速ビートプランを下支えしているのはライトロードモンスターの対応力の高さであり、《ライトロード・ハンター ライコウ》《ライトロード・マジシャン ライラ》《ライトロード・エンジェル ケルビム》によりカードタイプを問わずに縦横無尽にカードを破壊できるため、相手のロングゲームプランに付き合わずにブチ抜いていける強さがあります。

また、罠を投入しないのには相手の伏せ除去を腐らせる目的以外に環境的・デッキ的に強くないという理由があります。
この環境の双璧である【ダムド】【ライロ】はいずれも超攻撃型デッキであり、中途半端なバックは《大寒波》やモンスター効果で剥がされて機能しません。それよりは《ネクロ・ガードナー》や《冥府の使者ゴーズ》で受けてからモンスター効果で切り返すプランの方が確実ですし、バックを置かずに伏せ除去を腐らせる方針とも一貫します。具体的なシチュエーションとしては、【混黒ダムド】が《ダーク・アームド・ドラゴン》に《混沌の黒魔術師》帰還を絡めた総攻撃に来る場合、一手で破壊される罠では波状攻撃に耐えられません。それよりは展開させるだけさせてしまって《ネクロ・ガードナー》《冥府の使者ゴーズ》でライフを守り、返しに《裁きの龍》や《ライトロード・エンジェル ケルビム》で流す方がスマートです。このようにモンスターの切り返し性能が高いため、罠よりも《ネクロ・ガードナー》が強いというのが結論です。

ビートプランの大雑把なイメージとしては、初動で展開しつつ墓地肥やし、中盤に《ライトロード・エンジェル ケルビム》、終盤に《裁きの龍》です。詰め切るまでに早くて2〜3ターン、遅くとも6ターン程度で倒してしまいたいところです。
初動では《ソーラー・エクスチェンジ》から入って《ライトロード・サモナー ルミナス》が絡んだ展開が出来ればベストです。しかし、毎回《ソーラー・エクスチェンジ》を引けるわけでもないので、下級ライトロードを単騎で召喚してエンドすることも多いです。この際、《ネクロ・ガードナー》か《ライトロード・ビースト ウォルフ》が落ちれば一気に優位になりますが、より確実で強力なのが《オネスト》です。棒立ちしたライトロードを確実に維持でき、返しの《ライトロード・エンジェル ケルビム》に繋げることができます。特に《ライトロード・マジシャン ライラ》+《オネスト》というペアが強く、相手のアタックを《オネスト》で捌いたあと《ライトロード・マジシャン ライラ》縦がプレッシャーになり相手はバックを置きにくくなります。他にも、《ライトロード・ハンター ライコウ》は一応の初動としてカウントできます。早めに裏を弾いてくるカードには【ダムド】の《邪帝ガイウス》やミラーの《ライトロード・エンジェル ケルビム》がありますが、先攻で置くなどしてリバースできさえすれば概ね安定したゲームをスタートさせてくれます。
初動で墓地が肥えたあとにはもうフィニッシャー《裁きの龍》が出ますが、中盤のサブフィニッシャーとして《ライトロード・エンジェル ケルビム》も最大枚数投入しています。下級モンスターだけでライフを詰め切ることもそこそこあるものの、どこかで《ライトロード・エンジェル ケルビム》を通すのがライフ的にもアドバンテージ的にも楽です。《おろかな埋葬》《死者蘇生》《早すぎた埋葬》から一手で効果起動まで行けるほか、《オネスト》《ネクロ・ガードナー》で生け贄を守れるため見た目よりも遥かに腐りにくいです。

さて、実はメインデッキで唯一疑問の残る枠が2枚の《大寒波》です。理由は以下の通りです。

・単体で使えない割に、強く打つときには《裁きの龍》《ライトロード・エンジェル ケルビム》を要求するのでハードルが高い
・オーバーキルしかせず、別に無くてもどうにかなりそうなことが多い
・元々《ライトロード・マジシャン ライラ》や《ライトロード・エンジェル ケルビム》で伏せを破壊できるので、伏せへのアンチカードの需要自体が低い
・攻撃を通しやすくするカードのはずだが、攻撃魔法である《おろかな埋葬》《早すぎた埋葬》《死者蘇生》を妨害してしまう
・この環境で数が多い【ダムド】【ライロ】に対してそこまで有効ではない
・サイド後の《閃光を吸い込むマジック・ミラー》に無力なので2戦目以降は伏せ除去としてカウントできない

確かにガン攻めのゲームプランには噛み合っており最終ターンに撃てると強いのですが、現状では総じて難点の方が多いという印象です。とはいえ冒頭に書いたようにTier2以降のデッキは軒並み《大寒波》が厳しく、かつ【ダムド】【ライロ】に対しても《サイクロン》や《砂塵の大竜巻》よりはまだ効くため、メインでは比較的丸いカードでもあります。最初は3枚だったのですが、被ると負けるので2枚に減らし、他に良いカードもないので入れっぱなしという枠です。

4.サイドゲームプラン
【ダムド】【ライロ】の双璧環境ということで、使用可能なあらゆるデッキのサイドに「貼れば勝ち」タイプのピンポイントメタである《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》《閃光を吸い込むマジック・ミラー》がフル投入されていることが予想されます。よって、【ライトロード】の2本目以降は《閃光を吸い込むマジック・ミラー》が3枚貼られる前提で考える必要があります

《閃光を吸い込むマジック・ミラー》と戦う際に考えられるプランは、

プランA.《閃光を吸い込むマジック・ミラー》の影響下で戦う
プランB.《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割る

の2つです。

「プランA.《閃光を吸い込むマジック・ミラー》の影響下で戦う」とは《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割らずにそのままビートすることを意味します。《閃光を吸い込むマジック・ミラー》によってもたらされる影響は全モンスターのバニラ化ですが、逆に言えばバニラとしてなら戦えます。ライトロードの基本打点は高く、手札発動の《オネスト》が使用可能であるため、効果が無効になったまま殴り合うことも不可能ではありません。この場合、《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割る必要が無いので、バック破壊のような不純物を入れずに済むのがメリットです。「《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割るカードを引けたかどうか」という引きムラにも左右されなくなるため、安定して動けるのも嬉しいところです。
このプランAで邪魔になるのは戦闘できない打点の《ライトロード・ハンター ライコウ》《ライトロード・サモナー ルミナス》と、そもそも場に出ない《ライトロード・ビースト ウォルフ》です。これらを全て抜いて《ライトロード・パラディン ジェイン》《ライトロード・ウォリアー ガロス》などの高打点ライトロードや《オネスト》を共有する《サイバー・ドラゴン》《ライオウ》に入れ替え、ビートを敢行するサイドプランを考えました。
しかしプランAを試した結果、完遂は難しいことがわかってきました。流石にデッキの動きが弱すぎ、《オネスト》は使えるとはいえ逆に《オネスト》以外で相手の上級モンスターを倒す方法がありません。もし仮に相手の《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を腐らせたところで相手が失っているのはカード1枚に過ぎず、他は普通に動いてくる相手に対してバニラビートを仕掛けるのは冷静に考えて無理があります。大量の入れ替えを必要とするためにサイドボードのスペースを取りすぎるという問題もあり、現実的ではないとして棄却しました。

「プランB.《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割る」は何とかして《閃光を吸い込むマジック・ミラー》の破壊を目指すプランです。
《閃光を吸い込むマジック・ミラー》下では《ライトロード・マジシャン ライラ》等のメインデッキのモンスター効果は全て無効になるため、サイドから専用の魔法罠破壊カードを投入する必要があります。この時代に存在する魔法罠破壊カードは《撲滅の使徒》《サイクロン》《砂塵の大竜巻》《ツイスター》あたりですが、《大寒波》はこの目的では使用できません。《大寒波》にチェーンして《閃光を吸い込むマジック・ミラー》をオープンされると普通に《閃光を吸い込むマジック・ミラー》が適用されて動けなくなってしまうため、《閃光を吸い込むマジック・ミラー》に対して全くの無力です。これが2本目以降に《大寒波》の価値が暴落する理由であり、罠系相手ですら可能ならサイドアウトして他のバック破壊カードと交換することが望まれます。また、《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割るという目的で投入する魔法罠破壊カードには、「スペルスピード2であってほしい」という要求もあります。《閃光を吸い込むマジック・ミラー》は永続罠であるためにこちらの効果発動に対してチェーンするのが基本であり、そこにチェーンを重ねて破壊できなければ一度は効果が無効になってしまうからです。
さて、プランBではデッキに不純物が入ることによってデッキの動きが阻害されることが問題になってきます。《サイクロン》《砂塵の大竜巻》のようなカードは本来であれば《ライトロード・マジシャン ライラ》等と役割が被る不要枠であり、「《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を割る」以外の役割が本当に何一つありません。サイドプランとしては愚策の類に入る「対策の対策」であり、引きムラの問題が心配です。つまり、恐らく3枚投入されるであろう《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を確実に割るのであれば5枚程度の枠を取りたいところですが、逆に相手が《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を引いていないときに対策カードを引きすぎてしまい、相手にメタられていないのにほとんど動けずに自滅するという本末転倒な結果が予想されます。とりわけ相手が【ダムド】である場合、相手のゲームスピードは非常に早く、手札が1枚腐ることはただちに死に直結します。相手の場に降臨した《ダーク・アームド・ドラゴン》がこちらの腐らせている《サイクロン》《砂塵の大竜巻》をバリバリ割っていくような展開は何としても避けたいところです。

こうした問題に対し、《サンダー・ブレイク》をソリューションとして見出しました。
《サンダー・ブレイク》は《閃光を吸い込むマジック・ミラー》をスペルスピード2で破壊可能で、対策として要求される基準をとりあえず満たします。更に後ろだけではなく前を割れるため、「手札に《閃光を吸い込むマジック・ミラー》対策カードが溜まっている間に相手のモンスターに攻められる」という事態を防ぐことができます。【ライロ】は幸か不幸か《ライトロード・ビースト ウォルフ》や《ネクロ・ガードナー》など手札で腐るカードが多いため、手札コストも苦になりません。
この柔軟性が最も活きるのは、相手が《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を重ねて引いていた場合です。相手が《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を複数引いている場合、1枚目が割られたときに備えて2枚目を伏せておくことが予想されます。《ライトロード・エンジェル ケルビム》《裁きの龍》をシャットアウトできる以上、裏目は《大嵐》しかないからです。元々バックの少ないデッキに対しては《閃光を吸い込むマジック・ミラー》らしき伏せが重なっているのを見通すことは容易ですが、この状況に対して《サイクロン》等の魔法罠破壊カードは非常に弱いです。相手の《閃光を吸い込むマジック・ミラー》よりも多くの破壊カードを引くことを祈るしかなく、無駄と知りつつ撃って2枚目を捲られて足が止まってしまいます。
《サンダー・ブレイク》であれば、こうした状況において《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を無視して相手の前を割るというプランが取れます。この際に素晴らしいのは、相手が《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を重ねて引いている場合はその分だけ相手の攻め手は減っているということです。《サンダー・ブレイク》で壊す対象を後ろから前に移すことで、こちらのバニラビートが完遂できる可能性はかなり大きくなります。つまり、さきほど棄却したプランAとの折衷案を臨機応変に取れることになります。

以下、具体的なサイドチェンジ指針について書きます。
相手の採用カードによって細かいインアウトが変わってくるため、よくある相手ごとの一覧形式ではなく、よく入れるカード・よく抜くカードを書いていきます。

まずよく入れるカードについては以下の通りです。

・《D.D.クロウ》3
【帝】の《黄泉ガエル》、《アームズ・ホール》を使用するデッキの《早すぎた埋葬》、ミラーの《ライトロード・ビースト ウォルフ》《ライトロード・サモナー ルミナス》など、明確な対象がある場合に投入します。このカードに限ったことでもありませんが、クリティカルな影響を及ぼす場合にのみ投入すべきで、ただ単に打つ場所があるというだけでは入れません。【帝】【ライロ】に対しては《死のデッキ破壊ウイルス》を投入するため、その媒体も兼ねています。

・《サンダー・ブレイク》3
上に書いた通りです。主に《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を入れてくるデッキに対して投入します。

・《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》3
【ダムド】を筆頭とする闇属性デッキに対して投入します。ちなみに【ダムド】と【ライロ】のマッチングでお互いに《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を貼ることでバニラが殴り合う展開になった場合、【ダムド】は《混沌の黒魔術師》《ダーク・アームド・ドラゴン》の2800までしか出ないのに対して、【ライロ】は《裁きの龍》の3000が出る点で優位です。

・《王宮のお触れ》2
罠デッキ全般に対して投入します。《閃光を吸い込むマジック・ミラー》に加えて《スキルドレイン》まで投入してくるデッキに対しては必要な枠になります。

・《サイクロン》1
《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を入れてくるデッキに対して投入します。相手が《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を入れていないことが分かっている場合は、バック除去は《ライトロード・マジシャン ライラ》《ライトロード・ハンター ライコウ》《ライトロード・エンジェル ケルビム》で十分なのでわざわざ入れなくて良いです。《アームズ・ホール》を使用するデッキに対しては、《早すぎた埋葬》や《D・D・R》も破壊したい対象になります。

・《ツイスター》1
2枚目の《サイクロン》です。《砂塵の大竜巻》よりこちらを優先した理由は、わざわざ追加投入した破壊カードで永続カード以外を割ることがあまり無かったためです(普通のセットカードは《ライトロード・マジシャン ライラ》等で十分対処できる)。また、《砂塵の大竜巻》と比べて《ツイスター》は伏せておく必要がないので、本来の役割を果たす前に相手のバック除去と交換されてしまうことが無い点が優れています。

・《死のデッキ破壊ウイルス》1
【帝】【ライロ】、その他効きそうなデッキに対して投入します。これを入れる場合は《D.D.クロウ》とセットで、媒体は《ネクロ・ガードナー》《D.D.クロウ》の6枚になります。

・《激流葬》1
ビート系のワンキルデッキや露骨に前展開が強いデッキに対して投入します。

次によく抜くカードは以下の通りです。

・《冥府の使者ゴーズ》
永続罠を入れる場合は出ないので抜きます。

・《大寒波》
上の方に書いた通りで、だいたい抜きます。

・《大嵐》
ミラーなど、《閃光を吸い込むマジック・ミラー》が投入されずかつバック破壊が必要ない場合は抜きます。《閃光を吸い込むマジック・ミラー》が入ってくる場合でも、他のバック除去を優先して抜くことがあります(スペルスピード1のため優先度が低い)。

・《早すぎた埋葬》
2本目以降は自分がライトロードカードを対策カードに入れ替えたり相手が対策カードを使ってくる事情で墓地が肥えにくくなり、強い蘇生対象が用意しづらくなるので抜いて良いです。

・《死者蘇生》
《早すぎた埋葬》と同様です。ただし、【混黒ダムド】【デステニーダムド】の《混沌の黒魔術師》《D−HERO ディスクガイ》のように相手が強い蘇生対象を用意してくれる場合は残しても良いです。

・《ネクロ・ガードナー》
2本目以降は墓地が肥えにくくなり、デッキから落ちづらくなるので減らしても良いです。ただし、相手がビートによるワンキルルートを持っている場合や、《死のデッキ破壊ウイルス》を投入する場合は減らしません。《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》とアンチシナジーですが、《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》を貼れている状況は既に有利なのであまり気にしなくて良いです。

・《ライトロード・ビースト ウォルフ》
《閃光を吸い込むマジック・ミラー》影響下では機能せず、更に2本目以降は墓地が肥えにくくデッキから落ちづらくなるので減らしても良いです。ただし、《おろかな埋葬》から引き出す用に2枚は残します。

・《ライトロード・ハンター ライコウ》《ライトロード・サモナー ルミナス》
《閃光を吸い込むマジック・ミラー》の影響下では非常に弱いので、《閃光を吸い込むマジック・ミラー》を入れてくる相手には減らしても良いです。特に《ライトロード・ハンター ライコウ》については高速なデッキとのマッチングで後攻の場合に需要が下がります。

・《増援》
積極的に抜く理由は特に無いのですが、所詮は柔軟性を確保するためのサーチカードに過ぎず、どうしてもアクセスしたいカードを引っ張れるわけではないので、他に入れたいカードがある場合は抜いても良い枠です。

5.戦績
伊東オフでの戦績です。

1.【推理ゲート】〇〇
2.【黄泉帝】×〇〇
3.【混黒ダムド】〇×〇
4.【ライトロード】〇〇
5.【デステニーダムド】〇〇

5-0で優勝です。
負けた試合は【黄泉帝】相手に頭がバグって勝ち確を落としたのが1つ、【混黒ダムド】の《閃光を吸い込むマジック・ミラー》がどうにもならなかったものがもう1つ。

楽しかったです。皆も2008年3月環境をしましょう。
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【その他】ゲートボール2008年3月環境のススメ

今2008年3月環境が熱い!!
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1.環境について
2008年3月環境ゲートボールとは、正確には2008年3月1日改訂直後から次にカードプールが変わるまでの環境で遊ぶ遊戯王です。具体的には、

2007年11月23日 PHANTOM DARKNESS 発売
2008年2月23日 LIGHT OF DESTRUCTION 発売
2008年3月1日 制限改訂
<2008年3月環境>
2008年3月12日 DUEL TERMINAL −シンクロ覚醒!!− 稼働開始
2008年3月15日 STARTER DECK(2008) 発売

ここです。

このように、2008年3月環境は3/1〜3/12という僅か10日近くしか存在しなかった環境です。しかも前後の弾で遊戯王史を大きく変えるカードプール更新が行われており、環境が激変する狭間に存在しています。それゆえ開拓の余地が非常に広いのが最大の特徴で、探求に都合の良い好条件がいくつも重なっています。

具体的に、この環境の前後を時系列順に見ていきましょう。
レギュラーパックとしては、この環境はPHANTOM DARKNESSとLIGHT OF DESTRUCTIONの直後です。これらのパックは五期遊戯王を代表するパワーカード《ダーク・アームド・ドラゴン》《裁きの龍》を収録しています。この2枚によって遊戯王の常識が塗り替えられたことは周知の通りです。それまではデュエルとは通常召喚権メインで殴り合う地上戦だったのですが、このパックからはいつ大型モンスターが特殊召喚で奇襲してくるかわからない空中戦へと移行しました。更にこの2枚は2008年3月1日の改訂では周辺パーツ含めてほぼ規制を受けていないため、2008年9月1日までの間は3枚をフルパワーで使用可能でした。

一方で後ろに目を向けると、この環境は2008年3月12日にデュエルターミナル第一弾が稼働を開始する直前でもあります。「DUEL TERMINAL −シンクロ覚醒!!−」で初めてシンクロ召喚が登場し、そこには既に《氷結界の龍 ブリューナク》《X−セイバー エアベルン》等の《レスキューキャット》ギミックのキーパーツが収録されていました。つまり【猫】デッキはシンクロ登場直後からただちに使用可能であり、これ以降環境トップとして君臨し続けることになります。【猫】は度重なる規制を受けても型を変えながら存在し続け、完全な沈静化には遂に2010年9月の禁止指定まで待たなければなりませんでした。《レスキューキャット》は3枚でも2枚でも1枚でも0枚でも選考会代表というのは当時の活躍を語る有名なエピソードです。


【猫】が長期間環境を席巻し続けていたことは、コナミとしては新たに導入したシンクロギミックとデュエルターミナルの成功を示す一方で、カードゲームとしてはシンクロ登場から【猫】沈静化までの間はやや単調な環境が続いてしまったことは否めません。

こうした前後の時代の流れを踏まえると、「2008年3月1日改訂直後」というタイミングはゲートボールとしては2つの好条件が重なっていることがわかります。
まず《ダーク・アームド・ドラゴン》《裁きの龍》という規格外の両パワーカードの参入によりカードプールが激変してから1週間程度しか経っておらず、新たなゲーム感に合わせて構築を煮詰める余地がまだまだ残っている段階です。それにも関わらず直後には【猫】が環境を席巻してしまったため、この環境が【猫】抜きで単独で検討されたことは今までありませんでした。つまり、非常に研究しがいのある環境でありながら、当時は全く顧みられなかったダイヤの原石のような環境なのです。

更に2008年3月環境のポイントとして、ギリギリでシンクロ登場前であるためエクストラデッキを用意する必要がないことが挙げられます。
ゲートボールのためにエクストラデッキを用意するのは地味に敷居が高いという意見はよく耳にするものです。シンクロやエクシーズは基本的にレアリティが高いので、古いカードでも地味に100円くらいはすることが多いです。また、よくある60枚売りのスリーブではサイドエクストラ込みで75枚準備するのに二つ買わないといけないのが面倒だったりもします。2008年3月環境ならエクストラの準備は不要でありながら、《ダーク・アームド・ドラゴン》《裁きの龍》を筆頭とする大型モンスターを特殊召喚していく爽快感は味わえます。
個人的には、特に04環境に飽きてきた人あたりにはちょうどいい環境ではないかと思います。構築固定の地味な殴り合いには飽きた、自分で構築をして派手なモンスターを出したい、でもエクストラデッキを準備するのは面倒臭いし複雑なギミックも敷居が高い……という人は2008年3月環境をやりましょう。

2.カードプール
まずは2008年3月1日禁止制限リストを確認しましょう。

禁止カード
《ヴィクトリー・ドラゴン》
《混沌帝龍 −終焉の使者−》
《カオス・ソーサラー》
《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》
《キラー・スネーク》
《黒き森のウィッチ》
《サイバーポッド》
《サウザンド・アイズ・サクリファイス》
《処刑人−マキュラ》
《聖なる魔術師》
《月読命》
《デビル・フランケン》
《同族感染ウィルス》
《ファイバーポッド》
《魔導サイエンティスト》
《魔導戦士 ブレイカー》
《八汰烏》
《悪夢の蜃気楼》
《いたずら好きな双子悪魔》
《王家の神殿》
《押収》
《苦渋の選択》
《強引な番兵》
《強奪》
《強欲な壺》
《心変わり》
《サンダー・ボルト》
《蝶の短剣−エルマ》
《天使の施し》
《ハーピィの羽根帚》
《ブラック・ホール》
《突然変異》
《遺言状》
《王宮の勅命》
《現世と冥界の逆転》
《第六感》
《刻の封印》
《破壊輪》
《ラストバトル!》
《リビングデッドの呼び声》

まず禁止カードを見ると、目を引くのは《カオス・ソーサラー》《魔導戦士 ブレイカー》《リビングデッドの呼び声》あたりです。逆に、この3枚以外は長いこと規制されていた見慣れた面子であまり驚くところはないかもしれません。
まず《カオス・ソーサラー》については、当時のカオスモンスターは《混沌帝龍 −終焉の使者−》《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》《カオス・ソーサラー》の3枚しか無い上に全てが禁止になっており、【カオス】デッキは完全に壊滅しています。また、《リビングデッドの呼び声》については、当時は役割の似たパワーカードは適当に入れ替えて規制していくという謎の風習があり、この環境ではたまたま《死者蘇生》が解禁されている代わりに禁止された格好です。《魔導戦士 ブレイカー》は当時基準ではまだカードパワーが高いということなのでしょうが、直前に出た相互互換の《ライトロード・マジシャン ライラ》が無制限というちぐはぐなことになっています。

制限カード
《異次元の女戦士》
《E・HERO エアーマン》
《カードガンナー》
《クリッター》
《混沌の黒魔術師》
《スナイプストーカー》
《魂を削る死霊》
《ダンディライオン》
《D−HERO ディスクガイ》
《ドル・ドラ》
《深淵の暗殺者》
《N・グラン・モール》
《封印されしエクゾディア》
《封印されし者の左足》
《封印されし者の左腕》
《封印されし者の右足》
《封印されし者の右腕》
《風帝ライザー》
《マシュマロン》
《冥府の使者ゴーズ》
《メタモルポット》
《森の番人グリーン・バブーン》
《黄泉ガエル》
《オーバーロード・フュージョン》
《大嵐》
《巨大化》
《高等儀式術》
《サイクロン》
《地砕き》
《次元融合》
《死者蘇生》
《地割れ》
《スケープ・ゴート》
《洗脳−ブレインコントロール》
《団結の力》
《連鎖爆撃》
《手札抹殺》
《早すぎた埋葬》
《ハリケーン》
《光の護封剣》
《封印の黄金櫃》
《抹殺の使徒》
《未来融合−フューチャー・フュージョン》
《リミッター解除》
《レベル制限B地区》
《おジャマトリオ》
《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》
《激流葬》
《死のデッキ破壊ウイルス》
《聖なるバリア −ミラーフォース−》
《ダスト・シュート》
《血の代償》
《停戦協定》
《転生の予言》
《光の護封壁》
《マインドクラッシュ》
《魔法の筒》

制限カードで注目すべきパワーカードは、《混沌の黒魔術師》《D−HERO ディスクガイ》《洗脳−ブレインコントロール》《次元融合》《早すぎた埋葬》《死のデッキ破壊ウイルス》《ダスト・シュート》あたりでしょうか。いずれも未来では禁止・エラッタを免れていない超強力なカード群であり、この環境でも猛威を振るいます。とりわけ《混沌の黒魔術師》の活躍は目覚ましく、《アームズ・ホール》から《早すぎた埋葬》や《死者蘇生》で蘇生してそれら自身を回収し、場から離れても今度は《アームズ・ホール》から《D・D・R》や《次元融合》で舞い戻るなど制限魔法カード群と強力なシナジーを形成します。

過去に支配的だったデッキを規制するために禁止・制限になっているカードも多いので、ここでまとめておきましょう。
比較的近くに改訂による規制を受けたデッキは、
・【未来オーバー】:《未来融合−フューチャー・フュージョン》《オーバーロード・フュージョン》制限
・【バブーン】系列:《森の番人グリーン・バブーン》制限
・【ダークゴーズ】:《天使の施し》禁止
・【デミス】系列:《高等儀式術》制限
・【カオス】系列:カオスモンスター全て禁止
・【エアブレード】系列:《E・HERO エアーマン》制限
あたりです。

準制限カード
《暗黒のマンティコア》
《サイバー・ドラゴン》
《D−HERO ディアボリックガイ》
《ネクロフェイス》
《闇の仮面》
《光と闇の竜》
《おろかな埋葬》
《増援》
《月の書》
《魔導師の力》
《魔法石の採掘》
《王宮のお触れ》

準制限カードについて気になるのは、《D−HERO ディアボリックガイ》が1回しか効果を使えないことくらいでしょうか。シンクロ以前から【帝】や【ダムド】で生け贄要員として一定の需要があり、すでに釘を刺されています。

リストにない無制限カードについても確認しておきましょう。当時はまだ発見されていなかったり活躍していなかったりで、意外なカードが三枚使えます。
例えば《大寒波》や《神の宣告》は3枚使用可能であり、使うデッキでは普通に3枚積まれていました。他にも3枚使えるガジェットシリーズや《貪欲な壺》が【ガジェット】を構築するほか、計6枚使用可能な《名推理》《モンスターゲート》も【ドグマブレード】を含む【推理ゲート】系列を構成します。
更には、《生還の宝札》《異次元からの埋葬》《異次元からの帰還》あたりの、蘇生・帰還絡みのいかにも暴れそうなパーツが軒並み無制限で放置されています。これは当時はまだ強力な使用方法が確立されていなかったためです。後世ではそれらと組んで暴れた《馬頭鬼》も2008年2月1日には登場しており、この環境でも既に使用可能かつもちろん無制限です。2008年3月時点では《馬頭鬼》登場からまだ一ヶ月しか経っていないわけで、ひょっとしたら当時は発見されていなかった強デッキとして【アンデ】系が成立するかもしれませんね。

3.主要デッキ
環境に存在する主要なデッキを軽く紹介します。参考程度にどうぞ。

・【ライトロード】
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登場直後であるため一切の規制を受けておらず、パーツは全てフルに使用できます。ただし、まだ登場パックでの収録カードしか存在していないため、《光の援軍》《ライトロード・モンク エイリン》《ライトロード・アサシン ライデン》あたりはカードプールにありません。
《裁きの龍》が強力なのははもちろんのこと、《ライトロード・エンジェル ケルビム》が強化版帝のようにサブフィニッシャーを務め、《ライトロード・サモナー ルミナス》《ライトロード・ウォリアー ガロス》を並べるだけでアドバンテージを稼げるなど多角的な動きが魅力です。シリーズカード同士が強力なシナジーで結びついたテーマであるため大きく組み替える余白は少ないですが、細かく調整する部分が腕の見せ所です。例えば各ライトロードカードの枚数、《サンダー・ブレイク》《ネクロ・ガードナー》等の防御カード、優位を確実にするための《大寒波》等の選択が人によって分かれてきます。
当時特有の明確な弱点としては、デッキ切れに弱いことが挙げられます。シンクロもエクシーズもリンクもないため、一度場に置いたライトロードモンスターを場から離す手段が生け贄召喚しかありません。

・【ダムド】系列
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登場から10年を超えてなお現役の《ダーク・アームド・ドラゴン》が三枚使えたタイミングは実はここしかありません。2008年9月に初めて準制限に指定され、それ以降は一度も無制限に戻っていないからです。登場当初(特に発売前)は「墓地調整が大変そう」「長引いて出せなくなったら弱い」などとあまり評価が高くありませんでしたが、「出したらゲームが終わるので終盤が無い」ことが発覚するまでにそう時間はかかりませんでした。この時期の【ダムド】と、後世の《ダーク・アームド・ドラゴン》を用いる闇属性系列デッキとの違いとしてはゲームスピードが挙げられます。規制されてからの《ダーク・アームド・ドラゴン》は「引けば強い」というジョーカーとしての立ち位置ですが、この時期の《ダーク・アームド・ドラゴン》は3枚積めることから、なるべく早く引いて出すことでそこでもうゲームを終わらせるという速攻プランが主流です。
また、《ダーク・アームド・ドラゴン》を出すには闇属性さえあればよいので、【混黒ダムド】【デステニーダムド】【寒波ダムド】【推理ダムド】、それらの混合まで含めると様々な構成が存在します。《大寒波》《アームズ・ホール》《混沌の黒魔術師》《E・HERO エアーマン》《ファントム・オブ・カオス》等の相性の良いパーツはいくつもありますが、各デッキタイプが目指すプランによって採用枚数や使い方は様々であり、この多様性も【ダムド】の魅力でしょう。

・【推理ゲート】系列
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3枚ずつ積める《名推理》《モンスターゲート》で墓地を肥やすコンボ性の高いデッキ群です。色々な派生がありますが、一番有名なのは【ドグマブレード】でしょう。直前の改訂で何故か一切の規制を受けなかった上にキーパーツとなる《死者蘇生》《魔法石の採掘》が緩和されており、遊戯王史上で最も強い【ドグマブレード】が組めたタイミングと言えます。《名推理》《モンスターゲート》で墓地を肥やして《D−HERO ドグマガイ》《マジカル・エクスプロージョン》でフィニッシュという動きこそ固定されているものの、その他の細かいドローソースの選択はまちまちで完成版はありません。VJ2008年2月号で登場したばかりの《光帝クライス》を入れるかどうか、下位互換的な《手札断殺》《魔法再生》をどの程度入れるかは人によって分かれてくるところです。
また、「《名推理》《モンスターゲート》を主軸にワンキルを狙う」というデッキは【ドグマブレード】ばかりではありません。《磁石の戦士マグネット・バルキリオン》《トーチ・ゴーレム》等を落としてから《ダーク・コーリング》からの《E−HERO ダーク・ガイア》で一撃を狙う【ガイアゲート】、通常召喚できない闇属性モンスターを貯めてダークモンスターで一気に致死量をバラ撒く【ダークワンキル】など、多様なワンキルデッキが存在しています。豊富な墓地肥やし手段とドロー・サルベージギミックが揃っているので、当時は未発見だったデッキが他にも発掘できるかもしれません。

・【罠ビート】系列
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《聖なるバリア−ミラーフォース−》《激流葬》の二枚盾が健在、基本パーツの《神の宣告》《奈落の落とし穴》《次元幽閉》も3枚ずつ使用可能と罠ビートが組みやすい環境です。この時期は初期から規制されているパワーカードを例外として除去罠カードを規制することは基本的になく、「防御罠カードは規制されない」という言説まで囁かれていました。その反面、除去魔法については(何故か)《地割れ》《地砕き》が制限となっていますが、《ハンマーシュート》《ソウルテイカー》《シールドクラッシュ》等、代用の選択肢も多いです。
前に構えるモンスターもほとんど規制を受けておらず充実しています。《ライオウ》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》《霊滅術師 カイクウ》等の高打点モンスター、《フォッシル・ダイナ パキケファロ》《閃光の追放者》等の低打点ながら強力なメタ効果を持つモンスター、無制限のガジェット三種等、それらのハイブリッドも含め無数の選択肢が使用できます。

・【帝】系列
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《風帝ライザー》のみ制限ですが、《邪帝ガイウス》を含む他の帝は全て三枚ずつ使用可能です。
比較的歴史の長いアーキタイプで、生け贄の確保方法と帝の投入比率によってデッキタイプは様々に分かれてきます。制限の《黄泉ガエル》を無限リソースとして大量の帝を投入する【黄泉帝】、それに《ダンディライオン》を加えた【獅子黄泉帝】、様々なリクルーターを用いる【リクル帝】、罠でリバースモンスター等を守りながら生け贄に回す【罠帝】など。更に追加攻撃手段として《ダーク・コーリング》から《E−HERO ダーク・ガイア》を出したり、《光と闇の竜》《砂塵の悪霊》等の相性の良い上級モンスターを更に投入するなど、シンプルな名前に反して構築の幅は非常に広いです。

・【チェーンバーン】
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《連鎖爆撃》《おジャマトリオ》が制限ですが、それ以外の規制は特に受けておらず問題なく構築可能です。
《おジャマトリオ》から《仕込みマシンガン》《自業自得》のダメージを獲得し、《強欲な瓶》《八汰烏の骸》を絡めて《積み上げる幸福》《連鎖爆撃》という古典的な動きでダメージを積み重ねていきます。【チェーンバーン】は後々《カードカー・D》《強欲で貪欲な壺》や時械神パッケージ等を手に入れるまでずっと似たような構築のデッキで、この時代特有のところは正直あまりありません。また、この時代はまだそれほど除去が強くないので、見返りの大きい《魔法の筒》や《メタモルポット》を地雷として投入することもありました。



大会編に続く!
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2015年12月17日

【その他】ガチャ幻影騎士団

この前東京に来たにわかコアラから借りた《トイポット》入り幻影騎士団が気に入ったので書きます。
《トイポット》についてはこれから書くので知らなくても大丈夫ですが、まず幻影騎士団ってなに!?という人はしらこさんのやつ→を読むのがオススメです。
・墓地リソース
・3エク
・《幻影霧剣》
くらい知っていれば大丈夫です。

とりあえず《トイポット》のテキストを貼ります。キーカードなので頭に叩き込んで下さい。

card100018844_1.jpg

永続魔法
(1):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。
自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。
確認したカードが「ファーニマル」モンスターだった場合、
手札からモンスター1体を特殊召喚できる。
違った場合、そのドローしたカードを捨てる。
(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「エッジインプ・シザー」1体または
「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える。


要するにガチャですね。手札を一枚入れるとデッキトップが出てきて、Rファーニマルを引くとボーナスで手札から何か出せます。ハズレを引いた場合でも排出は墓地にいくのがポイントで、最悪でもトップを落とすことができます。
手札1枚を使ってトップ落としのみってコスパ悪すぎでは?と思いきや幻影騎士団ガチャはここが凄い。

1.タダで回せる
幻影騎士団は墓地から除外することで何かしらのアドバンテージを得る効果を持ち、手札から墓地に移動することによる損失がありません。むしろ墓地に置くことでデッキを回転させられるため手札は捨て得です。特に初動においては手札から展開できる幻影騎士団は《幻影騎士団サイレントブーツ》しか存在しないため、無理にでも手札を捨ててサーチを回さなければスタート出来ません。例えば……

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《幻影騎士団ラギッドグローブ》《幻影騎士団ダスティローブ》の初手。このままでは裏守備エンドくらいしかやることがないですね。
しかし《トイポット》があれば……

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《トイポット》発動→《幻影騎士団ダスティローブ》を捨てる(ガチャ)→《幻影騎士団ダスティローブ》効果で《幻影騎士団サイレントブーツ》サーチ→これで手札に《幻影騎士団ラギッドグローブ》《幻影騎士団サイレントブーツ》が揃うので、ガチャ結果によらず無事初動からランク3エクシーズを立てることができます。《ツインツイスター》《D・D・R》等と違って追加の条件が何も無いのがいいところです。
中盤以降においても《魔界発現世行きデスガイド》《SRベイゴマックス》が召喚権を食う中で《トイポット》コストから幻影罠による蘇生や《幻影騎士団サイレントブーツ》SSに繋げ、幻影騎士団の循環を滞らせずにデッキを回していくことができます。特に《魔界発現世行きデスガイド》は《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》から無限に後続をサーチし続けて無限に召喚権を食うため、毎ターン《魔界発現世行きデスガイド》を召喚して無駄なく使い続けるには何かしらテコ入れをしないといけません。

2.排出率が良い
《トイポット》のテキストを普通に読むとファーニマルモンスター以外はハズレのように思えますが、幻影騎士団は全てのカードが墓地リソースになるため、ファーニマル以外に幻影騎士団を捲った場合でもアドバンテージが確定します。むしろこっちの方が狙い目、ファーニマルがRとすると幻影騎士団はSR(スピードロイドではない)という感じです。

2.jpg


このSR大量投入のおかげで当たりを引く確率はかなり上がります。例えば《幻影騎士団ダスティローブ》《幻影騎士団サイレントブーツ》《幻影騎士団ラギッドグローブ》を3枚ずつ+《幻影霧剣》含む幻影罠が5枚でもうSR14枚、加えて《ファーニマル・ベア》は当たり、実は《トイポット》自身も当たりなので当たり確率は50%を超えます。

タダで回せる上に50%以上で当たりという優良ガチャ。BFの旋風、ゼンマイのマニファク、幻影騎士団のガチャ。

ここまでは(1)の効果について書いてきましたが、(2)の効果も強力です。どこから墓地に落ちてもサーチ効果を起動し、場合任意で常にタイミングを逃さない上にターン制限すらありません。デッキから直接落ちても起動するため、《彼岸の旅人 ダンテ》の墓地肥やしに巻き込まれた場合や《永遠の淑女 ベアトリーチェ》効果からも起動できます。
「幻影騎士団でファーニマルサーチしてどうすんの?」と思うかもしれませんが、《ファーニマル・ベア》をサーチすることで実質的に《トイポット》自身をサーチできます。

card100018806_1[1].jpg
効果モンスター
星3/地属性/天使族/攻1200/守 800
「ファーニマル・ベア」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、
いずれか1つしか使用できない。
(1):手札のこのカードを墓地へ送って発動できる。
デッキから「トイポット」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする。
(2):このカードをリリースし、
自分の墓地の「融合」1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。



無限にガチャをサーチし続ける《ファーニマル・ベア》君、なんかゲームによくいるマスコットキャラっぽくないですか?チュートリアルステージでガチャの使い方を説明してきそうな感じあります。
《トイポット》→《ファーニマル・ベア》→《トイポット》の循環によって《トイポット》は実質破壊不能、無限リソースという性質を持ちます。
この無限リソースという性質が幻影騎士団では《幻影騎士団ブレイクソード》と噛み合い、自分で壊してもサーチ効果が発動するため一方的にアドバンテージを取れます。《幻影騎士団ブレイクソード》は自壊で蘇生効果を使うのが主と思われがちですが、維持して破壊エンジンとして使うルートも強力です。特に《幻影騎士団ラギッドグローブ》から出して攻撃力3000になっている場合はランク3なのに《スクラップ・ドラゴン》よりも強いです。急いで自壊して蘇生効果を使わなくても、次ターンに自壊したり相手ターンに壊れた場合にも蘇生効果を起動できます。
ちなみに、《トイポット》は(1)の効果にもターン制限がないため、《幻影騎士団ブレイクソード》で《トイポット》を破壊した場合は《ファーニマル・ベア》を経由して新しい《トイポット》でガチャを回し直すことができます。

ん?新しいガチャを回し直す……?

1.jpg


リセマラですね。
《幻影騎士団ブレイクソード》の走ってるイラストってそういう。

ところで、
Rファーニマル
SR幻影騎士団

を擁するトイポガチャ……なんかレアリティ足りなくないですか?SRってちょっとレアなだけで別に大当たりではないですね。ガチャには大当たりが必要です。

SSRが欲しい……

超低確率で出てくる大当たり……

引くと禁止カード級の効果が使える……

いくら何でもそんなに都合の良いカードは……


え!?ある!?

4d062ccc[1].jpg
効果モンスター
星1/光属性/天使族/攻 100/守 100
「ファーニマル・ウィング」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「トイポット」が存在する場合、墓地のこのカードを除外し、
自分の墓地の「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外し、自分はデッキから1枚ドローする。
その後、以下の効果を適用できる。
●自分フィールドの「トイポット」1枚を選んで墓地へ送り、
自分はデッキから1枚ドローする。

ありました。

テキストが回りくどいですが、処理順よりイメージ優先でイラストにするとこんな感じです。

2015-12-12_233610.png
1.墓地から自身とファーニマルを除外
2.場の《トイポット》を墓地へ
3.《トイポット》効果でファーニマルサーチ+2ドロー


実質墓地から2枚除外して2ドローですね。このアドバンテージ、《強欲な壺》以上。
発動条件は
1.墓地にファーニマルがいること
2.場に《トイポット》があること
の二つですが、これは《ファーニマル・ベア》を一回発動するだけで両方満たされるので《トイポット》に触れてさえいれば概ね自動的に達成されます。
ドローついでにおまけのように補充される《ファーニマル・ベア》によって次の《ファーニマル・ウィング》起動にリーチがかかるのも見逃せないポイントです。さっき書いた通り《ファーニマル・ベア》を発動しただけで下準備が済むため、一度《ファーニマル・ウィング》の効果を使った後はもう一回《ファーニマル・ウィング》を落とすと再び2ドローに辿り着けるわけです。11連を引くと特待チケが溜まって特待チケが満タンになると次の11連が引けるようになるアレ。
《おろかな埋葬》で2枚目の《ファーニマル・ウィング》を落としてもいいし、《異次元からの埋葬》で1枚目を墓地に戻してもOKです。《虚空海竜リヴァイエール》から引き戻して《幻影騎士団ブレイクソード》で破壊というルートもあり、これらは墓地・除外利用を得意とする幻影騎士団だからできるテクニックです。

今サラッと「《おろかな埋葬》で2枚目を落としてもよい」と言いましたが、実はこれは2枚目に限った話ではありません。別に1枚目のSSR《ファーニマル・ウィング》をガチャで引く必要はなく、直接墓地に落としてしまえばあとは《ファーニマル・ベア》を発動するだけで2ドローできるわけです。

とはいえ確実にガチャをショートカットして《ファーニマル・ウィング》を落とせるのは制限の《おろかな埋葬》《マスマティシャン》程度しかなく、これらは一回しか使えないので大抵は確実にリソースになる幻影騎士団を落とすのに使ってしまいます。かといって《クリバンデッド》《針虫の巣窟》のような遅いランダム墓地肥やしに頼るのもちょっと……

欲を言えば
・何回も使えて
・《ファーニマル・ウィング》を確実に落とせて
・幻影騎士団も落とせるような
永続みたいなものがあれば完璧なんですけど……

そんなに都合の良いカードは流石に……


え!?ある!?

05724[1].jpg
永続魔法
自分の墓地のモンスター1体のみがゲームから除外された場合、
除外されたそのモンスターと異なる属性のモンスター1体を
デッキから墓地へ送る事ができる。
「星邪の神喰」の効果は1ターンに1度しか使用できない。


ありました。「自分の墓地のモンスター1体のみがゲームから除外された場合」、幻影騎士団であれば呼吸より簡単な条件です。《ファーニマル・ウィング》を除外することでも誘発し、今度は幻影騎士団を落とすことにも使えます。

《ファーニマル・ウィング》が絡まない場合に備えて《ファーニマル・ウィング》以外にも適当な対象を用意しておきたいところです。真っ先に思いつくのは《ペロペロケルペロス》ですね。レベル3なので幻影騎士団のランク3戦略とも噛み合っています。ちなみに《ペロペロケルペロス》は効果使用時に除外されるので《星邪の神喰》のトリガーになりそうですが、《星邪の神喰》はダメージステップに対応していないため基本的に不可能です。一応相手の効果ダメージ反応で起動すればトリガーになるとはいえ、相手がわざわざトリガーを引いてくれるとは思えないため、自分から能動的に発動したいところです。

つまり、レベル3で相手ターンに能動的に除外することで《星邪の神喰》のトリガーを引ける闇属性以外のカード……?


そんな都合の良いカード……

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チューナー・効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻 300/守1500
(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。
このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。


あるんですよね。
チューナーになって帰ってきた《ネクロ・ガードナー》、幻影騎士団が出す《幻影騎士団ブレイクソード》《虚空海竜リヴァイエール》《彼岸の旅人 ダンテ》はどれも維持して強いエクシーズなので攻撃無効は戦略に噛み合っています。
ちなみにこの《SR三つ目のダイス》、攻撃無効だけではなくSRネームとチューナーのおかげで色々と使い道のあるカードでもあります。
SRネームとしては幻影騎士団に標準搭載されている《SRベイゴマックス》を起点にして《SRベイゴマックス》SS→《SRタケトンボーグ》サーチ・SS→《SRタケトンボーグ》効果《SR三つ目のダイス》SS→《トーテムバード》SS、これで魔法罠を潰しつつアタックを一回蓋という超《真六武衆−シエン》をSSで出せるというオシャムーブが存在します。《SRタケトンボーグ》の制約は効果使用以降にしかかからないので《SRタケトンボーグ》効果を展開の最後に持ってくれば他のエクシーズの横に《トーテムバード》を並べることもできます。
3チューナーとしてシンクロに使う場合は《幻影霧剣》を回収できる《獣神ヴァルカン》が噛み合うんですけど、それが出来る状況は《幻影騎士団ブレイクソード》で同じようなことが出来るので無くてもいいです。それよりは最大出力期待で3+3+3=9の《氷結界の龍 トリシューラ》を差しておくのがオススメです。

さて、《ファーニマル・ウィング》は2ドローが強い!アド!っていう話をしてきたんですけど、《ファーニマル・ウィング》の恩恵はもう一つあって、それは事故の緩和です。《トイポット》被りの事故をSSR確定ガチャにしてくれるんですね。
意味不明だと思うので例を出します。

2015-12-13_014111.png

後攻初手に被る《トイポット》の図。補助パーツでしかない《トイポット》が手札を圧迫して手札の質が下がっています。
初動の《魔界発現世行きデスガイド》があるのはいいんですけど、この2枚ある《トイポット》ははっきり言って邪魔です。捨てたいカードが特になく、適当にぶっぱでガチャを回して排出が悪かったらそのままアド損死しそう。
このように二枚三枚と重ねて《トイポット》を引いてくると捨てられる手札の選択肢もどんどん減っていくため、毎ターン全部を都合よく使えるとも限らず、ひたすら《トイポット》を設置しまくるだけで何もできない!という事態になりかねません。実質《トイポット》の《ファーニマル・ベア》も合わせると《トイポット》は合計6枚投入されているため、被る確率は高めです。

かといって引いてしまったものは仕方ないんだけど、どうすっかな?
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ハンドを見つめる俺……このガチャガチャハンドを抱えて沈むしかないのか……!?
ここで閃きました。《トイポット》で《トイポット》を捨ててガチャ、捨てた《トイポット》の効果で《ファーニマル・ベア》サーチ。
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《魔界発現世行きデスガイド》から《幻影騎士団ブレイクソード》、設置済みの《トイポット》を破壊して効果、《ファーニマル・ウィング》サーチ。
4d062ccc[1].jpgcard100018806_1[1].jpg
《ファーニマル・ベア》効果、《トイポット》設置。
4d062ccc[1].jpgcard100018844_1.jpg
新しい《トイポット》で《ファーニマル・ウィング》を切ってガチャ。
これで墓地に《ファーニマル・ウィング》《ファーニマル・ベア》、場に《トイポット》の盤面になりました。つまり《ファーニマル・ウィング》の効果が使えます。要するに《幻影騎士団ブレイクソード》経由で《ファーニマル・ウィング》を使って、《トイポット》2枚を2ドロー1サーチ(+ガチャ2回)に変換できたわけです。事故解決ですね。

実は、《トイポット》まわりの被りハンド……
・《トイポット》+《トイポット》
・《トイポット》+《ファーニマル・ベア》
・《ファーニマル・ベア》+《ファーニマル・ベア》
・《トイポット》+《ファーニマル・ウィング》
・《ファーニマル・ベア》+《ファーニマル・ウィング》
このへんは全て最終的に《ファーニマル・ウィング》のドローにまでこじつけるルートが存在します。《ファーニマル・ベア》の効果にはターン1制限があるため1ターンでは無理なものもありますが、最悪2ターンあれば《ファーニマル・ウィング》効果でドローに変換できます。
やるやん。

以上、英知を結集したガチャ幻影騎士団のサンプルを貼っておきます。
2015-12-17_001237.png

幻影騎士団のベースはガイド彼岸とSRの折衷です。
これはギミックを40枚に押し込んだ状態(改訂前だからやりたいことだけ詰め込んである)なので、ここから幻影騎士団を増やしたり《ツインツイスター》を入れたり《緊急テレポート》《幽鬼うさぎ》を組み込んだりするといいですね。《魔封じの芳香》は《幻影騎士団ブレイクソード》と噛み合っていて幻影騎士団でかなり強いと思ったんですけど、《トイポット》との相性が絶望的なので諦めてください。

あと採用したカードとかしてないカードについて少し書いておきます。

・《幻影騎士団フラジャイルアーマー》
一枚差しておくと墓地の《幻影騎士団ラギッドグローブ》からアクセスして手札の幻影罠をドローに変換できます。《幻影霧剣》以外の幻影罠は《幻影騎士団ラギッドグローブ》から落とす選択肢として入れておきたいのですが、性能はそれほど高くないのでこの変換ルートが有るのと無いのとではだいぶ違います。
引いたら《トイポット》で捨てて。

・《キングレムリン》
《幻影騎士団ブレイクソード》から出してアドバンテージを突き放せる闇ランク4です。何をサーチするか問題。
第一案は《ライト・サーペント》で、《トイポット》で捨てるとフィールドに出るレベル3なのでそのままエクシーズに使用できます。しかし、幻影騎士団と違って単体で引いたら使い道が無い上に捨てない限り一切役割が無い(捨てることを強制される)のであんまり強くなくて没。光属性なせいで《幻影騎士団ブレイクソード》の蘇生効果を使ったターン(=《キングレムリン》を出したターン)には使えないのもマイナスです。
第二案が《カメンレオン》で、《魔界発現世行きデスガイド》から《彼岸の悪鬼 ハックルスパー》《彼岸の悪鬼 アリキーノ》をリクルートしておくと守備0なので蘇生して7シンクロが出せます。《パワー・ツール・ドラゴン》から《D・D・R》をサーチするのがオシャレですね。しかし他SS不可の制約がキツくて没。

・《スピードリバース》
引いて《SRベイゴマックス》蘇生、墓地に落ちてもサルベージが使えるので墓地肥やしに巻き込んだり《永遠の淑女 ベアトリーチェ》で落とすとオシャレです。ちょっとドヤれるけどそれほど強くはないので、あってもなくてもって感じです。

・《エッジインプ・シザー》
《魔界発現世行きデスガイド》からリクルートするだけでなく《トイポット》からもサーチできます。

おわり
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2015年09月14日

【その他】04環境で学ぶ遊戯王のプレイングのイロハ



無題.png
だいぶ古いTweetですが、未だに時々RTされているので04環境を勧める記事を書きます。
ツイート内の画像にも書いてある通り、04環境とは2004年頃のグッドスタッフをベースにした同一内容のデッキでシングルミラーを行う遊びです。通常のデュエルとの違いは使用デッキの構築が固定されていることだけです。
発祥地が老人ホームなので先攻ドローや優先権起動効果などのルールも当時に合わせることが多いですが、最近はその時代を知らない人も多いでしょうし個人的にはどっちでもいいと思います。

今回は04環境の普及が目的ということで、細かいカードの使い方(「《お注射天使リリー》はいつ召喚するべきか!?」……など)については一切触れず、04環境をプレイすると身に付くプレイングのイロハとは何かということについて書いていきます。
獲得できるプレイングのイロハ、それは……

1.相手のリソースを予測する能力
2.自分のリソースを管理する能力
3.ゲームの方向性を決定する能力

この3つです。
これらのスキルは普通に遊戯王をしていても得られますが、04環境は

・構築が固定されているため判断ミスに対して甘えた言い訳が出来ない
・1つのアクションで2アド3アドを得るようなムーブがあまりないため、試合が大味になりにくい

という二つの特徴から、判断を丁寧に検討する練習に向いています。また、これらの特徴は最近流行りのキューブドラフトとも概ね共通していて、ドラフトを戦う地力を鍛えるのにもぴったりです。

では、詳しい解説をしていきます。

1.相手のリソースを予測する能力
相手のリソースとはすなわち伏せと手札ですが、それらを読むために何をしなければいけないでしょうか?《サイバー・エスパー》や《久遠の魔術師ミラ》を出すわけではありません。
現実の遊戯王から話を始めましょう。最近(最近か?)だと4軸炎星の《炎舞−「天キ」》は教科書的なカードでした。
例えば相手の場に《マシンナーズ・ギアフレーム》が立っていて伏せが数枚、自分が《炎舞−「天キ」》を持っているとしましょう。今から
1.《炎舞−「天キ」》発動
2.《暗炎星−ユウシ》サーチ
3.《暗炎星−ユウシ》召喚
4.《暗炎星−ユウシ》効果で《マシンナーズ・ギアフレーム》を破壊
5.《暗炎星−ユウシ》アタック、サーチ効果
というアクションを行います。これは一枚の《炎舞−「天キ」》から《暗炎星−ユウシ》を構えつつ後続を確保する、アドバンテージ的に非常に強力な動きです。逆に相手からすると通したくない動きになるので、可能であれば妨害してくると予想できます。ここで相手が使える妨害手段について考えてみると、
1.《炎舞−「天キ」》発動 ←《サイクロン》
2.《暗炎星−ユウシ》サーチ ←《マインドクラッシュ》
3.《暗炎星−ユウシ》召喚 ←《奈落の落とし穴》
4.《暗炎星−ユウシ》効果 ←《エフェクト・ヴェーラー》
5.《暗炎星−ユウシ》アタック ←《次元幽閉》
というように、様々なカードが使えます。
相手が妨害手段を持っていれば使用してくるということであれば、それはもし相手が妨害してこなければ妨害札は相手の手中に無いということを意味します。つまり、上のアクションが通るだけで「相手の伏せが《サイクロン》でも《マインドクラッシュ》でも《奈落の落とし穴》でも《次元幽閉》でもなく、《エフェクト・ヴェーラー》も持っていない」という情報を得られるわけです。となると、伏せは《神の宣告》あたりでしょうか?《血の代償》かもしれません。
これが伏せを読む方法の基本です。《炎舞−「天キ」》はあらゆる除去を踏むおかげであらゆる確認をこなしてくれる模範的な伏せチェッカーというわけです。
注意として、読んだバックは見えているわけではないので、相手とカード評価に差があった場合は伏せを読み違える可能性が常にあります。相手が《暗炎星−ユウシ》の破壊やサーチを脅威に感じておらず、他のポイントに《奈落の落とし穴》を温存したいと思っていた場合は、こちらの読みは外れることになります。特に《激流葬》など後打ちでも強い罠や《強制脱出装置》のような完全フリーチェーンはそうでないものに比べて読みづらいです。
このように妨害ポイントという観点で04環境のリストにある魔法罠をチェックしてみると、召喚反応は《奈落の落とし穴》《激流葬》、攻撃反応は《炸裂装甲》、フリーチェーンは《スケープ・ゴート》《破壊輪》等という具合に機能が細分化されています。
例えば、相手が先攻をバック1伏せで終えた場合、こちらの《首領・ザルーグ》の召喚アタックまで通ったら何がわかるかを考えてみます。
《首領・ザルーグ》を妨害する選択肢があったにも関わらず妨害しないというのはあまり考えられません。《首領・ザルーグ》を妨害出来る伏せではなかったと見るのが妥当でしょう。よって、《激流葬》《炸裂装甲》《破壊輪》《スケープ・ゴート》が選択肢から消えます。特にフリーチェーンである《破壊輪》《スケープ・ゴート》が選択肢から消えるのは嬉しいところです。残る可能性は《サイクロン》《砂塵の大竜巻》《奈落の落とし穴》《リビングデッドの呼び声》、ブラフの5種です。
更に、こちらが何かを1枚伏せてエンド。この1伏せが生きたまま相手が次ターン《霊滅術師 カイクウ》あたりを召喚して殴ってきた場合、相手の伏せは《サイクロン》《砂塵の大竜巻》ではないことがほぼ確定します。《霊滅術師 カイクウ》のアタックを《炸裂装甲》《奈落の落とし穴》《破壊輪》に弾かれて次ターンに《首領・ザルーグ》のハンデスおかわりというのは定番かつ最悪のパターンなので、それを避けるために伏せはエンドサイクで破壊しておくのが妥当だからです。ここまでくれば、残りの可能性は《奈落の落とし穴》《リビングデッドの呼び声》、ブラフの3種。先攻1ターン目1伏せで《リビングデッドの呼び声》セットというのはやや不自然なので、本命であればほぼ《奈落の落とし穴》と思っていいでしょう。1ターンの攻防でここまで絞れます。
ちなみに、同じやり方で相手の手札もある程度予想出来ます。先ほどの例で《霊滅術師 カイクウ》が殴ってきたことからは、相手が《魔導戦士 ブレイカー》を持っていないことが予想できます。《魔導戦士 ブレイカー》であれば《炸裂装甲》を回避できるため、《首領・ザルーグ》を戦闘破壊できる確率が更に高く、持っていれば使うと考えられるからです(「持っていれば使う→使われないならば持っていない」というのがリソース予測の黄金パターンです)。《魔導戦士 ブレイカー》が無いとわかれば、《異次元の女戦士》縦+《炸裂装甲》のような《魔導戦士 ブレイカー》を裏目とする布陣が許容されます。

2.自分のリソースを管理する能力
スタイリッシュサイクロンという言葉が使われ始めたのはTwitter検索によれば2011年頃のようです。伏せをケアする努力をせずに投げられた《ダーク・アームド・ドラゴン》や《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》は《奈落の落とし穴》と1:1交換するだけのちょっと大袈裟な《サイクロン》だという揶揄ですが、かなり本質を突いています。パワーカードを投げる前には安全確認をして丁寧にエスコートするのが理想で、直接的には伏せを剥がす、それが無理なら伏せを読むのが重要です。自分のリソースを有効活用するのにも努力が必要なのです。
伏せ読み以外にも自分の本命を通すのには色々方法があり、本命の前に囮を置くプレイは代表的なものです。クリフォートが《スキルドレイン》を発動する際、あえて使い道の狭い《デモンズ・チェーン》から捲って《サイクロン》を誘うというのは囮の発想を使ったプレイングです。《スキルドレイン》が通ってしまえば勝ちなので、他の伏せで除去の枯渇を狙うわけです。
04環境では初手《強欲な壺》《聖なる魔術師》が揃った場合、《聖なる魔術師》による《強欲な壺》回収が通ればほぼ勝ちと言ってもいいでしょう。ここで警戒するべきはセットされた《聖なる魔術師》が除去されて効果を発動出来ずに退場することで(《聖なる魔術師》を潰せるカードは《抹殺の使徒》《ブレイドナイト》《ならず者傭兵部隊》)、ここは除去の有無を相手に委ねるのではなく、とりあえず他のモンスターを伏せて安全を確認したいところです。後ろから見ていた感じ、勝率が5割を超えるプレイヤーは誰に教えられるでもなく全員やっていました。はっきり言って相手が弱いプレイヤーの場合、囮プレイに裏目はありません。囮につられて除去を打ってきた場合はラッキー、除去が無いなら次ターンゆっくり《聖なる魔術師》を伏せればいいだけです。
相手側が囮を想定することも可能ですが、囮を想定した除去の温存というのは大抵裏目があり、釣りに来ているのかどうかの見極めは難しいため囮を使う側有利という印象です。例えば温存した除去を使う機会が無くなるのは失敗ケースで、囮を警戒して《抹殺の使徒》を温存した場合は次ターン以降相手が裏守備を出さなかった場合に使い道の無いカードを抱え続けることになります。また、《ならず者傭兵部隊》は裏守備に使って《キラー・スネーク》を踏んでしまったときに0:1交換になるので攻撃表示モンスターに使った方が確実で、相当な確信が無い限り《聖なる魔術師》一点読みで繰り出すのはリスキーです。
他にもリソースの使い方として重要なのはシナジーの意識です。《同族感染ウィルス》+《キラー・スネーク》のようにコンボとしてセットで使いたいカードも勿論これに含まれますが、特定の戦術に対して組み合わせて初めて大きな効力を発揮するカードというものも存在します。
リアル遊戯王で言えば、クリフォート(→)の《エフェクト・ヴェーラー》は実はシナジーのカードでした。下級クリフォート+《機殻の生贄》という定石の構えは次ターンの生け贄召喚ですぐに勝負を決められる事実上の王手ですが、相手からすると戦闘で突破できず、しかも《機殻の生贄》をサイクロンなどで抜いていてはアド損が激しくなってしまう辛い構えです。《鳥銃士カステル》など特殊な機能のモンスターで《機殻の生贄》を排除するか、除去効果持ちのモンスターでクリフォートごと除去するのが定番でした。《エフェクト・ヴェーラー》はこの予想される相手の動きを確実に狩って不発に終わらせるのが美味しい使い方で、戦略単位でシナジーを持ったカードであると言えます。このシナジーを無視して、ちょっとアドを取るだけのモンスターが単騎で出てきてからといって焦って《エフェクト・ヴェーラー》を消費してしまうと、王手をかけられていたはずの盤面が崩壊する危険が生まれてしまいます。可能な限りは頑張って他の受けで対応したり、多少のライフ損失・アドバンテージ損失は許容して本来の動きを意識するのが良いと言えます。
04でもシナジーを意識できるカードが随所にあります。《キラー・スネーク》《ライトニング・ボルテックス》のセットは当然として、《キラー・スネーク》《激流葬》あたりも使い方を考えれば2:1交換が狙える組み合わせになっています。相手の攻撃を《キラー・スネーク》セット→破壊→回収→セットで受け続け、痺れを切らした相手がライフを取るために下級モンスター追加や《天空騎士パーシアス》召喚と動いた瞬間に《激流葬》というやり方で2:1交換を取れます。これは多少のプレイが絡むもので、適当に動いて《激流葬》を消費してしまった結果アドバンテージを得る機会を逃している光景も見ます。相手の場が空いているのに《キラー・スネーク》《激流葬》を伏せた結果、《異次元の女戦士》が召喚されてしまい《激流葬》というのは、シナジーの観点からすれば最悪のケースです。「アド損しないからセーフ」じゃないですよ。余裕でアウトです。2:1が狙えた組み合わせの手札が1:1になってしまいました。
戦略単位のシナジーを持つカードについてはカードの説明になってしまうので省略しますが、このようにシナジーを理解すればどの順番でカードを払い出していくのか、それは何故なのか、自分が今何を狙うべきなのかをよく考えることが出来ると思います。

3.ゲームの方向性を決定する能力
ライフとアドバンテージは一つを求めれば一つは手に入らないトレードオフの関係にあり、局面ごとにどちらを求めるべきかという話です。
といっても、最近の遊戯王はトレードオフという前提自体が崩れており、ライフもアドバンテージも取れるド安定ムーブが主流なので時が流れるにつれてこれはあまり役に立たなくなってきている感があります。例えば《クリフォート・ディスク》召喚とかいうアクション、何故か生け贄がアドバンテージになり火力もアドも得られるためどう考えても出し得です。
仕方ないのでドラフトにありがちな光景として……

自分場:《サイバー・ドラゴン》 伏せ《エネミーコントローラー》《次元幽閉》
相手場:《炎帝テスタロス》

今相手ターンで《炎帝テスタロス》が《サイバー・ドラゴン》にアタック。このアタック自体はどちらの伏せでも捌けますが、どちらを使うべきかを考えてみます。
・《エネミーコントローラー》を使う場合
より対応範囲が広い《次元幽閉》を温存できる。《次元幽閉》はリクルーターや高守備力モンスターに対しても有効で、そういうモンスターが後に出てきた場合も困らない。
・《次元幽閉》を使う場合
返しに《サイバー・ドラゴン》の直接攻撃が通るため、ライフを2100削れる。もう一体モンスターを追加すればライフをほぼ半分削れるため、2ターンで相手を殺せる計算である。つまり、次の相手の行動にも除去を合わせることが出来れば、もう勝つ。
これがアドを取るかライフを取るかの選択です。アドを取る選択は後々裏目が生じにくいですが、ライフを取る選択はリスキーな代わりに早々に勝ちを確定する魅力があります。最終目標は勝つことですから、勝てるなら勝っておくのが当たり前に無難です。
こういうシーンでは現状の相手のリソースと未来のゲーム展開の二つを予測する合わせ技を使うことになります。妨害が無ければゲームが終わるプランを持っていることは前提として、このプランを妨害できる相手のリソースは何かを検証し、相手がそれを持っている確率とこちらがそれを除去出来る確率を勘定して、裏目が小さければゴーサインです。
04環境では《ライトニング・ボルテックス》《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》あたりは露骨にカードとライフを交換する機能を持っています。《ライトニング・ボルテックス》はいつ打つ予定か、次のターンに打てば何ポイント取れるのか、アド損を許容して打つのか、《キラー・スネーク》を待つのか?《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》はどちらの効果を使うのか、《炸裂装甲》が無いことは確認してあるか、殴って裏目になるカードは使用済みか?などを引いた瞬間から(引く前から)考えることになります。
また、均衡するアドバンテージの中で互いにライフを削り合うゲーム展開においては、細かいライフ計算を意識する機会が多いです。これはド火力を押し付け合う現代遊戯王でも効いてくるポイントで、盤面が圧倒的に不利な状況からリソースオールインで瞬間火力を押し込んで勝利するのはいわゆる捲りの典型的なパターンです。
ライフを詰めて勝利するルートへの移行というのは必ずしも「この動きならこのターン中に殺せる」というキルルートの発見に限ったことではなく、数ターンがかりのツーキル以上の想定力も要求されてきます。個人的な感想ですが、これは横から見ていればよく気付くのに自分でやっているときにはほとんど気付けないもので、最もよくセンスと経験が現れるスキルの一つのような気がします。
例えば相手ライフ4000でリソースほぼ無し、こちらのリソースは場の《霊滅術師 カイクウ》と手札に《キラー・スネーク》《炸裂装甲》という状況。改まって書いてみると当たり前に思えますが、《キラー・スネーク》の貧弱なボディがアタッカーに見えないからといって《キラー・スネーク》を召喚しないのは悪手です。《キラー・スネーク》を召喚して2体で殴るのが正解ですね。2体で殴れば2100入るので次ターンには相手のライフを0にできますが、《霊滅術師 カイクウ》だけでは1800しか減らないので相手ライフ残り2200となり、次のターン慌てて《キラー・スネーク》を追加しても100残ってしまいます。ここで甘えた結果トップ《魂を削る死霊》で粘られ五分に引き戻されずるずると逆転負け、死んで出直しましょう。


ところで、他にも現実の遊戯王で言うところの《カードカー・D》召喚から《エフェクト・ヴェーラー》警戒で《強欲で謙虚な壺》セットを経由した発動のような環境固有の狡いテクニックはいくつもあります。例えば、04環境では攻撃力が2501〜2999のモンスターやその攻撃力が発生するシチュエーションは存在しません。よって、《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》縦を倒せず《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》横を倒せるモンスターは同じ《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》のみであり、相手の《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》が消費されている場合は自分の《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》に殴らせない場合は横が安定になります(縦の場合、《お注射天使リリー》に殴られたときに400ポイントを無駄にします)。
こればかりは環境に依存するテクニックですから一つの環境で極めたところで他の環境がうまくなるとは思えませんが、違う環境で似たようなテクニックが発見されることは時々あります。例えば《スケープ・ゴート》は召喚行為を行ったターンには発動できないため、相手がモンスターを出したのを見てから《サイクロン》を打ち込むことでエンドサイクのようにフリーチェーンの《スケープ・ゴート》を発動させずに破壊するテクニックがありますが、これは相手が《強欲で謙虚な壺》を発動したターンにバック除去を打ち込むことで《リビングデッドの呼び声》《スターライト・ロード》など特殊召喚が絡むバックに強くなるテクニックと繋がるところがあります。手なりから外れたテクニックを発見するスキルもプレイングのイロハのニとして加えておきたいと思います。

おわり
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2015年03月12日

【その他】対特殊勝利デッキ

ターボ系統の特殊勝利デッキ、主にチェーンバーンを相手にするときのプレイングについて書きます。ターボ系統の特殊勝利デッキというのは、《和睦の使者》《バトルフェーダー》などのダメージ軽減カードを使って毎ターン生き延びながら、《積み上げる幸福》《カードカー・D》《活路への希望》のような高効率ドローソースによってキーカードを収集し、それらを使って勝利するデッキのことです。キーカードがバーンパーツならチェーンバーン、カウントダウンならカウントダウン、エクゾディアなら活路エクゾになりますが、根本はあまり変わりません。
特殊勝利デッキが完全に地雷と化した今、投入するスペースが無い(あるなら逆ストで勝てる)のでサイドカードの話はしません。チェーンバーンの話が出ると必ずサイド対策で勝てるマンが現れるんですけど、そんなスペースはありません。プレイングの話をします。


0.サンプルレシピ
2014/1/13 三重CS2位 とりでマン【チェーンバーン】/ねぎとろ【チェーンバーン】→


1.バック破壊カードの使い方(ターボ全般)
セットカードを中心にデュエルを展開するターボデッキに対し、バックに触るカードは最も直接的に相手の戦略に干渉していくリソースになります。

1-1.SS2のバック破壊カード
《サイクロン》等、相手ターンに使用出来るカードについてです。
基本はチェーンを潰して確実な1:1交換を取れるエンドサイクです。エンドで撃っていれば損な取引をすることはまず無いので割と適当に撃っていってもいいのですが、エンドサイクは1:1交換をする以上に《積み上げる幸福》を潰せる可能性のあるアクションです。
例えば相手が3伏せ、中身が《強欲な瓶》《八汰烏の骸》《積み上げる幸福》だとして、ここにエンドサイクを撃ちます。このとき、《積み上げる幸福》を破壊した場合だけではなく、《八汰烏の骸》を抜いた場合でも残る伏せは《強欲な瓶》《積み上げる幸福》となり、次のターンで《積み上げる幸福》に辿り着くことが(こちらが無駄にチェーンを積んで自滅しない限り)出来なくなります。つまり、3伏せの中から《積み上げる幸福》を破壊出来なかったとしても、返しのターンでは一時的に《積み上げる幸福》は封印されることになります。封印状態の《積み上げる幸福》を破壊するのはSS1のカードでも間に合うので、エンドサイク以外で本来フリーチェーンの《積み上げる幸福》を潰せることになるわけです。もし返しで破壊出来なかった場合であっても、その《積み上げる幸福》が使えるのは次のターンにフリーチェーンを補充し、それらを発動する更に次のターンになるので、テンポへの被害は大きいです。
また、エンドサイクは連射することで4枚以上のフリーチェーンが伏せてある場合でも《積み上げる幸福》を封印出来ることや、伏せが少なければ少ないほど《積み上げる幸福》が封印される確率が上がることがわかります。
連射を狙って《サイクロン》を溜めこむ余裕はあまり無いのですが、そんな感じで《積み上げる幸福》の位置を意識出来ると良いと思います。

1-2.SS1のバック破壊カード
まあ結局のところ《サイクロン》はエンドで適当に使っても有効で、差が付くのはより数の多いSS1の使い方です。
SS1のバック破壊を使うべきタイミングは
・エンドサイク発動直後
・メインフェイズ2
・相手の《一時休戦》の発動直後
などです。エンドサイク発動直後に使うと《積み上げる幸福》を潰せることはさっき説明したので、二つ目について書きます。《一時休戦》については《一時休戦》の項目で書きます。
例えば、既にこちらが致死量相当の戦力(相手が《和睦の使者》等を発動しなければライフを削りきれる戦力、毎ターン相手に防御カードの使用を迫れる戦力)を構えており、相手が4伏せという状況でハンドに《魔導戦士 ブレイカー》を持っているとします。
このとき、漠然と攻撃反応罠を恐れ、殴る前に《魔導戦士 ブレイカー》を召喚して効果を発動するのはかなりの愚策です。正解はまず先に攻撃宣言、防御カードの使用を確認してからメイン2に《魔導戦士 ブレイカー》召喚、破壊効果です。
簡単に言うと、これは相手のエンドサイクケアのプレイングを狩るためです。
まず相手の立場になって考えてみると、前ターンに伏せるカードを決定する段階から常にエンドサイクのリスクに晒されていることがわかります。《和睦の使者》系の防御罠はエンドサイクには無力であり、例えば《和睦の使者》《強欲な瓶》《八汰烏の骸》という伏せでターンを返したとき、エンドサイクで1/3、連射なら2/3で《和睦の使者》を抜かれた場合、他の伏せが生きていようが即死です。《和睦の使者》が文字通りの生命線であり、なんとしてもこれを抜かれることを避けなければいけないわけです。このとき、エンドサイクをケアする最も簡単なプレイは出し惜しみせずに防御罠を2枚伏せておくことです。先程の伏せに更に《威嚇する咆哮》を足し、《和睦の使者》《強欲な瓶》《八汰烏の骸》《威嚇する咆哮》と伏せておくことでエンドサイクを撃たれても敗北は無くなり、連射されようが2枚を綺麗に抜かれる確率は1/12まで下がります。さっきと比べると生きる確率は8倍です。《バトルフェーダー》《速攻のかかし》を持っている場合は即敗北ということは無くなりますが、それらも《虚無空間》や《月の書》でケアは可能なので、保険をかけて罠を重ねて伏せることは十分にあり得る選択肢になります。
《魔導戦士 ブレイカー》の話に戻ります。
相手がエンドサイクをケアするセットを行っていたとして、まず《和睦の使者》《強欲な瓶》《八汰烏の骸》《威嚇する咆哮》という内容の伏せに対して殴る前に破壊効果を使った場合、何を踏んでも発動されてしまいます。《和睦の使者》を踏まれたら《和睦の使者》を捲ればいいだけ、ドローソースを踏まれればドローソースを捲ればいいだけです。破壊効果は全く何の影響も持たず、貴重な破壊効果をドブに捨てているのと同じです。
ところが破壊効果を使う前に攻撃宣言をすると、バトルフェイズで《和睦の使者》を消費する必要が生まれます。バトル終了後の伏せは《強欲な瓶》《八汰烏の骸》《威嚇する咆哮》となり、このうちエンドサイクケアで伏せた《威嚇する咆哮》はメインフェイズ2では既に役割を失っているため、対象にされれば破壊されるしかないわけです。《魔導戦士 ブレイカー》で《威嚇する咆哮》を破壊出来た場合、そのまま次ターンの防御を削ることに繋がります。
もちろんハズレを踏むこともありますが、何を踏んでも無意味だったバトル前に比べれば一定の確率で意味のあるアクションが出来るわけですから、有効なプレイングと言えます。
なお、防御罠の中でメインフェイズ2でも発動を持ち越せる例外が《魂の氷結》と《スケープ・ゴート》です。
《魂の氷結》はメインフェイズ2で発動した場合でも次の相手ターンのバトルフェイズをスキップするため、エンドサイクケアをケアしたメイン2破壊のプレイを更にケア出来ます。発動条件の都合上チェーンバーンにはまず入らないカードですが、発動出来るデッキ、特に活路系のデッキではそうした理由でかなり有力な防御札です。
ちなみに、自分が持っている破壊カードが《大嵐》である場合はメインフェイズ1でも2でもエンドサイクをケアした分の罠を削れるので、この理由での発動待ちは行う必要がありません。が、それでもメインフェイズ2で発動すべき別の理由があります。
もう一つの理由とは、相手の甘えた伏せを狩れることです。この場合は「メインフェイズ1に何も発動しないこと」が肝になってきます。
甘えた伏せとは、相手がこちらのアクションに期待した《積み上げる幸福》に繋げる3伏せのみを仕込んでいるようなセットで、具体的には伏せが《積み上げる幸福》《強欲な瓶》《和睦の使者》のようなケースです。このとき、ターボ側は相手が何かを発動したのにチェーンする形で《和睦の使者》《強欲な瓶》《積み上げる幸福》と捲ってドローすることを狙っています。この状態でこちらがメインフェイズ1で何も発動することなく攻撃宣言まで行動した場合、相手は死なないために攻撃宣言時で《和睦の使者》を捲る必要が生まれます。このときチェーンは最大でも3までしか積めないので、《強欲な瓶》《積み上げる幸福》は場に残ることになります。そしてメインフェイズ2に《大嵐》を使うと、伏せ2枚では《積み上げる幸福》を発動出来ないので、そのまま通って《積み上げる幸福》を破壊出来ます。《大嵐》以外の破壊カードを発動する場合も同様です。
これはターボ側の裏目のある伏せに付け込んだプレイングと言えますが、ターボ側が下手だからこういう伏せ方をしてしまうわけではなく(そういう場合もありますが)、リソースが細い場合、《積み上げる幸福》が被ったりしてチェーンを積み上げる役割のカードが少ない手札の場合などは、こういう甘えた伏せで構えるしかなくなってしまうことがあります。仮に4伏せだったとしても内容が《積み上げる幸福》《積み上げる幸福》《強欲な瓶》《和睦の使者》等であれば起こるケースです。


2.各カードへの対応

2-1.積み上げる幸福(ターボ全般)
破壊カードの使い方の項で書いたので大体全部なんですけど、気持ち程度に他のことを書きます。
まずカウンターカードを持っているとき、いかにも《積み上げる幸福》に繋がりそうなチェーン積み上げを見た場合、チェーン3に対してSS3のカウンターを打ち込むと《積み上げる幸福》を潰せます。このとき、捲れずに残っている伏せは《積み上げる幸福》である可能性が高いというのもポイントで、もはやその《積み上げる幸福》はフリーチェーンではなくなるので、続くアクションで破壊出来ると理想的です。
同名カードをチェーン上に積むことで《積み上げる幸福》を封印するテクも極々稀に使えます(ほとんど使えません)。例えば《強制脱出装置》を2枚持っている場合、1枚目の《強制脱出装置》で相手のチェーンを誘い、3までチェーンが積まれたのを確認してからチェーン4で2枚目の《強制脱出装置》オープンというアクションで《積み上げる幸福》を潰せます。《王宮の弾圧》が現役の頃はチェーンバーンの《王宮の弾圧》にチェーンでこちらも《王宮の弾圧》空オープンとかいうこともあったんですけど、今ターボ側と同じカードを使えることはあんまり無いですね。

2-2.スケープ・ゴート(ターボ全般)
状況にこそ左右されるものの1枚で2ターンを生き延びる可能性があるのが最大の強みで、これに成功した場合は1枚で2ドローを稼ぎ出すので《積み上げる幸福》相当の働きをすると言えます。除去カードの増えた現在にあっても、《スケープ・ゴート》を捲らせつつ羊4体を処分しながら致死ダメージを準備するほどの展開をすることは簡単ではありません。
特にチェーンバーンにおいては他のカードと細かいシナジーを形成し、相性が良いのは《おジャマトリオ》《自業自得》《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》あたりです。《おジャマトリオ》成立下ではアタッカーは最大でも2体になるので羊4体が確定2ターンの防御に化けるほか、羊を超えるためにモンスターを並べると《自業自得》に焼かれたり《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》に食われるというジレンマを押し付けてきます。
さて、《スケープ・ゴート》を意識するにあたって最も手頃な対策は貫通モンスターのアタックです。ダメージがダダ通りになり、羊トークンは実質防御として機能しなくなります。当然ではありますが、《スケープ・ゴート》は特に理由が無ければバトルフェイズに発動されるカードですから、捲れたのを見てから初めて貫通モンスターを意識するのでは遅すぎます。バトル前から《スケープ・ゴート》を想定してあらかじめ《迅雷の騎士ガイアドラグーン》をランクアップさせて攻勢に加えたりしておくことで、《スケープ・ゴート》発動ターンにも貫通ダメージを生産出来ます。ちなみに、羊トークンを貫通して通すダメージは《バトルフェーダー》《速攻のかかし》等の一部の防御カードに妨害されないため、貫通モンスターを構えた場合は貫通能力を持たないモンスターでは羊トークンにアタックせずに貫通持ちで殴る用に残しておくのも手です。
次に、《スケープ・ゴート》をケアした攻撃順序について話します。
例えば、こちらの場が《ドッペルゲンガー》《マシンナーズ・フォートレス》、相手が《スケープ・ゴート》を伏せているとします。このとき、手なりで攻撃力の低い《ドッペルゲンガー》から攻撃するのは悪手です。
何故かというと、脅威度の低いモンスターから先に攻撃をした場合、相手には《スケープ・ゴート》を発動しないという選択肢が生まれるからです。《ドッペルゲンガー》からアタックしたとして、相手は《ドッペルゲンガー》の攻撃をスルー、続く《マシンナーズ・フォートレス》の攻撃に初めて《スケープ・ゴート》を合わせることで、650のダメージと引き換えに羊トークンの損失を1匹に抑えることが出来るわけです。次のターンにこちらがモンスターを1体しか追加できなかったとすれば、残り3匹の羊トークンを潰すのが限界で、2ターンに渡りまともなダメージを通すことが出来ません。
《マシンナーズ・フォートレス》から殴っておけば、相手は2500ダメージをスルー出来ないので《スケープ・ゴート》を捲らざるを得ません。そのまま《マシンナーズ・フォートレス》の攻撃を続行して1匹を消し、続けて《ドッペルゲンガー》のアタックで計2匹を葬ります。先程と同様に次のターンでモンスターを1体しか追加できなかったとしても、残りの羊は2匹なので《マシンナーズ・フォートレス》の直接攻撃を通すことが出来ます。脅威度の高いモンスターから攻撃することで《スケープ・ゴート》の発動を強制することが出来るわけです。

2-3.速攻のかかし(ターボ全般)
有名ですが、《速攻のかかし》が発動したときに殴っているモンスターを《月の書》で裏側にしたり場から離したりして攻撃から取り除けば《速攻のかかし》は不発になりバトルフェイズ終了を回避出来ます。それだけです。

2-4.一時休戦(主にチェーンバーン)
パワーカードの一つです。防御とドローを兼ねるため、《積み上げる幸福》と並びアドバンテージリソースになります。
《一時休戦》は発動しても手札が減らないため、それまでに《積み上げる幸福》や《カードカー・D》で手札を増やしていた場合に手札が7枚を超えることも珍しくありません。そこはフリーチェーンを擁するチェーンバーン、魔法罠を場に伏せれば手札調整を逃れることが出来るわけですが、ここにも付け入る隙が有ります。《一時休戦》は発動したプレイヤーだけではなく、発動されたプレイヤーも次ターンのダメージを受けなくなるのがポイントです。
《一時休戦》を発動した次のターン、チェーンバーンがバーンカードを発動しても当然相手にダメージは入りません。これはチェーンバーン側にとっては《一時休戦》を発動した直後にはバーンカードをセットしたくないということを意味します。もし伏せたバーンカードが《一時休戦》適用中の返しでSS1の除去を受けた場合、捲ってもダメージが入らないため、ただ単にカード一枚を損したことになるからです。和睦系カードについても同様で、元々《一時休戦》の効果でダメージを受けないので、《和睦の使者》を伏せて破壊対象にされた場合は損になります。
つまり《一時休戦》発動直後にはバーンカードも軽減カードも伏せたくないのです。結果、伏せられるカードはかなり限られてきて、安全に伏せられるカードはSS2以上のドローソース等、《強欲な瓶》《八汰烏の骸》《おジャマトリオ》とか、その程度です。それらが引けていればそれを伏せて逃げられますが、手札調整の超過枚数分引けていない場合は、泣く泣く発動出来ないカードをセットすることになります。これを見逃す手はなく、返しに封印状態のカードを破壊出来ればそれはそのままアドバンテージになります。
つまり《一時休戦》発動直後、かつ相手が手札6枚を保持している場合はSS1の破壊効果が有効な可能性があるということです。ダメージが入らないからといって漫然とターンを回すのではなく、除去を当てるチャンスが訪れたと心得るべきです。
なお、このシチュエーションでは相手がセットを行う順番にも注意したいところです。伏せる順番に明らかなタイムラグがあった場合、後伏せしたカードの方が破壊すべき封印状態のカードである可能性が高いです。伏せるのが確定しているカードは先に伏せてしまって、その次に封印するカードを選ぶのが常識的な心情だからです。タイムラグを付けてセットしたにも関わらず本命を後伏せするプレイが出来るプレイヤーはかなり遊戯王が上手いです。

2-5.虚無空間(主にチェーンバーン)
チェーンバーンの《虚無空間》ではなく、自分の《虚無空間》についてです。《儀式魔人リリーサー》とかでも良いんですけど、この項目では特殊召喚封じのカードの扱いについて書きます。
意外にもチェーンバーンには影響を受けるカードが多く、比較的有効なカードです(むしろSS封じが蔓延している環境ではチェーンバーン側がそれを嫌って特殊召喚絡みのカードを抜いている可能性があります)。
・《スケープ・ゴート》
・《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》
・《おジャマトリオ》
・《バトルフェーダー》
いずれも強力なカードであり、これらを腐らせることで相応の痛手を負わせることが出来ます。チェーンバーン側は相手に触るカードを持っていないため、相手から解除されることもありません。
《虚無空間》を捲るに際して若干注意したいのが《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》の存在です。
《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》はこの中では唯一特殊召喚時にチェーンを組まないカードで、見てからの《虚無空間》が間に合わず、また、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》が着地した状態では《虚無空間》を捲りづらいです。《虚無空間》中には《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を処理しづらいので、ダメージを食らい続ける羽目になるからです。
《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を避けたい場合は《虚無空間》はなるべく先捲りするべきです。
更に言うと、先捲りで裏目になるのが《おジャマトリオ》です。
《虚無空間》チェーン《おジャマトリオ》というのはやや悪い展開です。逆順処理でおジャマトークンのSSが通ってしまい、《虚無空間》下ではチューナーを持っていたとしてもおジャマトークンを処分出来ず、ゆるゆると二体モンスターを並べて殴るしかなくなってしまいます。
この裏目をケアするにはフィールドを埋めた状態で《虚無空間》を捲るとか、エンドフェイズに捲るとかの工夫が必要になります。致命傷というほどではないので、可能ならという感じです。

2-6.おジャマトリオ(チェーンバーン)
おジャマトークンが処理出来ない盤面は非常に危険です。
《おジャマトリオ》が通ると発生する副次効果は3つです。
・殴れるモンスターが減るため通るダメージが少なくなる
・《自業自得》《仕込みマシンガン》の火力が爆上がりする
・システムモンスターを出せなくなる
チェーンバーン側からすれば殺すために引かなければいけない火力の必要枚数が減り、身を守るための防御カードを温存でき、《ブラックフェザー・ドラゴン》などの厄介なモンスターの登場が有り得なくなるため、一度通ってしまえばそれだけで2ドローや3ドローに相当するアドバンテージとなります。
《おジャマトリオ》ケアについて、まずはチューナーを場に残すのを心がけることです。
例えばハンドに《六武衆の影武者》、伏せに《諸刃の活人剣術》、墓地の《真六武衆−キザン》《真六武衆−カゲキ》を蘇生して《真六武衆−シエン》か何かを出したいシーンで、《諸刃の活人剣術》から捲るのはミスです。《六武衆の影武者》召喚から入って着地後に《諸刃の活人剣術》を捲るのが正解です。
《六武衆の影武者》召喚から入ると《諸刃の活人剣術》にチェーンの《おジャマトリオ》で《諸刃の活人剣術》が不発になりますが、それはそれで構いません。すぐにシンクロしてどかせますから、フィールドがおジャマトークンで埋まることに比べればカードの一枚や二枚が不発になることは許容と考えるべきです。
また、《おジャマトリオ》を意識した通常召喚権の扱いについても書きます。
なんか色々あって、《六武衆の影武者》と《六武衆推参!》がセットされた状態でターンが返ってきて、ハンドと墓地に《六武衆−ザンジ》という状況になったとします。
《六武衆の影武者》と《六武衆−ザンジ》を混ぜて6シンクロで攻めたいと思っており、素材にする《六武衆−ザンジ》は手札から召喚するか墓地から蘇生するかの選択肢があるわけですが、どのように展開するべきか。
蘇生を温存したときの効果などはひとまず考えないことにして、どちらから出すべきかというと、《六武衆−ザンジ》蘇生からです。
相手から見た《六武衆−ザンジ》蘇生直後の盤面を考えてみると、裏守備・《六武衆−ザンジ》という状態です。この状況では相手は《おジャマトリオ》の発動を待てません。通常召喚という行為はチェーンを組まないので、《おジャマトリオ》を発動せずに後続のモンスターの通常召喚を見逃してしまうと、フィールドが3つ埋まり、もはや永久に《おジャマトリオ》を発動出来なくなる可能性があるからです。こうなってくると、裏守備がチューナーでない可能性に賭けて、《おジャマトリオ》を発動せざるを得ません。この場合、《おジャマトリオ》処理後に《六武衆の影武者》反転、シンクロして処理することが出来ます。
これが《六武衆−ザンジ》通常召喚から入ってしまうと、相手は焦っておジャマトリオを発動する必要はなくなります。大抵の特殊召喚はチェーンを組むので、特殊召喚の宣言を見てからチェーンで《おジャマトリオ》の発動が間に合うからです。
多少例が不自然になってしまったんですけど、今言いたいことは通常召喚権を温存するプレイには《おジャマトリオ》の発動を焦らせる効果があるということです。


3.その他

3-1.ルーラーを過信するな(ターボ全般)
《王宮のお触れ》が有効なことからのアナロジーなのか、ターボデッキを相手取ったときに絶大な信頼を寄せられがちな《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》ですが、実際にはそれほど有効ではありません。
封印宣言に対してチェーンで罠を発動するタイミングがあるのが致命的で、罠宣言をしてもフリーチェーンは全て問題なく発動出来るし、防御カードも普通に有効になります。モンスター宣言をすればフリーチェーンではない手札誘発を潰せますが、他の防御罠を3枚引き込むだけで出番は終了となり、手札誘発が息を吹き返します。特に最悪なのが《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》を出したいあまりに場の総打点を下げてまでエクシーズ召喚してしまい、殴っても相手が死なない盤面にしてしまうパターンです。相手にとっては防御が潰されるどころか一回防御する必要が無くなるので《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が出ることで敗北に近付いたとすら言えます。
なお、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》を使いまわすことで抑え込みをかなり有効に使うことが出来ます。《強制脱出装置》などのバウンスを駆使して複数回出すことが出来れば、3回では足りずとも、6回の宣言で防御が枯渇する確率はそれなりに高まります。他にも《ダイガスタ・エメラル》を使った再利用ルートで、例えば《ギアギガント X》から《マシンナーズ・ギアフレーム》経由で《マシンナーズ・フォートレス》を回収しながら《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》X召喚→《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》効果3回使用→《マシンナーズ・フォートレス》で《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》をリリース→ガジェット2体で《ダイガスタ・エメラル》、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》回収→ガジェット3体で再度《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》というルートで(《血の代償》を経由して)メインギミックだけで《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》を出し続けられます。他にも《鳥銃士カステル》対象《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》など、意外と回収手段はあります。
全く効かないわけではないし狙えるなら狙って良いとは思いますが、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》を出せば勝てるという謎の幻想は捨てるべしということです。

3−2.ブラフを置け(ターボ全般)
セットカードが一枚も無い状態でターンを回すことは避けるべきです。
エンドフェイズに伏せが無いと、相手はエンドサイクをケアする必要が無くなるからです。防御カードを2枚伏せなくても良くなった部分に代わりにドローソースを置いてデッキを回しにいったり、とにかく楽になります。エンドサイクとして撃てるタイミングで捲らなかった伏せはブラフと看破され次ターン以降ケアされなくなる恐れもあるので、可能なら毎ターン伏せを入れ替えていけるとなお良いです。どうせセットしたカードが割られることは無いので適当に。

3-3.先後の選択(ターボ全般)
ターボデッキはコンボデッキです。
《カードカー・D》や《積み上げる幸福》で増やしたアドバンテージからアドバンテージカードを更に連鎖させていき、薄くなったデッキからキーカード・パワーカードを引き込んでいく構造をしており、個人的には聖刻よりもインゼクター、一度溶けると雪崩れていくタイプのデッキだと思っています。
これを踏まえて、チェーンバーンに対しては初動を潰すことで以降の機能停止を狙う方針が有効であることを意識したいところです。
先攻を取る場合、先手で《サイクロン》を主とする除去をセットすることでターボ側の後攻1ターン目の初動を潰し、そのまま何もさせずに押し勝つ目途が立ちます。
後攻を取る場合、今度は事故勝ちが狙いやすくなります。ターボ側の初手5枚のうちにドローソースなどを起動する手札が整っていない場合、後攻から殴れる1ターンが増えます。
一概には結論は出せないですが、先に伏せて妨害出来るカードが多い場合は先行、そういう戦略が立ちにくい場合は後攻が丸いと思います。

3-4.神の宣告(ターボ全般)
対チェーンバーンでは使い道が全く無いようでちょっとあるのが《神の宣告》です。
適当に撃つのは厳禁で、撃てるのはライフが大きく減った最終盤、引導火力のカウンターです。死なないところが死ななくなるので実質バーンカード1枚をそのまま無効に出来ると言えます。もう一枚あったら終わりですが、ギリギリの状況では勝負を分けることも無きにしも非ずと言う感じで、奥の手を拾ったという感じでポジティブに伏せましょう。
活路系のデッキが相手の場合は全く状況が異なり、《神の宣告》は1枚で勝ちが見えるゴッドカードになります。カードを1枚カウンターした上にこれまでの《三位一択》《成金ゴブリン》によるゲインを全て無効にし、《積み上げる幸福》以上の大量ドローが見込める《活路への希望》を以降全て潰すことが出来ます。

3-5.アドバンテージは捨てろ(チェーンバーン)
これは常識だと思うんですけど、《仕込みマシンガン》《自業自得》のダメージを軽減するため、対チェーンバーンで不要なカードは可能な限り手札・場から離すべきという例の話です。
アドバンテージの捨て方としては《大嵐》に巻き込む、積極的に手札コストを支払う、サーチ効果を使わないなどです。特に《マジックテンペスター》や《氷結界の龍グングニール》のように高効率でアドバンテージを捨てていける上にエクストラから出せるカードは構築段階で意識しておくと吉です。
しかし、使いどころの少ないカードでも使い道皆無というわけではなく、どこまで捨てていくかは悩むべきところではあります。絶対に使わないのは攻撃反応罠くらいで、《激流葬》《奈落の落とし穴》《エフェクト・ヴェーラー》は《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》《カードカー・D》とかに発動する見込みがあります。バックは1枚持っても《仕込みマシンガン》のダメージが200増えるだけなので、1、2枚は除去を残しておくのが丸いような気がします。
さて、手札を捨てる起動効果を持つモンスターを構えた場合、完全に単騎でのビートが可能になります。
例えば、《氷結界の龍グングニール》です。ドロー→アタック→ドローカードを捨てて効果(対象は適当)→エンドというルーチンで動くと、ほとんどリソースを持たずにアタックを続けることが出来ます。
この状態では相手が使用する各バーンカードの火力は大きく下がります。仕込みマシンガンは400固定、自業自得は500固定であり、2種6枚を撃ち尽くしたとしてもダメージは2700に留まります。唯一《連鎖爆撃》だけはそこそこの火力が期待でき、6コンボ2400ダメージくらいは出すかもしれません。モンスターを1体しか構えていない限り《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を出されることが無いので、攻めているモンスターが除去されることもありません。相手はキーカードが減った状態で毎ターン防御カードの払い出しを強要されるわけですから、基本的に優位な状況であると言えます。
ただ、基本的に優位なだけで絶対優位ではありません。
優位を崩すカードがトークン生成二種、《おジャマトリオ》《スケープ・ゴート》です。
《おジャマトリオ》は強制的にモンスターゾーンを埋め、死んでいたはずの《自業自得》(《仕込みマシンガン》も若干)が息を吹き返します。また、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》の生け贄を供給してしまうため、せっかく構えたモンスターが除去されてしまいます。ここまでアドバンテージを投げ捨ててきているので、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》で生命線のモンスターが除去されたが最後まともな展開は期待出来なくなり、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》で焼かれるのも時間の問題、一気に状況は悪くなります。
《スケープ・ゴート》についてはチェーンバーン側の猶予ターンの捻出が容易になるのが厄介です。《マジックテンペスター》のような破壊効果を持たないモンスターを構えていた場合は特に最悪で、《スケープ・ゴート》が捲れた時点でチェーンバーン側に4ドローが確定します。この間に溜め込みを許してしまい、《おジャマトリオ》や二枚目の《スケープ・ゴート》、十分な火力などの解決策を引き込まれる危険が高まります。
羊を叩くためにドローしたモンスターを送りだしたらそれはそれで《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》の裏目がケア出来なくなる危険も生まれるあたりは《スケープ・ゴート》の強みです。

3-6.爆弾カード(チェーンバーン)
見えたら面倒な爆弾カードが2種類あります。
《メタモルポット》と《魔法の筒》(《ディメンション・ウォール》)です。どちらも除去されるリスクがあり発動条件が厳しい代わりに異常に効率が良く、発動したら勝ちと言ってもいいほどのパワーカードです。
(除去過多な昨今では多分)どちらかといえば入っていない確率の方が高いので過剰に恐れて手を緩める必要はないですが、可能ならケアしたいところ、一回発動されたり《強欲で謙虚な壺》で捲れて見えていた場合は特にです。
《魔法の筒》ケアとして、「最大モンスターは殴らない」というプレイングが有効です。自軍の攻撃力の低いモンスターから順に殴り(《スケープ・ゴート》を意識する場合は二番目あたりから適宜)、一番攻撃力の高いモンスターは殴らずにバトルフェイズを終了します。相手は攻撃力最大のモンスターに《魔法の筒》を直撃させようとしているので、この手順で殴れば《魔法の筒》を発動させずに場に腐らせることが出来ます。一発芸というわけでもなく、一度このプレイングを見せることで次の攻撃時には相手は二番目に攻撃力の高いモンスターに《魔法の筒》を発動する羽目になったり、妙な行動を取らざるをえなくなってきます。
裏守備は流石に除去しましょう。以前はチェーンバーンの裏守備は《クリッター》と《メタモルポット》の二択で、《メタモルポット》を警戒して一生懸命除去をしたら《クリッター》が捲れて《バトルフェーダー》を回収されるということもあったんですけど、今は《クリッター》禁止なので決め打ちで良いです。

3-7.詰めているモンスターの信頼性(チェーンバーン)
3-4とも関連する話題です。
例えば《ブラックフェザー・ドラゴン》を構えることに成功し、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》ケアで他のモンスターは一切出しません、このまま毎ターン殴っていれば勝ち確!かというと実はそうではありません。チェーンバーンにはまだ《おジャマトリオ》→《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》という解決手段があります。裏目というには細い線ではありますが、3枚ずつ積めるので無視は出来ません。
逆に言えば、この裏目を潰している場合は本当に勝ち確になります。後ろで《虚無空間》を盾にして前に《ブラックフェザー・ドラゴン》を構えた場合や、《ブラックフェザー・ドラゴン》の代わりに《電光−雪花−》《人造人間−サイコ・ショッカー》を構えた場合などです。普通は除去手段は入っていないので、勝ち確と言って良いでしょう。
完全に詰んでいるかどうかという判定が問題になってくるのは主に《スケープ・ゴート》絡みのやりとりです。
《ブラックフェザー・ドラゴン》の単騎ビートが《スケープ・ゴート》に阻まれた場合やはり4ドローが確定、デッキを掘り下げることに長けているチェーンバーンが解決に辿り着く可能性が上がります。単騎ビートを続行すべきかどうかは一概には言えなくなり、モンスターを追加する選択も検討するべきです。
しかし、《電光−雪花−》単騎ビートの場合は《スケープ・ゴート》に攻撃を阻まれたからといって解決に辿り着かれることは永遠にないので、羊が現れたからといって焦って横にアタッカーを追加することは《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》の裏目を増やすだけの行為になりますから、盤面を崩さずに単騎ビートを続行すべきです。
これが穴のあるモンスターと完全に信頼出来るモンスターの違いで、この見極めが勝負を分けます。自分が詰めているカードが100%詰んでいるかどうかをよく確認するべきです。

以上
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2014年10月02日

【その他】アンリミテッドヴァーサス ノワール×アイエフ

アンリミテッドヴァーサスというカードゲームのノワール×アイエフについて書きます。

☆サンプルレシピ
メインキャラクター ノワール
パートナー アイエフ

キャラクターカード(6枚)
ブラックハートLv2×3
ブラックハートLv3×3

サポートカード(3枚)
女神の教示者×3

バトルカード(36枚)
ハイブレイク×3
パラライズエッジ×3
フレイムフェンサー×3
スペクトラルエッジ×3
麻痺×3
パワーヒット×3
剣魔連斬×3
ラピッドラッシュ×3
フォースコンビネーション×3
主人公補正×3
ヴォルケーノダイブ×3
インフィニットスラッシュ×3

☆戦略
最終的に実現したいことは
1.ノワール最速レベルアップからの恒常的なリアニメイトによるビートダウン
2.インフィニットスラッシュの発動
この二点です。
ブラックハートはLv2から手札を消費せずに戦闘を仕掛けられるという強力なリアニメイト能力を持ちます。もう少しこの能力を噛み砕いて言うと、本来ならば攻撃に使う予定だった手札のカードを手札に温存出来る能力です。温存したカードは蘇生させたバトルカードにアンリミテッドとして重ねられるため、結果的に出力されるアタックの数値が上がり、ダメージを通しやすくなります。また、本来ならば仕掛けに消費しなければならなかったはずのカードは防御にも回せるので、間接的に相手からのダメージを防ぐことにも繋がります。手札の量が戦闘の勝敗に直結するゲームですから、手札を温存することで攻防両面を強化するブラックハートのスキルは他のメインスキルと比べて頭一つ抜けており、ゲームシステムに愛された能力であると感じます。
エグゼドライブであるインフィニットスラッシュはカードパワーが極めて高く、修正値が大きいため戦闘に勝ちやすい、与えるダメージ量が多い、莫大なアドバンテージを生む、と撃って悪いところがありません。主人公補正を合わせられると悲しいですが、元々相手側が不利な読み合いですし、インフィニットスラッシュの立場を脅かすほどではありません。
また、どちらの戦略にもパートナーアイエフがぴったりとシナジーしています。アイエフ専用のバトルカードはデッキから直接墓地を肥やすカードが多く、ブラックハートの能力で釣るカードを確保してくれますし、マナに埋められず事故を誘発するエグゼドライブの欠点をアイエフのカップリング能力がカバーしてくれるので、心置きなく最大枚数を積むことが出来ます。

☆ゲージの挙動
ゲージの伸び方について考えます。
述べた通りデッキが目指している到達点はノワールのランクアップとインフィニットスラッシュの発動ですから、必然的に目標とするマナ圏は2/2ないし4/4ということになります。ちなみに、2/2はブラックハートLv2の使用条件であるのみならず、教示者の使用条件でもあります。
1ターンあたりのマナの増加量については、STに埋めて1、サポートカードを使用して1、バトルカードを使用して1。最大で自ターンで3マナ、相手ターンで1マナ増やすことが出来ます。ただし、サポートタイミング及びバトルタイミングはスタンバイタイミングの後で訪れるため、ランクアップに使えるマナはランクアップするターンでも1つしか増やせません。
以上のような事情を踏まえると、最速で2/2に到達するルートは、後攻スタートで、以下のようなルートです。

1.後攻1ターン目ST、手札から埋めて1マナ
2.後攻1ターン目バトル、2マナ
3.先行2ターン目相手バトル、3マナ
4.後攻2ターン目ST、手札から埋めて4マナ

先攻スタートでは1ターン目にバトルが行えないため、2の部分が欠落して最速でもランクアップまでに3ターンかかります。この理由から自分はノワールは後攻以外有り得ないと思っています。先攻は最初のドローが少ない都合でアドバンテージ的に大きな有利を取れるわけではなく、ランクアップも遅れるのでテンポ的にも不利で、はっきり言って利点が無いです。Lv2があまり強力ではない他のメインキャラクターと違い、ノワールはLv2になった時点でゲームを動かせるので、最速ランクアップを狙わない理由がありません。
このルートにおいて2の段階で使用出来るバトルカードは1マナのものに限ることに注目して下さい。最速ペースでランクアップするためには、後攻1ターン目バトルタイミングの時点で1マナのバトルカードを握っていることが必要条件になるわけです。
ここから、デッキには1マナ圏のバトルカードを何枚積むべきかが見えてきます。繰り返しますが、後攻1ターン目バトルの時点、つまり45枚から6枚引いた時点で1マナのバトルカードを持っておきたいわけです。キャラクターカードはST効果で即座に捨ててデッキを圧縮出来るため、実質的に39枚デッキとみなすと、39枚の山札にX枚のAを投入して6枚引いたとき、少なくとも1枚Aを引く確率は、各Xに対して

8枚:77% (71%)
9枚:82% (76%)
10枚:85% (80%)
11枚:88% (83%)
12枚:91% (86%)
13枚:93% (89%)
14枚:95% (91%)
15枚:96% (93%)
16枚:97% (94%)
17枚:98% (95%)

という感じです(カッコ内はキャラクターカードによるST効果を加味しない数字、つまり45枚デッキに対する確率です)。
何%欲しいかは好みによると思いますが、安定した初手を期待するなら最低でも80%、9枚は欲しいところです。Uが点灯している限りはバトルカートはいつでも戦闘に貢献出来るシステムですから、多めの投入もリスキーな選択ではないと思います。むしろ最速ルートにおいて相手のバトルを捌く部分でも何らかのバトルカードを使用する必要があることを考えると、低マナ圏のバトルカードは初手に複数枚持っておきたいところです。
ところで、2/2圏へのアクセスを考えるにあたって疑問を感じるのがForce of Shareの採用です。最初は手札消費なくマナブーストの権利を増やせる強力なカードという認識で3枚投入していたのですが、最速ペースでの2/2到達を徹底すると、Force of Shareを発動出来る余地は全くないことに気付きます。1ターン目ではそもそも発動出来ませんし、2ターン目に発動してもサポートタイミングはスタンバイタイミングを過ぎているためランクアップには全く関係ありません。つまり初動付近においては手札のスペースを食い潰すだけで、デッキのコンセプトとForce of Shareの挙動にはズレがあります。Force of Shareを採用しなかったのはこうしたマナ管理の観点からです。到達点のブラックハートLv2やインフィニットスラッシュを引くためのデッキ圧縮としては有用なのですが。
一度2/2に到達すればあとは手なりで4/4を目指せます。ブラックハートのリアニメイト能力も含め、序盤よりも使えるバトルカードが増えるため、より安定して高マナ圏を目指すことが出来ます。4/4マナ圏でのボーナスはインフィニットスラッシュ以外にもブラックハートLv3へのランクアップがありますが、4/4を確保出来ている時点でコスト踏み倒しはあまり活きるシーンがなく、手札を一枚使ってまでランクアップしなくてもいいのではないかというのが正直なところです。ただ、ランクアップでサイズが大きくなることによる戦闘への影響が意外と大きいのと、相手の水色髪の白心への耐性を作れるので、とりあえずは目指すと良いと思います。
必要以上にマナを伸ばすメリットはあまり無いですが、バトルをしているだけで勝手に伸びるので、ラピッドラッシュでドローに変換したりインフィニットスラッシュの連打に繋げられると美味しいです。

☆各キャラクターカード
既に説明したので詳細は省略します。ブラックハートLv2はデッキの根幹を成すため当然のフル投入、ブラックハートLv3はパワーカードへのアクセスのため、ST効果のルーター能力を鑑みて3枚という感じです。
ちなみにキャラクターカードとサポートカードはフレイムフェンサー等によるランダム墓地肥やしで墓地に落ちても何の効力ももたらさないため、投入するだけで墓地肥やしの質を下げるというデメリットがありますが、気にして枚数を減らすほどのことは無いかなと思います。

☆各サポートカード
全てチャージャーとして機能するというシステムは斬新ですが、コストの割に大した効果の無いカードが多く、採用を検討するレベルのカードは5枚程度です。

・Force of Share
上に書いた通りです。

・女神の教示者
勝ち筋であるブラックハートLv2をサーチ出来るため、必須と考えています。

・水色髪の白心
何故担当がホワイトハートなのかよくわからない感じのランデスカードです。
効果はブラックハートLv3と噛み合っており、一方的に戦力を破壊出来る可能性があります。ただ、狙いすぎというか、効力にムラがあるのと、戦略の根幹を成すインフィニットスラッシュと喧嘩する恐れがある点は看過出来ないと思い、採用は見送りました。

・プラネテューヌ
吠えたける鉱山ですね。多少挙動に違いがあるとはいえ、同じコストで自分だけがドローするForce of Shareと比べると、お互いがドローするこれは圧倒的に劣り、優秀なForce of Shareですらoutしたのでこのランドも採用出来ませんでした。

・ラステイション
恒久的なランデスですが、出るのも割るのも遅すぎます。バトルカードが勝手にマナに行くシステムな上に往復で1枚というスローペースなので、マナを縛ることが出来るかどうか怪しいところです。

☆各バトルカード
手札から使うバトルカードには大別して3種類の使い方があると考えています。

1.初動付近のマナブースト。1マナ・2マナ圏のバトルカードがこれに該当し、既に述べた通り早めに送り出すことでゲージを溜めるのが役割です。
2.ブラックハート成立後の攻撃要員。ブラックハートが一度ランクアップして以降は基本的に自ターンのバトルはリアニメイトしたバトルカードで行うため、手札からは重ねられれば十分です。つまり、Uの点灯が望まれます。
3.ブラックハート成立後の防御要員。ブラックハートの能力は防衛時には使えないため、手札からカードを消費していく必要があります。Uの点灯が望ましいのは攻撃要員のカードと同様ですが、最初に置いたカードはアンリミテッドでは無いためテキストを使用出来るのは注目すべき点です。ブラックハート成立後もバトルカードのテキストの使用機会は防御のタイミングで訪れるわけです。

これは使い方の分類で、カード自体の分類ではありません。例えば、ハイブレイクは1〜3全ての役割を持つことが出来ます。ちなみに、コンボが絡んで複数回のバトルを行う場合は、ブラックハート成立後の攻撃時にもテキストの使用機会があります。

コストの軽い順に考えていきます。
まず1マナ圏です。
中盤以降の使用を考えればUが点灯していることが前提であることは言うまでも無いですが、アンリミテッドが点灯していない欠点があってなお例外的に優秀なカードが2種類存在するので、まずそれについて書きます。

・フレイムフェンサー
使用時にデッキから2枚をトラッシュ出来ます。最速ペースでブラックハートLv2をキャストした場合にも能力で釣る対象を墓地に用意出来る数少ない低コストバトルカードであるのみならず、実質的な修正値が高めの+400/+400であることも見逃せないポイントです。1マナ2マナ圏で標準的なDEF+300ラインを超えているため、ガードされてもダメージを通せる可能性が高いです。

・ブレイクヒット
アタック時にガードされなかった場合1ドローするバトルカードです。リターンが大きく、何が何でもバトルする戦略にも噛み合っています。自分のように1マナ圏のバトルカードを重視する人が多ければガードされる可能性が高いのですが、背水の陣でやっている感じでは速度を重視している人は少なかったため後攻のブレイクヒットは通りやすかったです。
最終的には抜けた理由は、フレイムフェンサーがあまりにも優秀過ぎてブレイクヒットよりも先に3枚採用が確定していたため4枚以上アンリミテッドが点灯していないカードを投入するのはリスキーだったのが一つ、ブレイクヒットで殴って1ドローしたときに相手も赤か青を捲ってドローするのが馬鹿らしかったのがもう一つです。坊主めくりで1枚ドロー出来るゲームですし、後半で死に札になるリスクを背負ってまで1ドローに固執することは無いかなと思いました。

次に、Uが点灯している5枚について書きます。

・ハイブレイク
非常に丸いバトルカードです。テキストが無い代わりに攻守ともにそこそこ程度の数値を持ち、どの用途に使っても効力にムラが無いと思って採用しました。

・パラライズエッジ
Cが点灯しているのが最大の強みです。ブラックハートで墓地から釣り上げた場合も点灯アイコンは有効であるため、後半の押し込みに一役買うことが出来ます。また、Cが点灯しているためにコンボすることで勝手に墓地に行ける点もブラックハートの能力と噛み合っており、墓地が無い状態からでも一枚で2回殴る見込みがあります。
反面、DEFを修正しないため防御には全く役に立ちません。

・チェインムーブ
修正値が低い代わりに限定的な手札交換能力を持ちます。
ダメージエリアからのサルベージ自体は(おまけにしては)強力な能力ですが、あまりにも不安定過ぎます。バトルに勝利しなければならないのが最大の難関で、この条件のためにCAストップとしては運用することが出来ません。残る効果は手札交換のみで、ダメージエリアに何が行くかは基本運任せであるため、戦闘の勝敗と合わせて二段の条件をクリアしてようやく有用かどうかというライン、信頼は出来ないと思って採用は見送りました。

・ブレイクラッシュ
相手のコンボ時、つまりバトル敗北時にのみ活きる後ろ向きな追加効果を持っています。コンボが機能し始める中盤以降ではDEF+600は決して超えられないラインではないこと、コンボ自体を殺せる麻痺と役割が被ることから採用は見送りました。

2マナ圏について書きます。
まず1/1です。Uが点灯しているもののみ触ります。

・サンダーフェンサー
イマイチ評価が定まらないカードです。Uが点灯している上にドロー付き!と言えば聞こえはいいんですけど、このカードを使った分きっちり消費はしているので、勝利時に限りタダでバトルに+200/+200を上乗せするようなカードで、ほとんどのカードの修正値は+200よりも高いため、相手が同じだけのアンリミテッドを持っていれば戦闘に勝つ見込みは薄いです。勝たなければ意味がない点も含め、少し狙いすぎと思って採用しませんでした。

・麻痺
終盤に防御に回したときに光るカードです。場に置いた時点でコンボの線が消え、生存がほぼ確定するので手札にあるときの安心感が大きいです。たまにエリアルで死ぬんですけど、エリアル自体そこまで枚数が入っているカードではないので、レアケースということで……

・スペクトラルエッジ
デッキを掘り下げることで高速でブラックハートLv2やインフィニットスラッシュへアクセスすることが出来る優秀な手札交換カードです。カードを引くと同時に墓地にバトルカードを送り込む役割もこなせるため、フレイムフェンサーと並んで最速ペースのランクアップから即リアニメイトを行うことが出来るカードのうちの一枚でもあります。
防御に回せばほぼ確定で負けてしまうDEF修正の低さが泣き所ではあります。

次に0/2、2/0の専用カードです。
これらのカードは使用直後のゲージ状態が0/3か3/0になるため最速ランクアップを行うことが出来ません。しかし、インフィニットスラッシュの発動のために一定数は投入しなければなりませんし、リスクがあるだけあって1/1のものに比べれば桁違いの性能を持ちます。

・パワーヒット
前のめりなチェイン付きCアイコン付与能力を持ち、ブラックハートでリアニメイトしたバトルカードにCを点灯させるという挙動が強力です。

・ニア・カノープス
例外的に使用直後のゲージを3/0ではなく2/1の状態に出来る2/0カードで、墓地を肥やせるのでブラックハートLv2の起動にも貢献します。デッキの動きには噛み合っているんですけど、ゲージ管理については最初から1/1のカードを使えばよく、墓地を肥やす上にデッキを掘り下げることが出来るスペクトラルエッジの劣化なんですよね。役割が被るカードが多い割にそれらと比べて明確な優位点を見出せないので採用は見送りました。リリィもおまけ程度のもので期待出来るほどのテキストではなく、ポジティブな採用理由にはならないと感じます。

・ラピッドラッシュ
始めはこれも劣化スペクトラルエッジだと思って採用を見送っていたんですが、使ってみたら強かったです。パンプアップの値が大きい上にゲージから手札を交換出来る点がイカしていて、終盤の防御に回したときは大きなDEF修正でアタックを受け止めながら手札を充填する八面六臂の活躍を見せます。
最速で使う際は青ゲージからもトラッシュしてしまって使用後のゲージを0/3ではなく0/2にすることが多いです。初動付近ではとにかく一刻も早くデッキを掘り下げてブラックハートLv2に到達するのが最重要課題なので、青ゲージは2マナ有ればランクアップ出来る以上、3マナ残しておく必要はありません。それよりはデッキを掘り下げることに徹していくべきです。

・剣魔連斬
墓地肥やし要員です。修正値も高く、攻めるときは実質ATK+500に加えてC・U点灯という高い性能を持ち、防御に回してもU点灯のDEF+300と最低限の性能はあります。ゲージ的な挙動が弱いきらいはありますが、コンセプト的に抜けない一枚です。

次に3/0、0/3のカードです。

・フォースコンビネーション
最強クラスのアイエフ専用カードです。1枚で大量の墓地肥やしに加えて+700という破格のATK修正を与え、単騎で突っ込ませても複数枚のアンリミテッドを強要出来る可能性が高いです。勝利した場合は即コンボに繋がるのがまた良く、これでアタックして墓地を肥やし、勝利後にコンボからブラックハートの能力で落としたカードを釣り上げて再度バトル宣言というインチキ臭い挙動をよくやります。更には極め付けに勝っても負けてもドロー出来るとは、デッキトラッシュをデメリットと見ているからこんなに性能が高くなるんでしょうか?Uが点灯していないのは泣き所ですが、それは求めすぎというものでしょう。

・フレイムエッジ
ノワールの3/0です。バトル勝利時にサルベージを行うのは強力なのですが、Uが点灯していないのでなかなか戦闘に勝てないです。強化の条件も微妙に厳しく、7枚というのはスペクトラルエッジ複数や剣魔連斬単体ではダメで、アイエフ専用を含む墓地肥やしを2枚以上発動してようやくという枚数です。始めは気に入っていたのですが、意外と思ったような動きをしてくれず、抜けていきました。

・クレセントキック
これも使ってみるとイマイチな印象でした。0/3は発動が遠い類のカードなので、素引きした場合は早い段階でゲージに埋めてしまうことが多いです。そうなると参照するときにトラッシュではなくゲージにあることになり、思ったほどはドロー出来ませんでした。そのまま使ってもそこそこの修正値なので求めすぎでしょうか。

次に4/0、0/4のカードです。

・ヴォルケーノダイブ
攻撃時は元々ブラックハートの能力によって実質的に墓地からアンリミテッドした状態で殴れるので最初は軽く見ていましたが、防御に回したときも墓地からアンリミテッド出来るのが強力です。一枚で最低DEF+800、U点灯なのでそこそこ信頼出来る防御で、もう2枚重ねればボーナス無しのエグゼドライブを捌けます。

・トルネードチェイン
安定してヴォルケーノダイブ以上の修正を得ることは難しく、4/0と0/4を両方積むと喧嘩しそうなので採用しませんでした。4/0と0/4のどちらかを選択しなければいけないシーンは2/2→4/4にマナを伸ばす途中以外にも、最速でエグゼドライブを発動した返しのターンなどに発生します。4/4からエクゼドライブを撃ち、赤ゲージから赤と黄、青ゲージから青を切った後にエグゼドライブをアイエフの能力で青ゲージに置くと2/4です(同じようにして4/2にすることも出来ます)。エグゼドライブでゲージからカードをトラッシュするタイミングは勝利時にドローするタイミングよりも早いため、高コストのカードを散らして採用していると、防御に噛み合わないカードを3ドローで引いてきたときに立ち往生する危険があります。

・インフィニットスラッシュ
最もパワーが高いバトルカードで、最終到達点です。撃てるときに撃つだけですが、終盤墓地が溜まっているときにわざわざ手札から出す必要があるので読まれやすく、3ドローを消せる主人公補正を合わせられることだけは警戒すべきです。
対策としては、4/4が溜まった場合にも即インスラに行かずにまずはコンボを持っているカードを手札から出してつついてみて、主人公補正を確認するのが一番無難だと思います。主人公補正を使わせられれば攻撃が通らなくても御の字、主人公補正が出てこない場合はそのままコンボでインフィニットスラッシュに繋がります。

・主人公補正
特殊なカードなので一番後ろに回しました。
DEF専用で、一枚で+1000という破格の修正値を持ちます。あまりにも強力過ぎるのでひょっとしてエリアルを捨てないときは-1000として換算するのではないか?と思って電話確認したのですが、エリアルを捨てなくても+2000-1000で+1000の修正を与えるらしいです。ちなみにエリアルはどれも夢見がちな性能をしていて、勝ち筋として見るには信頼出来ないので入れていません。
普通に置いても強いですし、エグゼドライブに対して耐性があるのが素晴らしいです。基本エグゼドライブにブチ当てたいカードなので、相手のゲージ状態からエグゼドライブが来ないときはヴォルケーノダイブに守らせるとか、可能なら温存した方が良いと思います。ただ、攻め手にはならないので手札で燻ってしまうリスクもあり、そこはケースバイケースという感じです。

☆ゲーム性
最後にUVSに触って感じたことをMtGやDMと比較して書きます(このブログを見てわかる通り本業は遊戯王なんですけど、遊戯王はTCG全体で見てもシステムが独特なので比較対象としてはちょっと微妙です)。
UVSのシステムには特徴的なところが二点あって、一つはマナを消費せずにカードを使用出来ること、もう一つはプレイヤー間のコミュニケーションが戦闘に集約されていて他の要素がほとんど存在しないことです。
一つ目については、要はカードの使用に際してマナをタップして消費する必要が無いということです。この特徴を最もよく表現しているシステムがアンリミテッドで、条件を満たしている限りであれば手札はあればあるだけ攻防に使用できるため、戦闘要員のカードには質というよりは量が求められることになります。終盤のゲーム展開はカードを即座に使用出来る遊戯王に近くなり、それだけにカグラの巻物やワンペアによる大量ドローは一度通ってしまえば非常に勝ちづらいです。
二つ目については、他にクリーチャーを並べることも除去を行うようなこともなく、一騎打ちだけをするゲームだということです。他のカードゲームと異なり、除去・アタッカー・ブロッカーというようなカードの役割の分散がなく、瞬間瞬間で盤面から求められているカードと実際に保持しているカードが異なるという事態は、使用条件の都合を除けばほとんど生じません(他のカードゲームであれば、除去が必要なシーンで手札にブロッカーしか持っていないとか、アタッカーが欲しいシーンで除去しか持っていないというような不協和は日常茶飯事です)。加えてアンリミテッドという1度に何枚でもカードを投げつけられるシステムの存在から、バトルカードの重複は基本的に問題が無く、ゲーム中で無駄になるカードは少ないです。マナを生むだけの土地カードが存在しない点も含め、引きムラが少ないゲーム性はわりと好みだと思いました(エグゼドライブを引いた人と引いていない人という格差が生まれることはありますが……)。
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2014年09月01日

【デッキ考察】クリフォート

JDCで使ったクリフォートについて書きます。
JDCに向けて何か組もうと思った時点で環境トップのシャドールに張り合えるデッキがシャドール以外にはクリフォートくらいしかなかったんですけど、シャドールは融合とモンスターを揃えないとほとんど試合が出来ず常勝が難しい一方、クリフォートは《クリフォート・ツール》さえ確保できれば戦えるのでクリフォートを使うことにしました。ヒーローはクリフォートを集め終わってから結果を出し始めたデッキで、言われているほど絶望的な感じはしなかったし、集めるのも面倒なので別にいいかなと思って使いませんでした。

BwcrJewCcAEfuJG[1].jpg
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メイン41
モンスター19
《クリフォート・ツール》3
《クリフォート・アーカイブ》3
《クリフォート・ゲノム》2
《クリフォート・ディスク》2
《クリフォート・シェル》1
《アポクリフォート・キラー》1
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》3
《EMトランポリンクス》2
《エフェクト・ヴェーラー》2
魔法13
《召喚師のスキル》3
《機殻の生贄》3
《ナイト・ショット》3
《強欲で謙虚な壺》2
《大嵐》1
《機殻の要塞》1
罠9
《スキルドレイン》3
《虚無空間》3
《激流葬》3

サイド15
《魔法効果の矢》3
《帝王の烈旋》3
《隠されし機殻》1
《起動する機殻》2
《聖なるバリア−ミラーフォース−》3
《異次元グランド》3

エクストラ15
《A・O・J カタストル》
《氷結界の龍 トリシューラ》
《恐牙狼 ダイヤウルフ》
《No.101 S・H・Ark Knight》
《No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》
《ガガガガンマン》
《深淵に潜む者》
《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》
《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》
《励輝士 ヴェルズビュート》
《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》
《鳥銃士カステル》
《シャーク・フォートレス》
《No.61 ヴォルカザウルス》
《迅雷の騎士ガイアドラグーン》

1.クリフォートに《機殻の生贄》装備
2.リリースして《クリフォート・ディスク》or《クリフォート・シェル》
の2アクションによる2キルまたはほぼ2キルを目指しています。オプション戦略として《アポクリフォート・キラー》による封殺と《スキルドレイン》を盾にしたバニラビートの2つがあり、いずれも矛盾せずにシームレスに移行出来ます。
少し使えばすぐにわかるのですが、《クリフォート・ディスク》《クリフォート・シェル》によるワンキルを初動から1ターンで決めるには手札がかなり整っている必要があり、常に狙えるものではないです。逆に、2ターンがかりであれば《クリフォート・ツール》のサーチが使えるため簡単に出来ます。
2アクションの間のターンを埋めるためには身を守る罠が必須になり、大きく分けてデッキには2アクションをするためのパーツと、罠の二種類を入れています。

☆各カード(モンスター)
・《クリフォート・ツール》
デッキの核です。たまに5エクになります。ペンデュラム召喚を行うため片面張りが基本ですが、《機殻の要塞》が張れている場合はペンデュラム召喚をしなくても十分なアクションが出来るので両面張りをすることもあります。しかし、両面張りをした上で《機殻の要塞》が割られると途端に動きが窮屈になるので、勝ちに向かうとき以外は少しリスクを伴います。
《機殻の生贄》をサーチして間接的に自身をサーチ出来るのが強力で、一度サーチに成功すれば疑似的に破壊に対する耐性が付きます。

・《クリフォート・アーカイブ》
リリース時に相手の前をバウンスしてキルに向かえるので、初動ではこれを置くことが多いです。
スケールが1であるため、スケールに置くことが最も多い《クリフォート・ツール》と組んでペンデュラム召喚によく使います。バウンス効果は自分相手問わずに対象にでき、《クリフォート・ツール》をエクストラデッキから間接的に回収する手段になることもあります。

・《クリフォート・ゲノム》
《クリフォート・アーカイブ》と同じ感覚で使いますが、《クリフォート・アーカイブ》と違ってキルに直結しないので初動の優先度が低めです。自分が《激流葬》や《強制脱出装置》を多く持っており、返しに相手の前を罠で弾くだろうときは《クリフォート・アーカイブ》ではなく《クリフォート・ゲノム》召喚からスタートすることもあります。
普通は初動は《クリフォート・アーカイブ》の方を出したいのと、スケールが9で《クリフォート・ツール》と組んでペンデュラムが出来ないので、2枚投入に抑えています。

・《クリフォート・ディスク》
素で6400火力を持つフィニッシャーです。スケールに《クリフォート・アーカイブ》などのパンプアップがあれば7300火力、ここにペンデュラム召喚で何か追加して8000オーバーが一番よく使うキルパターンです。
エンドフェイズにエクストラデッキにクリフォートを2体も送り込め、次ターン以降のペンデュラム召喚の威力を増す役割もあります。モンスターを展開する都合上、《機殻の要塞》と相性が良いです。
また、チェーンの組み方を工夫することで大抵の除去を乗り越えてライフを奪えます。《クリフォート・ゲノム》《クリフォート・アーカイブ》や《機殻の生贄》が付いたクリフォートをリリースして召喚することで、《クリフォート・ディスク》の特殊召喚効果と同時にそれらの効果が誘発し、例えばチェーン1《機殻の生贄》、チェーン2に《クリフォート・ディスク》と組むことで《クリフォート・ディスク》で特殊召喚したモンスターは召喚成功のタイミングを逃し、召喚反応型の除去を受けなくなります。《激流葬》が伏せられていても破壊されるのは《クリフォート・ディスク》本体だけで、特殊召喚したモンスターは生き残り最低3600ライフを奪えます。
また、《クリフォート・ディスク》の上に《クリフォート・ゲノム》の効果を乗せることで《クリフォート・ディスク》の効果処理前にバックを破壊出来るため、《スキルドレイン》《サモンリミッター》などの永続をケア出来ます。

・《クリフォート・シェル》
取れるライフが少ない点、次以降のペンデュラムの威力を増せない点で基本は《クリフォート・ディスク》の劣化です。しかし勝る部分が主に三点あり、一つ目はレベルが高いために耐性効果が《クリフォート・ディスク》よりも強力なこと、二つ目は《虚無空間》下でワンキルを敢行出来ること、三つ目は防御が厚い場合にもライフを取る能力が高いことです。
《クリフォート・ディスク》との耐性効果の違いが顕著に出てくるのは対シャドール戦です。《クリフォート・シェル》は《クリフォート・ディスク》の耐性に加えてレベル7帯のモンスター効果を受けないため、《マスマティシャン》や《エルシャドール・ミドラーシュ》絡みの《ブラック・ローズ・ドラゴン》《アーカナイト・マジシャン》を耐え、《ダーク・アームド・ドラゴン》ですら耐えます。基本的に《ダーク・アームド・ドラゴン》《エルシャドール・ネフィリム》による相打ち処理しかありません(あとは《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》、《ソウル・チャージ》が絡んだ《氷結界の龍 トリシューラ》とか)。相打ち処理をされてもライフを守れ、相手の前も空くのでその後がやりやすくなります。《機殻の生贄》が付いていれば更に堅くなります。
二つ目については、自分が《虚無空間》を張っている状態で《機殻の生贄》の付いたクリフォートをリリースして最上級クリフォートを生け贄召喚するときの話です。このとき出すのが《クリフォート・ディスク》だと、《クリフォート・ディスク》の効果を起動するタイミングではまだ《虚無空間》が自壊していないので特殊召喚効果を発動出来ません。これが《クリフォート・シェル》であれば、生け贄召喚後に《機殻の生贄》のサーチ効果と《虚無空間》の自壊効果が誘発、《クリフォート・アーカイブ》あたりをサーチして《虚無空間》自壊、《クリフォート・アーカイブ》をスケールに置いてペンデュラム召喚で生け贄にしたクリフォートを呼び出せば3100+3100+2100=8300でキルです。
三つ目についてはつまり貫通効果の強さです。事故り気味のシャドールや竜星のように相手がセットを好んでいる状況では、《クリフォート・ディスク》は攻撃を阻まれて中々ライフを取れません。エンドフェイズ以降に横が自壊した後は《クリフォート・ディスク》一体が殴るだけなのでなおさらです。この点、《クリフォート・シェル》ならば貫通効果でがつがつライフを取っていくことが出来ます。例えば《炎竜星−シュンゲイ》横、《光竜星−リフン》横のように並んでいる場合《クリフォート・アーカイブ》から《クリフォート・ディスク》を出しても1ポイントも削れませんが、《クリフォート・シェル》は5600ポイント奪えます。

・《アポクリフォート・キラー》
今回一番の推しカードです。
最もよく効くのがシャドールで、シャドールには解決手段が存在しないため、出した時点で勝利が確定します。膝から《インビンシブル・テクノロジー》を唱えられても勝ちます。
一応あるとすれば下級シャドールを使った《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》《No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》か《影依の原核》+《シャドール・ファルコン》→《星態龍》で倒されますが、まず入っていないです。何故か勘違いしている人が多いですが、500ダウンがあるので《神樹の守護獣−牙王》では倒せません。
対ヒーローでは《H−C エクスカリバー》が現実的な解答として持たれており、シャドール戦と違って勝ち確とはいきません。それでも《H−C エクスカリバー》は他のアクセス先に比べればかなり弱いので返しが楽にはなります。一応、《E・HERO ブレイズマン》属性変更や《E・HERO バブルマン》でパンプアップした《E・HERO アブソルートZero》という解決方法もあります。
ミラーでは流石に信用度は大分下がります。しかし、初動から《アポクリフォート・キラー》を倒すことはなかなか困難で、アドバンテージを取るモンスターと割り切って使うこともあります。特に先行で《アポクリフォート・キラー》を出した場合、後攻側は1枚ハンデスされた状態から《アポクリフォート・キラー》を倒さなければならないため、返せる確率はぐっと下がります。
課題はやはり初手に来たときの事故で、出せないときはただひたすら邪魔になります。しかしそれでも一枚デッキに入れるだけで、もっとも数が多いデッキに対しての実質的な特殊勝利カードをサーチ出来るというのは非常に魅力的で、事故を押して投入しました。実際、事故で負ける試合よりもこれで勝つ試合の方が多かったです。「これを出す暇があったら既に勝っている」という話もありますが、使っている限りそれは嘘です。相手場にモンスターが並んでライフを削りにいけない場合でも、こちらのライフが少なく動いても返しに詰められそうな状態からでも、出すだけで捲れます。クリフォートの永続増加を受けて《クリフォート・ツール》を無視してバックに除去を差し向けるプレイングを取る人がいるのも追い風で、放置されているパーツから強襲するのが強いです。
先行から《アポクリフォート・キラー》を出せるパターンがいくつかあり、だいたい初手4枚くらいで成立します。4枚とはいっても内訳はクリフォートなら何でも良かったり、《クリフォート・ツール》でパーツをサーチ出来たりするのでかなり緩いです。初手を見て《アポクリフォート・キラー》を出せるかどうかは少し慣れれば三秒くらいでわかります。労力の割に得るものが少ないので具体的なパターンの網羅はしません。例えば初手《クリフォート・ツール》《EMトランポリンクス》《クリフォート・ゲノム》《クリフォート・ゲノム》とか《クリフォート・ツール》《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》《クリフォート・ツール》《機殻の生贄》《機殻の要塞》は先行キラーなので適当に考えてみてください。
先行で《アポクリフォート・キラー》が出る場合は相手がわからなくてもやります。もちろん、相手がシャドールの場合は先行ワンキルです。

・《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》
ちょっとオシャレなサーチカードです。サーチ対象は《クリフォート・ツール》《EMトランポリンクス》の二種のみです。
「サーチの遅れが気になる」という意見もありますが、実際に《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の遅れが目立つシーンは初手に《クリフォート・ツール》《召喚師のスキル》が無く、初動になるカードが《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の一枚しかないときくらいです。このとき、この初手にある《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が他のカードであったとしてもワンチャンすらなく負けているだけです。つまり、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が遅れたから負けたのではなく、《クリフォート・ツール》《召喚師のスキル》が無いから負けたのです。
真骨頂は《クリフォート・ツール》と被ったときです。スケールが4と小さいため、ペンデュラム召喚に使った上で更に動きを強化する《EMトランポリンクス》に変換され、柔軟性の高い動きを見せます。《クリフォート・ツール》から《クリフォート・ツール》になる《機殻の生贄》をサーチ出来るので、《クリフォート・ツール》と被った場合は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》は《EMトランポリンクス》に向かう場合が多いです。
ダメージ軽減効果が見過ごされがちですが、稀に使います。例えば、対武神で、《機殻の生贄》を付けた《クリフォート・アーカイブ》で《武神−ヤマト》に殴る場合です。メインフェイズ1にスケールに《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を置いておくことで、《武神器−ハバキリ》を受けたときのダメージを0にすることが出来ます。サーチカードとしてしか見ていないとついつい手なりでメインフェイズ2に設置してしまいそうなところですが、早めに張っておくことでライフを守れるわけです。もちろん、いつ張ってもサーチ効果は変わりなく使えるので、完全に張り得です。

・《EMトランポリンクス》
《クリフォート・ツール》と組んで《クリフォート・ツール》のサーチ効果を2回使わせるのが主な役割です。雑に強いカードで、最初は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》でサーチ出来るため1だったのですが、素引きしたいと思って2に増やしました。
《クリフォート・ツール》と組めない場合であっても、本来は2枚必要なペンデュラム召喚を1枚で行えるカードという見方もできます。例えば、《クリフォート・シェル》《EMトランポリンクス》をスケールに置いたペンデュラム召喚で生け贄を確保し、《クリフォート・シェル》をバックしてそのまま生け贄召喚というのは他のスケールには出来ない芸当です。
特に捻った使い方やテクはなく、揃えて張れば良いだけですが、手札で被ったとき専用のパターンがあります(後述)。

☆各カード(魔法)
・《召喚師のスキル》
《クリフォート・ツール》をサーチするだけのカードです。
ちなみに、これからサーチ出来るからという理由でミラーなどで《フーコーの魔砲石》をサイドインするプランも試したのですが、単体では《魔法除去》くらいのスペックしかなく、実際にサーチする機会は非常に稀だったのでこのプランは捨てました。《フーコーの魔砲石》で破壊出来る《クリフォート・ツール》が相手のスケールに存在する時点で相手は次の《クリフォート・ツール》に繋がる《機殻の生贄》をサーチ出来ている可能性が高く、《クリフォート・ツール》を捨てて《フーコーの魔砲石》サーチという悠長なことをやっていればまず負けます。既に《クリフォート・ツール》を持っている場合は《フーコーの魔砲石》を探しに行ってもいいかもしれませんが、《フーコーの魔砲石》投入が活きてくるのは《クリフォート・ツール》と《召喚師のスキル》が被っている場合とか《召喚師のスキル》が被っている場合だとかで、まあレアパターンです。

・《機殻の生贄》
《クリフォート・ツール》に並びクリフォートの中核を成すカードです。3つの効果が全て強力で、《機殻の生贄》はどう使えるかというよりは、デッキ自体が《機殻の生贄》を前提に成り立っています。多分《機殻の生贄》が無かったらクリフォートは旋風BFくらいの強さだと思います。
まずパンプアップ+戦闘破壊耐性です。生け贄要員を置いて〜次のターンにリリースして〜なんていう最初期のような悠長な戦略が成り立つのはひとえにこの耐性がサーチ出来るからに他なりません。パンプアップの数値は微々たるものでこれによって戦闘結果が逆転することはあまりないですが、たまに2100になったクリフォートが《ライオウ》を突破したり、2つ装備して《M・HERO ダーク・ロウ》を突破したりしています。しかし、むしろこのパンプアップがあるせいで《機殻の生贄》を装備したクリフォートは《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》の射程に入ります。
次にクリフォートをダブルコストモンスターにする効果です。これによって、《機殻の生贄》を召喚権を消費しない生け贄のように扱うことが出来ます。
最後にサーチ効果です。装備モンスターのリリースによって発動しても強いですし、ブラフとしてノーリスクで場に置くことが出来る点が重要です。墓地に送られる方法を問わないので、ブラフにしたあとは自分の《大嵐》に巻き込んでも良いです。《アビスフィアー》や《アーティファクトの神智》と同様に、このカードの存在からクリフォートへの伏せ除去はリスクを伴うため、(永続以外の)罠との相性が良いです。また、この効果のおかげで《嵐》と組んでアドバンテージを稼ぐことが出来ます(後述)。

・《ナイト・ショット》
バック除去です。《サイクロン》でなくこのカードを採用した理由は対シャドールが大きいです。
シャドールが《堕ち影の蠢き》や《神の写し身との接触》を伏せてターンを回してきたとき、バックを放置したまま《クリフォート・ツール》を設置すると、起動前に《シャドール・ドラゴン》から起動を妨害されてしまいます。それを避けるためには《クリフォート・ツール》を発動する前にバックを破壊しなければならないのですが、《サイクロン》を使った場合、チェーンされそのままアドバンテージを取られてしまいます。《ナイト・ショット》はここを捲らずに破壊出来るのが優れています。
さて、シャドール側が2伏せでターンを返し、その内容が《堕ち影の蠢き》《神の写し身との接触》や《堕ち影の蠢き》《堕ち影の蠢き》の場合、《ナイト・ショット》で除去を試みても2枚をチェーン発動されてどちらも有効になってしまいます。しかし、この場合は1枚で2伏せを葬り、《クリフォート・ツール》を押し通せるのでまあ我慢出来ます。この2伏せに《サイクロン》で突っ込んだ場合はどちらを対象にしても悠々と発動されてアドバンテージを奪われ、《クリフォート・ツール》も妨害されるという最悪の展開が待っています。
対ヒーローに関しては《マスク・チェンジ》をケアして破壊出来ることもありますが、上手いヒーローは大抵《ナイト・ショット》をケアして多伏せやスタンバイ発動を行ってくるためにそれ程は有効には働きません。1:1交換は見やすいのでいいかなというくらいです。
対クリフォートに関しては《機殻の生贄》の裏目がありますが、《強制脱出装置》なり《激流葬》なりを破壊出来ればいいなという感じです。ミラーでは流石に《ナイト・ショット》よりは相手の《クリフォート・ツール》をカット出来る《サイクロン》の方が有効で、《サイクロン》と《ナイト・ショット》を適当に散らすことも考えたのですが、もっとも数が多いシャドールに対して絶望的な性能のカードをメイン投入するのはあまりにもリスクが高すぎると思い今回は《サイクロン》の採用は完全に見送りました。

・《強欲で謙虚な壺》
なんでも臨機応変に回収出来ます。初動では特殊召喚を行わないことが多いので、あまり制約は気になりません。最初は3枚投入していたのですが、《EMトランポリンクス》を2に増やしたときに減らしました。

・《大嵐》
クリフォートにおいても雑に強く、《クリフォート・ツール》を安全に通すことにも繋がり、入れ得という感じのカードです。
最初は自分の《クリフォート・ツール》を破壊してしまうのでややアンチシナジーだと思っていたのですが、全くそんなことはなかったです。《大嵐》で《クリフォート・ツール》を破壊しなければならない状況というのは、遅くとも前ターンに《クリフォート・ツール》を発動しているわけですから、《大嵐》を発動するターンに少なくとももう一度《クリフォート・ツール》を発動してから《大嵐》を撃つことが出来ます。最低でも《大嵐》で破壊されるまでに《クリフォート・ツール》は2回サーチ効果を発動出来るので、損が生まれることは基本ありません。
《クリフォート・ツール》で《機殻の生贄》をサーチ・セットしてから《大嵐》を発動することで次の《クリフォート・ツール》を回収することすらできます。ちなみに、この動きによって《大嵐》は疑似的にエクストラデッキの《クリフォート・ツール》に変換されます。これを使って展開力を増すレアパターンが存在し、例えば初手《大嵐》《クリフォート・ツール》《クリフォート・アーカイブ》《クリフォート・アーカイブ》《機殻の生贄》でも先行で《アポクリフォート・キラー》を立てることが出来ます。

・《機殻の要塞》
攻め筋を一つ増やすカードです。《クリフォート・ツール》からいつでもサーチ出来ますが、これをサーチするとき代わりにクリフォートはサーチ出来なくなるので基本的にはクリフォートが手札に溢れているときしか機能しません。リスクがあるだけあって、クリフォートがダブついている状況ではデッキにあるとなしとではかなり天地です。これを使った先行《アポクリフォート・キラー》パターン、《EMトランポリンクス》ダブり処理パターンも存在します。
《クリフォート・ディスク》との相性が良く、《クリフォート・ディスク》でSSしたクリフォート二体をリリースする動きが強力で、リリースしたときの効果もそのまま通るので大体決まれば勝ちです。狙って出来るものではないので小ネタ程度ですが、《クリフォート・ゲノム》リリース《クリフォート・ディスク》召喚で対象にした《強制脱出装置》が捲れ、《クリフォート・ディスク》が戻されたあとに《機殻の要塞》で出し直すのが宇宙です。

☆各カード(罠)
《スキルドレイン》《虚無空間》の6投は大分早くから確定していました。ミラーは少ない読みだったので捨てで、他のデッキを考えた時に明らかに強いのが割られないだけで勝てる永続プランです。《スキルドレイン》は自分のクリフォートの強化も出来るので尚更です。
枚数的に他にも防御が欲しいのですが、最低限満たして欲しい条件はセプスロに屈しないことです(当然永続6もこの条件を満たします)。罠を引いていてしかも伏せて有効なタイミングなのに、環境に蔓延しているセプタースローネが止まらないというのは笑い話にもなりません。一体何のための罠なんでしょうか?
罠の種類が先引き系か後引き系かはあまり気にしていないです。自分はクリフォートは絶対先行だと思っていて(後述)、じゃんけんに勝てば先行を取りますし他のデッキも後攻を取るものが多いからです。シャドールは枚数が必要なコンボデッキ、後攻ワンキルが可能、《シャドール・ドラゴン》が機能する、ミラーを考えると先行で出来る展開が限られるなどなど、基本後攻の方が有利です。ヒーローは先行《M・HERO ダーク・ロウ》or《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が強力だし返しの能力がそこまで高くないので先行だろうと思ったんですけど、ヒーローユーザーに聞くと《M・HERO ダーク・ロウ》が解決されたときが谷なので手数が欲しいとか、5枚では意外と回らないとか言って後攻を取る人が多かったので、先行前提の考えにシフトしました。

・《スキルドレイン》
めちゃめちゃ強いです。防御に使えばミラー以外の攻め筋を概ねカットでき、発動と同時にクリフォートを強化出来ます。
《スキルドレイン》を発動した場合、生け贄召喚をしてもあまりライフが取れなくなるので、基本クリフォートは全て妥協召喚で送り出します。ペンデュラム召喚で出したモンスターも全て打点が復活するので、ペンデュラム召喚の威力も増します。一番強いのは妥協召喚したクリフォートの耐性が《スキルドレイン》によって復活することです。相手としては《スキルドレイン》が脅威なので破壊に向かいますが、《スキルドレイン》が破壊された後はクリフォートの打点はそのまま、更に耐性が復活するので、最強状態になったクリフォートとも戦わなければならなくなります。ヴェルズ戦などでは特にこれが顕著で、ヴェルズ側は《スキルドレイン》を破壊した上で前をどかさなければ勝負にならないので怒涛の決定力を持ちます。
ミラーで使いどころが少ないのが弱点ではありますが、それ以外には基本的に全て有効なので3投しています。一度通ってしまった《M・HERO ダーク・ロウ》《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》にもクリフォート召喚+《スキルドレイン》セットで(割られなければ)返すことが出来ます。

・《虚無空間》
《スキルドレイン》と同じく相手の動きを止めるために使います。クリフォートモンスターは破壊されたときに墓地ではなくエクストラデッキに行くため自壊せず、クリフォートの《虚無空間》は他のデッキよりも維持しやすいです。シャドールが融合から入ったときに《シャドール・ドラゴン》に割られることなく維持出来るのは《スキルドレイン》には無い利点ですが、モンスターの強化には貢献せず、後伏せが効かないため、基本的には《スキルドレイン》に比べると信頼度は少し低いです。
《虚無空間》を張った後はワンキルが出来るのでなければ《虚無空間》を盾にしたビートに移るのですが、このとき前をどう展開していくか、特に《機殻の生贄》を付けるかどうかはなかなか難しい問題です。《機殻の生贄》を付けない場合は前の攻撃力が足りず、《シャドール・ドラゴン》《シャドール・リザード》《E・HERO エアーマン》《光天使セプター》などに邪魔されてライフを奪えず無駄なドローを与えてしまうこともあるのですが、《機殻の生贄》を付けると《強制脱出装置》などで《虚無空間》が解決出来てしまうので裏目が増えます。
最終的には《機殻の生贄》の耐性を重く見て《機殻の生贄》即装備でいくことにしたのですが、実際に《強制脱出装置》で処理されることが多々ありました。

・《激流葬》
自分のモンスターを流してしまうので、1アクションで生け贄を置いて2アクションで捧げるというデッキのムーブには噛み合っていないのですが、防御性能が破格なのでアンチシナジーを押して採用しました。《機殻の生贄》を付けたクリフォートを流すと損は2なので、アドバンテージ的には、可能ならそのくらい流すか《クリフォート・ツール》を生き残らせてサーチ効果を使いたいところです。
セプスロにもまあ使えます。《光天使セプター》《光天使スローネ》《光天使スローネ》が出たところを《激流葬》、これで相手は2枚(と召喚権)を使って2ドローです。こちらが《激流葬》を使っていることを考えるとあまり褒められた結果ではないですが、ギリギリ大損害は避けたと言えるラインかなと思います。追加《ソウル・チャージ》でオワリなので本当にギリギリのギリです。

・《エフェクト・ヴェーラー》
後引きでの小回りが効く《強制脱出装置》を投入しない以上、先行で刺せるハンドトラップが欲しいと思って投入しました。
ヒーローに効くシーンが多く、《召喚僧サモンプリースト》に直撃すると非常に美味しいですし、《ヒーローアライブ》など《E・HERO シャドー・ミスト》の特殊召喚に撃つことで《M・HERO ダーク・ロウ》への牽制にもなります。特に致命傷になる《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が出てくるのを待ってハンドから無効に出来るので、手札にあるとかなりの安心感があります。クリフォート+《機殻の生贄》で構えているときに《機殻の生贄》を飛ばしに来た《鳥銃士カステル》をカットするのもゲームエンド級です。
セプスロに対してはまあぼちぼちという感じです。セプスロ側としては《クリフォート・ツール》を《光天使セプター》効果で割りながら《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》魔法宣言が通ればゲームセットなので、出るのを待ってから《光天使セプター》効果ごと無効にします。破壊&ドローを込みで無効に出来るので、《エフェクト・ヴェーラー》で迎え撃った後の相手の消費は2枚、2ドローして《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が棒立ちという格好です。返しで《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》を処理出来れば大損害は避けられたと言っていいと思います。《激流葬》と違って、即《ソウル・チャージ》から再度《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》という裏目が生じないのはいいところです。
対シャドールでは、《シャドール・ドラゴン》が落ちるだろうタイミングの《エルシャドール・ネフィリム》《マスマティシャン》に撃つことでバックを一枚守るのに使えます。他にも対処が難しい《ダーク・アームド・ドラゴン》《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》に対して手札から対抗出来るのは嬉しいところです。これに限ったことではないですが、クリフォートは《機殻の生贄》をサーチすることで戦闘で対処出来ない前を簡単に作れるので、そこをしばくために出てきたモンスターをカットすればライフを守れる上に二手目の生け贄召喚に繋げることが容易になります。
ミラーでは基本的に撃つところが無いですが、《氷結界の龍 トリシューラ》に向かえることが稀にあります。《EMトランポリンクス》絡みのスケールでクリフォートを2体以上ペンデュラム召喚して、《エフェクト・ヴェーラー》追加で《氷結界の龍 トリシューラ》です。

☆エクストラデッキ
《EMトランポリンクス》絡みのペンデュラム召喚とか、たまたま《クリフォート・ツール》がいないときに《クリフォート・ディスク》が通った場合とか、《クリフォート・ゲノム》で自分のスケールを破壊した場合に出せます。基本出ないです。
・《A・O・J カタストル》
《エフェクト・ヴェーラー》で出せます。ミラーで《機殻の生贄》が付いたクリフォートを破壊出来ますが、使ったことは無いです。
・《氷結界の龍 トリシューラ》
《エフェクト・ヴェーラー》で出せます。出れば流石に強いです。
・《恐牙狼 ダイヤウルフ》
たまたまスケールが無い状態で《クリフォート・ディスク》が通ったときにこれでバックを割ればワンキルになったり美味しい展開が出来るときがあって、そういうときに出します。
・《No.101 S・H・Ark Knight》
《E・HERO アブソルートZero》を倒せます。
・《No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク》
シャドールの《超電磁タートル》をどかせばキルになることがあります。
・《ガガガガンマン》
《クリフォート・ディスク》《シャーク・フォートレス》絡みの7600パターンで、《クリフォート・ツール》がデッキに2枚無かったり使いたくないときに《シャーク・フォートレス》の代わりに登場して7200のパターンになります。比較的使う方です。JDCでも横が自分の《大嵐》で自分のスケールを壊してから出して勝っていました。
・《深淵に潜む者》
他にない抑え込み効果を持っているのでたまに欲しくなります。《強制脱出装置》が入っていた頃はシャドール相手にこれ+《強制脱出装置》で構えたりしてました。
・《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》
スケールに《クリフォート・ゲノム》《クリフォート・シェル》を置くことで相手のモンスターを何でも破壊出来ますが、それらは《クリフォート・ツール》と置いてもペンデュラム召喚が出来ず、基本スケールに置きたくないのであまり使うことはないです。ミラーでちょっと強いです。
・《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》
相手場に《クリフォート・ディスク》《クリフォート・シェル》がいて自分が《クリフォート・ディスク》を出したとき、他のバックアップが無くても相打ち以外で《クリフォート・ディスク》を処理出来ます。比較的出す方です。
・《励輝士 ヴェルズビュート》
通るシーンでは強いです。
・《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》
《クリフォート・ディスク》でアタックした後に抑え込みを出すくらいしかやることがないときに出します。
・《鳥銃士カステル》
自分クリフォートを裏側にして耐性復活させたり出来るんですけど、やったことは無いです。
・《シャーク・フォートレス》
《クリフォート・ディスク》から《クリフォート・ツール》2枚出して7600です。有名なパターンですが、使用頻度は低いです。死なない癖にデッキの《クリフォート・ツール》を使い切ってしまうので無駄にリスクが高く、発動出来ないこともあり、《ガガガガンマン》の7200で代用できる場合がほとんどです。
・《No.61 ヴォルカザウルス》《迅雷の騎士ガイアドラグーン》
《クリフォート・ツール》2枚から大火力が出ます。《シャーク・フォートレス》よりはまだ使う気がします。

持ってなかったので入れられなかったんですけど、直前に勧められた《No.82 ハートランドラコ》がけっこう強いかもと思いました。スケールがあるため攻撃されず、《虚無空間》とかと合わせて4000ポイント取りやすい気がします。

☆デッキごと
・ミラー
まず第一にミラーでは《機殻の生贄》が強力です。クリフォートは《機殻の生贄》を除去する手段がかなり少なく、一番あるのが《クリフォート・アーカイブ》、次に《クリフォート・ゲノム》、あとは罠くらいです。述べた通り初動で《クリフォート・アーカイブ》効果起動に辿り着けることは多くないので、先にクリフォート+《機殻の生贄》を設置した側がそれを除去されることなく、次の生け贄召喚を成功させてそのままゲームが終わることが多いです。
また、メインギミックから繰り出される前の除去が《クリフォート・アーカイブ》程度しかないので、耐性が復活した《クリフォート・シェル》《クリフォート・ディスク》の対処はほぼ戦闘破壊に限られます。よって、それらを《機殻の生贄》やスケールでバックアップした状態は強力です。
基本一戦目はかなり不毛なゲームです。《クリフォート・アーカイブ》+《機殻の生贄》を先に構えた側がそのままゲームを終了させることが多く、特に片方だけが最速で《クリフォート・ツール》を入手した場合などは入手していない側の勝ち目はかなり薄いです。
二戦目以降は《機殻の生贄》にはサイドインが濃厚な《帝王の烈旋》の裏目が発生します。しかし、《帝王の烈旋》を食らわない限りは《機殻の生贄》の構えは依然として強力なので、日和らずにこれを押し通す方向で考えました。
《帝王の烈旋》をケアするために《起動する機殻》を使います。《帝王の烈旋》チェーン《起動する機殻》で自分フィールドのクリフォートは生け贄にならなくなるので、構えてあると安心です。
他にも《起動する機殻》には色々な使い道があり、《クリフォート・ディスク》《クリフォート・シェル》のレベルを戻して耐性を得た状態にしたり(《クリフォート・アーカイブ》に弾かれない、先述)、相手の《クリフォート・ディスク》の効果を無効にして死ぬところを死ななくしたできます。
後は相手の《奈落の落とし穴》をカット出来ると嬉しく、《激流葬》と組み合わせると《サンダー・ボルト》になります。
《魔法効果の矢》は《クリフォート・ツール》を叩く以外にも、張られたスケールを全部剥がしたり《機殻の生贄》もついでで同時に葬れるのが強力です。ミラーではペンデュラム召喚はやり得なので相手が設置したスケールが破壊出来ずに圧死することもあり、特に相手の初動が《クリフォート・ツール》《EMトランポリンクス》だった場合、《サイクロン》ではまず間に合いません。バックは《起動する機殻》である程度睨めますし、《サイクロン》よりも《魔法効果の矢》を選択しました。
サイド後は《デビル・フランケン》からの《ナチュル・エクストリオ》を警戒して使わなくてもスケールを先張りしておきます。《ナチュル・エクストリオ》は既に張られてしまったスケールには対処できないので、もし出されてもペンデュラム召喚から倒せます。

・対シャドール
まず最初に《大嵐》は無理です。ケア出来ません。色々ケアする方法を考えたんですけど、どうやっても裏目が残るので割り切るしかないと思いました。サイド後の《異次元グランド》は唯一破壊されても効果が残留するので少ない伏せでも機能させることができ、《大嵐》にやや強いです。
全伏せを盾にしてこちら側のアクションを押し通します。《クリフォート・ツール》やバックを張ることで必然的に《シャドール・ドラゴン》との戦いが発生しますが、《シャドール・ドラゴン》は1ターンに1度しか発動出来ないのが弱点で、これを突いて大量の脅威で対抗します。普通ならばサーチの効く《シャドール・ドラゴン》側が有利な攻防ですが、《クリフォート・ツール》は《機殻の生贄》をサーチすることで脅威を複製して対抗出来ます。
例えば初動で《クリフォート・ツール》+《機殻の生贄》+罠で構えた場合、2つの初動から既に3つの脅威を張ることが出来ています。罠を狙えば《機殻の生贄》が割れないのでライフを削れず、《機殻の生贄》を割ればその逆という感じです。どちらの場合も《クリフォート・ツール》が残るので王手は継続しますし、《機殻の生贄》は更に脅威となる《クリフォート・ツール》を回収します。しかし、《クリフォート・ツール》が一回も発動出来なければ複製は出来ずに普通に破壊一発で終わりなので、先行最速《クリフォート・ツール》の効果を使うことがいつにも増して重要になってきます。実際には更に《堕ち影の蠢き》《神の写し身との接触》からの《シャドール・ドラゴン》で自ターンでも破壊が入ってきます。
《機殻の生贄》の戦闘破壊耐性はそれなりに信頼出来ます。シャドール側のメインアタッカーである《エルシャドール・ネフィリム》からは(それ自体では)解決されず、《機殻の生贄》を破壊することなくクリフォートを叩けるのは《エルシャドール・ミドラーシュ》絡みのシンクロであるとか、白黒絡みの4エク、ダムド開闢くらいです。
特に対シャドールで重要になってくるモンスターが《クリフォート・シェル》です。大体先述しましたが、解決手段が少なく、《機殻の生贄》が付いていればなお強いです。あと、《アポクリフォート・キラー》を出せば勝ちなのも書いた通りです。
採用率が上がっている《超融合》が地味に頭の痛いカードです。永続、《機殻の生贄》のいずれも一発で乗り越え、前を排除しながら大きくライフを持っていきます。後ろに除去を置いておけばライフは守れるので、それでなんとかという感じです。
サイドインする《異次元グランド》はクリフォートと特に相性が良いです。《異次元グランド》を発動したターンシャドール側は動くことが出来ず、1ターン場を守れること、生存することが確定し、2アクションの間のターンを埋めるまさにコンセプト通りのカードです。ただ、まずいところが二つだけあり、一つは手札からの素セプスロには全く触れないことです。一戦目で光天使が見えた場合は投入枚数を減らしたりしていましたが、バックを引いているのにセプスロに触れないという事態はかなり厳しいです。もう一つは《シャドール・ドラゴン》絡みの《神の写し身との接触》をチェーンされることです。この場合、《シャドール・ドラゴン》で《機殻の生贄》が破壊され、出てきた融合体との戦闘でクリフォートが破壊、除外されます。クリフォートがエクストラデッキではなく除外ゾーンに行ってしまうので返しに差し支える上、2アクションが成り立たなくなるので少し寒い展開です。それでも、チェーン処理の都合上素材は《シャドール・リザード》ではダメで、《神の写し身との接触》《シャドール・ドラゴン》の二種を素引きされた上で他のアクションで《異次元グランド》を捲らされるというシチュエーションで無ければ起こり得ないのでまあレアケース、別にいいかなと思って割り切っていました。同様に《異次元グランド》に《神の写し身との接触》をチェーンされて起こるケースで、《シャドール・ヘッジホッグ》絡みの融合から《シャドール・ファルコン》+《エルシャドール・ミドラーシュ》→《ブラック・ローズ・ドラゴン》という展開も稀にあるんですけど、この場合は《エルシャドール・ミドラーシュ》が除外されて回収効果が発動せず、そんなに辛い展開にはなりにくいです。
サイドに、たまにメインにいる《ライオウ》は結構強いです。素引きしたスケールor《機殻の生贄》+クリフォートで簡単に突破出来るように見えるんですけど、薄いバックアップで突っ込んでいくのは攻撃宣言時の《堕ち影の蠢き》《サイクロン》などでスケールや《機殻の生贄》を破壊されるのが大裏目で、そのまま自爆特攻になってしまうと解決がかなり絶望的になります。《機殻の生贄》を破壊された場合サーチ効果を使うことも出来ません。こればっかりは引き次第というか、《ライオウ》が立っている限り勝てないので突っ込むしかないです。一応、余裕があれば二枚バックアップを張ってクリフォートの打点を2400にしておけば戦闘破壊が通らないことは少なくなります。

・対ヒーロー
大体シャドールと同じ感じで、ガバで構えて適宜バックを捲りながら迎え撃ちます。《大嵐》からの抑え込みに対して《スキルドレイン》後撃ちで捲れる可能性があるのですが、風系魔法の連打を考えると割り切らざるをえません。
《クリフォート・ツール》を妨害してくる《M・HERO ダーク・ロウ》《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》は普通に無理で、こいつらを巡る戦いという感があります。《M・HERO ダーク・ロウ》はお祈りサーチに走ることも可能ですが、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》は罠以外では本当に無理です。
サイド後はライフを守りながら抑え込みを排除出来る《聖なるバリア−ミラーフォース−》を投入しました。《M・HERO ダーク・ロウ》+サーチした《E・HERO エアーマン》で破壊されるカードですが、クリフォートは元々《激流葬》が濃厚なデッキなので破壊効果を使われることはあまり無いです。また、《M・HERO ダーク・ロウ》が成立すると仕事が無くなる《強欲で謙虚な壺》はoutすることが多いです。
ちなみに、《クリフォート・アーカイブ》はリリース後に除外されても効果を発動出来るので《M・HERO ダーク・ロウ》をバウンス出来ます。あと、《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》の効果を勘違いしている人も多いですが、守備表示のモンスターは破壊出来ないので、《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》が抑えに立っている状況でも、クリフォートを横でペンデュラム召喚すればペンデュラム召喚からの返しは普通に行うことが出来ます。生け贄召喚した最上級クリフォートは自身の耐性効果で《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》の効果を受けません。

☆不採用になったカードたち
・《嵐》
通常魔法
自分フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
その後、破壊したカードの数だけ相手フィールド上の魔法・罠カードを破壊する。

《大嵐》では無い方です。覚えている人はあまりいないと思うのでテキストを貼っておきました。
劣化《大嵐》としてカスノーレアのうちの一つのように思われている《嵐》ですが、クリフォートではアドを取りながら動きを強化出来る、かなりの強カードです。
1.《クリフォート・ツール》発動、《機殻の生贄》サーチ、セット
2.《嵐》発動、《クリフォート・ツール》《機殻の生贄》を破壊して相手の伏せを2枚破壊
3.《機殻の生贄》効果、《クリフォート・ツール》回収
この動きで《クリフォート・ツール》《機殻の生贄》の2枚から《クリフォート・ツール》を持ったまま相手の伏せを2枚破壊出来ているので、1:2交換が成立しています。更にエクストラデッキに《クリフォート・ツール》を送り込めているのもポイントで、ペンデュラム召喚の威力が大きく増します。ペンデュラム召喚する予定のクリフォートをスケールに置くことで、損失なく更に破壊枚数を増やすことも出来ます。
以上のように非常に強力な一枚なのですが、あまり環境に合っておらず、今回は採用を見送りました。まず、二戦目以降にバック破壊に求める役割は《クリフォート・ツール》を張る前に《クリフォート・ツール》を破壊しにくる風系の魔法を排除することなので、それを満たせない《嵐》はサイド向けのカードではなく、投入するならばメインからになると思います。それを踏まえてメインの相性を具体的に書くと、
-対シャドール
フリーチェーンが多く、《クリフォート・ツール》前提で《堕ち影の蠢き》《神の写し身との接触》破壊を考える意味はそんなにないです。
-対クリフォート
クリフォートは罠を置くことが多いデッキなのですが、今クリフォートはミラーを捨て気味の構築が多く、《嵐》で伏せを剥がしたところで持て余していた《スキルドレイン》や《虚無空間》が捲れることも多いです。特に《嵐》は通常魔法なので《クリフォート・ツール》のサーチを止めることが出来ないのがマイナスです。
-対ヒーロー
ヒーローのバックは結構まちまちで、伏せが多い人も少ない人もいます。1枚でも割れればアドバンテージ的にはトントンなのでそれはまあいいんですけど、《M・HERO ダーク・ロウ》や《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が存在している場合は発動すら満足に出来ないのが問題です。ヒーローは後ろよりも前にゲームエンド級の脅威を置くことが多く、バック破壊のウェイト自体そんなに高くないです。

総じて噛み合っていないので抜けていきました。ただ、今は《ナイト・ショット》《サイクロン》が蔓延しているため、1伏せを嫌って《大嵐》を割り切った多伏せに走るプレイが多く、そこを綺麗に刈り取れる《嵐》のポテンシャルは非常に高いと思います。環境次第ではかなりチャンスのあるカードです。

・《増殖するG》
《エフェクト・ヴェーラー》と一緒にひとまず検討してみましたが、全く強くなかったです。今SS絡みのアクションはストップが容易なものだったり、そもそも抑止力にすらならなかったり、《増殖するG》無視でブン回されても返せなかったりだのでことごとく話になりません。
三つ挙げたものの具体例はそれぞれ、ストップが容易なものがシャドールの融合やセプスロ、そもそも抑止力にならないものが《召喚僧サモンプリースト》や《ヒーローアライブ》から《M・HERO ダーク・ロウ》に向かうアクション及び融合に付随した《シャドール・ドラゴン》の破壊効果など、無視のブン回しが返せないのはセプスロや《ソウル・チャージ》からの《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》などです。死ぬ場合は全無視で回されるので即死するケースも役に立ちません。

・《禁じられた聖杯》
伏せていないといけない代わりに、ダメステや《M・HERO ダーク・ロウ》や自分にも撃てる《エフェクト・ヴェーラー》です。
小回りは効くんですけど、色々なものに発動出来る割にはどれも中途半端です。シャドールがセットから入ってきたときは流石に強いですけどそんなに期待出来ないですし、《M・HERO ダーク・ロウ》には先撃ちが確定なので更に罠でアクションを弾かれたときがお通夜、自分に対して使う場合も相手のターンに耐性を得ていたい都合で自ターンの先撃ちが基本なので、相手のアクションを見る前に自分の防御を減らさなくてはならず、相手にもそれを見せてしまうのが良くありません。
全体的に、引いてもあまり嬉しくないので抜けました。

・《奈落の落とし穴》
ミラーで少し強いだけで、除去性能は発動タイミングの限られた《強制脱出装置》みたいなものです。
かなり前から、クリフォートが登場した頃から思ってたんですけど、これシャドールの《マスマティシャン》がド裏目なんですよね。《マスマティシャン》召喚をスルーすると《ライトロード・アーチャー フェリス》が落ちた場合に《ブラック・ローズ・ドラゴン》《アーカナイト・マジシャン》が止まらず大惨事です。かといって《マスマティシャン》に発動すると相手は除外を見てから落とすカードを選択できるので、《シャドール・ドラゴン》なり《シャドール・ヘッジホッグ》なりを落とせます。《マスマティシャン》からの《シャドール・ドラゴン》で《奈落の落とし穴》が破壊されるならまだしも、これは《マスマティシャン》に罠を使わされた上でアドバンテージを突き放されているので流石にヤバいです。
そもそもミラー自体少ないと読んでいたので採用は見送りました。

・《強制脱出装置》
数多の高速ビート同様、前を弾いてライフを取れて2アクションの高速展開に噛み合っています。《クリフォート・ゲノム》スタートならバックを割れますし、《クリフォート・アーカイブ》と役割が被ることもそんなに無いです。《クリフォート・ツール》がエクストラデッキからペンデュラム召喚で簡単に回収出来ます。
対シャドールでは融合モンスターを弾いてライフを守れ、対ヒーローでは《M・HERO ダーク・ロウ》《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》に後から対処出来る数少ない罠であり、ミラーでも《機殻の生贄》付きのクリフォートをカットする役割を持てます。
まあ良いことづくめで実際かなり最後まで採用していた罠なんですけど、セプスロにほとんど対応出来ないので採用を諦めました。《光天使セプター》《光天使スローネ》のどちらに発動してもアドバンテージを大きく失う上に次のセプスロが匂ってきます。《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》に発動しても1破壊1ドローが通るので枚数差が追いつきません。

・《ブレイクスルー・スキル》
《エフェクト・ヴェーラー》と競合するカードです。後引きで《M・HERO ダーク・ロウ》に対処できるのがウリですが、《エフェクト・ヴェーラー》でも不完全ながらも対応出来ますし、1ターンのラグは結構厳しいです。
先伏せしたときの威力は高く、《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》を完全に無力化したり、《E・HERO シャドー・ミスト》から《マスク・チェンジ》に触らせないようにしながら更に《M・HERO ダーク・ロウ》《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》にも睨みを効かせるなんてことをやってのけます。ミラーで少ないながらも使い道があるのも《エフェクト・ヴェーラー》に勝るところで、本来ならば《クリフォート・アーカイブ》の効果を受けない相手の《クリフォート・シェル》《クリフォート・ディスク》をバウンスしたり、《エフェクト・ヴェーラー》では無効に出来ない《クリフォート・ディスク》の特殊召喚効果を無効にしたりできます。クリフォートは《エルシャドール・ミドラーシュ》がキツくないので、対シャドールはあんまり活きるシーンが無いです。

・《隠されし機殻》
サイドに採用していたんですけど、不採用で良かったカードです。二本目以降《クリフォート・ツール》が爆速で割られたとき、3枚エクストラデッキに行くと詰むのが嫌で投入していたんですが、初動周りで引くとかなり邪魔だったのと、タイムラグがあるせいで思うように活躍しませんでした。《クリフォート・ツール》がエクストラデッキに行ったのを見てから伏せると遅すぎるんですけど、かといって先に伏せておくとフリーチェーンを活かせないまま破壊されてしまいます。入れるにしても同じような役割で即効性のある《レスキューラット》の方が良かったかなと思います。
《クリフォート・ツール》が一度も発動しないまま次々に割られていくという普通なら絶対無理な展開を余裕で捲れるので、うまく発動出来る環境ならポテンシャルが高いとは思うんですが。

・《レスキューラット》
ほぼ《隠されし機殻》と同じ役割で、葬られた《クリフォート・ツール》を二枚も回収出来ます。特殊召喚効果の方もそれなりに強力で、《クリフォート・ツール》が割られた直後から《No.61 ヴォルカザウルス》《迅雷の騎士ガイアドラグーン》でライフを大きく詰めることが出来ます。ただし、これを一度使うと(《レスキューラット》《隠されし機殻》を複数投入していない限り)基本的にはもう二度と《クリフォート・ツール》には触れないので、かなり博打なアクションではあります。

☆その他
・先後
自分はクリフォートは常に先行を取っています。理由は四つあり、何度も言っている通りクリフォートが2キルデッキなので先行1ターン目で生け贄設置、先行2ターン目で生け贄召喚という流れが理想的なのが一つ、手札誘発や後伏せよりも遥かに信頼できる先伏せの罠を設置して相手の初動を妨害出来るのが一つ、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の遅れが気になるのが一つ、《クリフォート・ツール》が通りやすいのが最後の一つです。
先行1ターン目の生け贄設置から次の生け贄召喚に繋ぐ場合、相手に許された猶予は後攻1ターン目のみですが、後攻1ターン目から同じことをしようとすると、こちらがキルに向かうアクションに辿り着く前に相手は先行1ターン目と先行2ターン目の2ターンを使って動けてしまいます。罠の設置に関しては、相手が抑え込みに向かってくるヒーロー戦で特に顕著です。《虚無空間》は先置きでしか機能しないですし、《激流葬》も後置きよりは先置きの方が働きやすいです。後置きで機能する《強制脱出装置》に頼る手もあるかもしれませんが、既に述べた通り後置きで動く代わりにパワーが低く、犠牲にするものも大きいです。《クリフォート・ツール》が一回通るかどうかというのも非常に重要です。《クリフォート・ツール》は一度通せば実質《クリフォート・ツール》になる《機殻の生贄》をサーチ出来るので、一度だけ通るのと一度も通らないのでは天地です。
「《クリフォート・ツール》が無いと動かないデッキなので初手が6枚ないと不安」という理由で後攻を取る人もいるみたいなんですけど、後攻を取ったことで《クリフォート・ツール》に触れるケースというのは、デッキの上から1〜5枚目に《クリフォート・ツール》《召喚師のスキル》がなく、かつ6枚目に《クリフォート・ツール》《召喚師のスキル》があるときだけです。デッキの上から6枚目だけにピンポイントで《クリフォート・ツール》《召喚師のスキル》がある確率と、先行の相手が《クリフォート・ツール》を叩くカードを置いてターンを返す確率を考えたとき、ただ単に《クリフォート・ツール》が成立する確率ですら先行の方が高いと思います。

・《EMトランポリンクス》が被ったときのパターン
《EMトランポリンクス》が手札に被った場合、《EMトランポリンクス》召喚を絡めて大火力を出すパターンがあります。具体的には《クリフォート・ツール》《EMトランポリンクス》《EMトランポリンクス》のハンドから7600火力であり、使う頻度は少ないですが、知らないと《EMトランポリンクス》を持て余したまましょっぱいアクションしか出来ないので重要です。クリフォートの他のワンキルは大体はハンドを見ればわかるのでいちいち覚えてなくてもいいですが、これは知らないと無理です。
1.《クリフォート・ツール》発動、《クリフォート・ゲノム》サーチ
2.《EMトランポリンクス》発動、ペンデュラムで《クリフォート・ゲノム》SS、《クリフォート・ツール》バック
3.《クリフォート・ツール》発動、《機殻の要塞》サーチ
4.《EMトランポリンクス》召喚、効果で《クリフォート・ツール》バック
5.《クリフォート・ツール》発動、《クリフォート・ディスク》サーチ
6.《機殻の要塞》発動、《クリフォート・ゲノム》《EMトランポリンクス》をリリースして《クリフォート・ディスク》召喚
7.《クリフォート・ゲノム》効果対象《クリフォート・ツール》、《クリフォート・ディスク》効果で《クリフォート・ツール》2枚SS
8.《クリフォート・ツール》×《クリフォート・ツール》→《シャーク・フォートレス》
9.《シャーク・フォートレス》効果対象《シャーク・フォートレス》で2800+2400×2=7600

・クリフォートの状態
クリフォートモンスターはステータス・効果を決定するに際して多くのことを参照します。特に多いのが《クリフォート・シェル》で、
1.妥協召喚ないし特殊召喚で場に出しているか(打点1800?)
2.通常召喚で場に出しているか(耐性の有無?)
3.効果が無効になっているか(打点復活?)
4.クリフォートを生け贄にして召喚しているか(貫通・二回攻撃?)
の4点をチェックしないといけません。勘違いしている人も多いのですが、妥協召喚で場に出したあと《スキルドレイン》で効果を無効にし、更に《スキルドレイン》が破壊された後の《クリフォート・シェル》のステータスは「攻撃力2800」「耐性」です。クリフォートをリリースしていないので貫通・二回攻撃は付きません。ペンデュラム召喚で場に出した後、同様に《スキルドレイン》が一瞬だけかかった場合は「攻撃力2800」のみです。通常召喚しておらず、クリフォートをリリースしているわけでもないので耐性も貫通・二回攻撃も発生しません。
他に出し方関連でややこしいところとしては、《クリフォート・シェル》《クリフォート・ディスク》の効果はクリフォートモンスターが最低一体リリースに含まれていれば有効ですが、《アポクリフォート・キラー》は生け贄全てがクリフォートでなければ場に出せません。

・サイド後の《妖精の風》
永続プランだとサイド後の《妖精の風》はどうするのみたいなことを言われたことがあるんですけど、そもそも《妖精の風》は撃たれてもそんなに痛くないです。《クリフォート・ツール》《スキルドレイン》《虚無空間》《機殻の生贄》あたりは、いずれも発動した瞬間(《機殻の生贄》だけは破壊された瞬間)にアドバンテージを取れるカードなので、永続系一枚目を設置した時点で《妖精の風》をチェーンされれば1:1交換に収まりますし、永続系一枚目を設置した時点で《妖精の風》スルー、二枚目で発動みたいなことをされた場合でも、アドバンテージで負けることは特にありません。

・《魔封じの芳香》
一度も使われなかったんですけど、かなり強いクリフォートメタだと思います。
スケールは裏では設置出来ないので、《魔封じの芳香》がある状況では《クリフォート・ツール》は何ターンかけても発動出来ません。《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》魔法宣言が捲るだけで唱えられているようなものです。
実際には先に張られた《クリフォート・ツール》を破壊してからでないと機能しないので、もう少し事情が複雑だとは思いますが、《クリフォート・ツール》を封印出来るのは流石に強いです。
ラベル:クリフォート JDC
posted by LW at 22:11| Comment(0) | デッキ考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月06日

【デッキ考察】魔導

魔導について書きます。
環境に対して理論が固まっている状態ではないですし、今期が2ヶ月で終わってしまうのでなるべく受けが広そうな書き方をしています。例えば、案を挙げるだけ挙げて結論は出しません。案は有れば有るだけ良いので、僕が思っていることを喋ることで、他の魔導ユーザーが何かいいことを思い付いたりすればいいな〜と思います。

§1:魔法

☆《グリモの魔導書》
デッキの中で最も重要な位置を占めるカードで、《グリモの魔導書》にアクセス出来ない試合は負けと言っても過言ではありません。
何故重要かというと、《グリモの魔導書》が無ければデッキ全体のギミックが稼働しないからです。コピー元が存在しない《セフェルの魔導書》は発動出来ず、結果墓地が肥えないので《ゲーテの魔導書》も発動出来ません。また、墓地が肥えないということは《魔導書院ラメイソン》で戻す魔導書が確保出来ませんし、《ゲーテの魔導書》が発動出来なければ魔導書が除外されないため《アルマの魔導書》も発動出来ません。更には《魔導書士 バテル》が墓地に落ちないので《ネクロの魔導書》も発動が怪しくなります。
《グリモの魔導書》《魔導書士 バテル》の2種6枚に加えて《魔導書の神判》からも《グリモの魔導書》を引き出すことが出来た前期に比べ、今期はアクセス手段をどう確保するかが大きな問題になります。2種6枚は重要性に対して信用出来る数字ではありません。
この問題を解決する案としては以下のようなものがあります。

1.《魔導書庫クレッセン》
《魔導書の神判》が健在だった前期においては《グリモの魔導書》・《セフェルの魔導書》・《魔導書の神判》を指定することで《魔導書の神判》からのサーチや《セフェルの魔導書》からの再抽選を含めて高い確率で《グリモの魔導書》までアクセスすることが出来たのですが、《魔導書の神判》が禁止になった今期は「当たり」の確率が下がっており、サーチカードとしての信用度は低いです。前期同様、中盤以降にトップで引いてきた場合に活かせない問題も抱えています。

2.《強欲で謙虚な壺》
《グリモの魔導書》を探しに行くのはもちろん、《グリモの魔導書》を入手した後も安定して必要なカードを探しに行けるのが強みです。
一方、制約の都合で《魔導召喚士 テンペル》《魔導法士 ジュノン》《魔導書庫クレッセン》との兼ね合いが悪いのが難点で、それらと被った場合は順番を考えながら数ターンがかりで使っていくことになります。

3.《ヒュグロの魔導書》
サーチ効果を使用するためには
・バトルフェイズを行える(先行1ターン目でない)
・殴れる魔法使い族モンスターを所持している
・殴れる相手モンスターがいる
・バックに妨害されない(《トーラの魔導書》で妨害を弾く)
といった条件をクリアする必要があります。裏を返せば、上手くいけば《グリモの魔導書》の入手と戦闘破壊を両立する一挙両得の初動が出来る可能性もあります。積極的に使用していく場合、相性が良い《お注射天使リリー》《魔導戦士 ブレイカー》を併用する手があります。

4.《魔導教士 システィ》
リターンが大きいのが最大の強みで、次ターン以降の攻め手段も確保してくれるのが嬉しいところです。また、生きているので魔導書でサポートしてアタッカーとしても使用出来ます。
弱みは全体的な挙動の遅さです。入手した《グリモの魔導書》を使用出来るのは最速でも次ターン以降になり、更に召喚権を消費して場を空けることが確定しているため、《ゲーテの魔導書》を置いたり《魔導書院ラメイソン》を扱うことが出来ません。後攻では特に遅さが際立ち、既に《魔導教士 システィ》の効果を使う余裕がなくなっていることもあります。

5.《魔導化士 マット》
効果で《グリモの魔導書》を墓地に置けるので、手札の《セフェルの魔導書》を実質的に《グリモの魔導書》として使うことが出来たり、《ゲーテの魔導書》《魔導法士 ジュノン》を経由した《アルマの魔導書》で回収したり出来ます。出来ることはそれだけで、組になる魔導書を引いていなければ意味がないので《グリモの魔導書》事故を解決する手段としては微妙な感じです。

☆《ゲーテの魔導書》
除去性能の高さについては今更言うまでもなく、《ゲーテの魔導書》をサーチして使用出来ることは今期においても魔導の明確な強みです。
相手にプレッシャーをかける意味でも常に墓地に3枚魔導書を用意するのが魔導の基本ですが、《魔導書の神判》を用いて簡単に魔導書が溜められた前期と比べて今期は墓地に魔導書を確保することが難しくなっており、《ゲーテの魔導書》で除外する魔導書をどう確保するかは課題の一つになります。

・初動での魔導書の確保
基本的には初動で墓地に溜められる魔導書は《グリモの魔導書》と《セフェルの魔導書》で2、《魔導書庫クレッセン》か《ヒュグロの魔導書》が絡んで3ないし4が限界になります。
《魔導書庫クレッセン》と《魔導書士 バテル》or《グリモの魔導書》を重ねて引いた場合、《魔導書庫クレッセン》《グリモの魔導書》《セフェルの魔導書》の3枚を初動で墓地に置くことが出来ます。
例えば初手《グリモの魔導書》《魔導書庫クレッセン》で魔導書Aと魔導書Bをサーチしたい場合、まず《魔導書庫クレッセン》で《セフェルの魔導書》・魔導書A・魔導書Bを選択します。
 1.《セフェルの魔導書》を引いた場合:《グリモの魔導書》で《魔導書士 バテル》を経由して魔導書Aサーチ、魔導書Aを見せて《セフェルの魔導書》で魔導書Bサーチ
 2.魔導書Aを引いた場合:《グリモの魔導書》で《魔導書士 バテル》を経由して《セフェルの魔導書》サーチ、魔導書Aを見せて《セフェルの魔導書》で魔導書Bサーチ
 3.魔導書Bを引いた場合:《グリモの魔導書》で《魔導書士 バテル》を経由して《セフェルの魔導書》サーチ、魔導書Bを見せて《セフェルの魔導書》で魔導書Aサーチ
いずれのカードが手札に入った場合も墓地に魔導書を3枚溜めながら魔導書A・魔導書Bをサーチ出来ます。
これを応用して、《グリモの魔導書》《魔導書士 バテル》を引いた場合、まず《魔導書士 バテル》を召喚、《魔導書庫クレッセン》サーチを経由して目的の魔導書をサーチすることで、墓地の魔導書枚数を1枚水増ししながら目的の魔導書2枚を入手することが出来ます。墓地を肥やすだけではなく、これ以降にトップで《魔導書庫クレッセン》を引く確率を下げる効果もあります。
また、1ターン中に墓地に置ける魔導書の枚数は限られているため、サーチしたい魔導書が既に手札に入っている場合でも可能な限りサーチカードは発動しておくべきです。

・魔導書の循環
一度《ゲーテの魔導書》を発動した後は、減った墓地の魔導書を復旧させる必要があります。前期でも使えたテクニックですが、除外ゾーンに置いた《セフェルの魔導書》は《アルマの魔導書》から入ってタダで墓地に戻せるため、これを目指していくことが墓地の魔導書を確保するコツです。
例えば、《グリモの魔導書》《セフェルの魔導書》を《ゲーテの魔導書》で除外した場合、
1.《アルマの魔導書》で《セフェルの魔導書》を回収
2.《セフェルの魔導書》で《アルマの魔導書》をコピー、《グリモの魔導書》を回収
3.《グリモの魔導書》を発動
という手順で墓地に《グリモの魔導書》《セフェルの魔導書》を引き戻しながら最終的に《アルマの魔導書》を《グリモの魔導書》に変換していることになります。
サーチ関連の魔導書には1ターンに一度しか使用出来ない制約が付いているため、除外ゾーンの魔導書を積極的に使うためには、先を見越してターンを跨いだ魔導書管理を行う必要があります。
例えば、《グリモの魔導書》から魔導書をサーチする権利が余った場合、適当に《セフェルの魔導書》をサーチしておくのはあまり上手くないプレイです。《アルマの魔導書》から入って上のような流れで除外ゾーンの《セフェルの魔導書》を回収していく場合、一時的に手札で《セフェルの魔導書》がダブり一枚は発動出来ない状態となり、動きが一手遅れるためです。これは《グリモの魔導書》についても同様ですが、特に《セフェルの魔導書》は可能な限り除外ゾーンから拾ってきて墓地に戻す目的で使用したいため、使用する権利がシビアなことが多いです。
魔導書をサーチする権利が余った場合、次ターンの回収を見越して《アルマの魔導書》を拾っておいたり、召喚権が余りそうなら何でもサーチ出来る《魔導書士 バテル》を拾っておく手があります(トップで召喚権が必要なモンスターを引くのが裏目になります)。除外を先読みして《アルマの魔導書》を拾う場合は《ゲーテの魔導書》を何としても発動しなければ次が続かなくなるため、次ターンまでに《ゲーテの魔導書》発動することが必須になります。ほぼどんなシチュエーションでも《ゲーテの魔導書》を発動して損にならない《魔導書士 バテル》はその点でも相性が良いと言えます。

☆《魔導書院ラメイソン》
《魔導書の神判》を失った今期では貴重なアドバンテージリソースであり、魔導書の供給手段の一つとして捉えることも出来ます。というのは、サーチした魔導書を最終的に《ゲーテの魔導書》や《トーラの魔導書》などサーチ手段を持たない魔導書に変換する場合、その魔導書の運用はそこで打ち止めとなります。戦線を保つためには魔導書を次々に打ち止めにしていく必要があり、新しく魔導書を供給する源として機能するのは結局のところドロー以外にありません。
デッキに戻すカードは時に応じて様々ですが、いくつかコツがあります。
1.《セフェルの魔導書》でコピー出来るカードは一枚は残しておいた方が良い
2.二枚以上墓地に存在する魔導書はデッキに戻して良い
3.デッキに一枚も無い魔導書は作らない方が良い
普段意識しているのはこれくらいです。
「3.デッキに一枚も無い魔導書は作らない方が良い」というのは、デッキにある魔導書はサーチカード一発で手札に持ってこられますが、墓地にある魔導書を除外ゾーン経由で回収する場合は除外する手間が必要になってしまうためです。
ドロー効果が毎ターン累積する都合上、早い段階で場に出すことが望ましく、試合が長引くほど大きなアドバンテージを生み出していきます。逆に言えば、相手が速攻でゲームを終わらせるプランの場合は《魔導書院ラメイソン》を無視しても脅威にならないので有用性は下がります。挙動の遅さは若干気になるところで、アドバンテージを生む以外の機能は有していないのに、実際にアドバンテージを生むのは発動後2ターン目のスタンバイフェイズ以降になり、それよりも早くゲームが終われば特に何も生産していないことになります。
また、被破壊時の特殊召喚効果も前期に比べれば活かしづらいです。《昇霊術師 ジョウゲン》《青き眼の乙女》のような前期呼び出していたモンスターは《魔導書の神判》が禁止になった煽りで《魔導書院ラメイソン》の効果でしかアクセス出来なくなってしまったため、受け身な発動条件のためだけにメイン採用するのはリスクを伴います。
ちなみに、墓地の魔導書を1以上から0に出来るのは《魔導書院ラメイソン》と《魔導法士 ジュノン》くらいで、墓地の魔導書がある状態で《魔導書庫クレッセン》が手札に来た場合、《魔導書院ラメイソン》効果から発動を狙っていくことが出来なくもないです。

☆《ヒュグロの魔導書》
上昇値が大きく効果は強力なのですが、一種のコンボカードであり、ムラの多いカードでもあります。
大体は《グリモの魔導書》の項で書いた通りで、特に発動後に戦闘破壊に失敗した場合はそのままアド損になるのが辛いところです。《トーラの魔導書》とペアで使うことで《強制脱出装置》《デモンズ・チェーン》《聖なるバリア−ミラーフォース−》あたりのバックは踏み越えることが出来ますが、《月の書》《安全地帯》《禁じられた聖槍》、他ダメージステップのコンバットトリックなど《トーラの魔導書》でもケア出来ない裏目はいくつか存在します。《トーラの魔導書》は先の続かないいわばエンドサーチであるため、これらの大裏目を引いた場合は立て直しが難しくなり、それなりにリスキーなアクションと言えます。
リスキーなだけあって、アタックが通った場合は盤面を返すこと、魔導書の墓地肥やし、1:1の魔導書サーチを一度に行うことができ、中々強力です。
また、《セフェルの魔導書》による重ね掛けが効き、対炎星など相手のコンバットトリックが濃厚な場合は先読みして重ねておく手があります。なお、デッキに《ヒュグロの魔導書》がある限り《魔導書士 バテル》召喚《ヒュグロの魔導書》サーチという動きはいつでも行えるので、打点1500までのモンスターはタダで処理出来るというざっくりした見方も出来ます。

☆《魔導書廊エトワール》
《魔導書院ラメイソン》同様に盤面に直接干渉する機能は持たず効果が累積する永続です。ゲームが長引くほど力を発揮し、カウンターが乗る時間さえあれば、相手の展開を返す動きの効率化やダメージクロックの増加に使えます。ゲームがビート寄りかどうかというよりは、ゲームがどれだけ長引いているか、設置してからどれだけカウンターが乗るかというところに強さが依存する感じがします。
もっとも、それは全体的な印象であって、敵が明確に決まっている場合はその限りではありません。例えば、ヴェルズに対して除去から隙を突いて《魔導法士 ジュノン》を構えるプランで戦う場合、《ヴェルズ・オピオン》2550-《魔導法士 ジュノン》2500=50という打点差を考えると、一つでもカウンターを乗せておけば相手の返しを縛ることができることがわかります(逆に、《魔導書廊エトワール》が無ければ即座に《侵略の汎発感染》を盾にして返されます)。打点で勝っているというのは言い換えれば戦闘での解決手段を奪っているということでもあり、中々馬鹿に出来ないところがあります。この用途ではカウンターは一つでも問題ありませんし、用途がはっきりしている場合はカウンターがいくつ必要かということは想定シーンに依ってきます。
被破壊時のサーチ効果は無難に損失を抑えてくれます。《魔導書院ラメイソン》と違って自分から壊してもサーチ効果が誘発するので、《魔導法士 ジュノン》《サイクロン》あたりと合わせてサーチカードとして使うことも出来ます。《エフェクト・ヴェーラー》を確保したり、先行で《魔導法士 ジュノン》破壊効果から《魔導書士 バテル》サーチを絡めて回しにいくこともできなくはないです。
また、前期同様《マジックテンペスター》との相性が良く、ワンショットが狙えます。ダメージを与える効果にチェーンして《エフェクト・ヴェーラー》を受けた場合、《ゲーテの魔導書》で裏返すことでケア出来ます。シンクロ召喚時の誘発効果にチェーンして《エフェクト・ヴェーラー》を受けた場合はダメージを与えることが出来ませんが、《魔導書廊エトワール》の魔力カウンターを失うことは無く、次ターン以降に再発動出来る可能性があります。

☆《ネクロの魔導書》
用途は
1.レベル調整からシンクロ・エクシーズに使う
2.単体で強力なモンスターを蘇生する
の二択です。状況に応じてエクストラデッキから攻め札を引き出すことができ、《エフェクト・ヴェーラー》の採用理由にも関わってくるカードです。《トーラの魔導書》を使うとレベル上昇が無効になるので、どうしてもレベルが合わない場合はそれで調整出来ます(《魔導法士 ジュノン》+《エフェクト・ヴェーラー》でレベル8を出したいときに《トーラの魔導書》を使うことが多い気がします)。レベルごとのエクシーズ・シンクロパターンは長い割に得るものが無いので割愛します。
初手〜中盤では機能せず、サーチ対象としては欲しいものの引きたくはないカードです。

☆《トーラの魔導書》
バックを踏み越えてモンスターを展開するとき、《ブラック・ホール》などのスペルによる返しを封じるときに使います。
魔導ミラーが多かった前期に比べれば今期は相手の魔法使い族に使うことは少ないですが、《ヴェルズ・ケルキオン》などちょくちょく使える相手はいます。例えば、相手の《ヴェルズ・ケルキオン》召喚時に《奈落の落とし穴》を撃ち、《侵略の汎発感染》で応じられたとき、《トーラの魔導書》対象《ヴェルズ・ケルキオン》魔法宣言を重ねれば《侵略の汎発感染》が無効になり、《ヴェルズ・ケルキオン》は除外されます。
魔導書としては次に繋がらずあまり積極的にサーチしたいカードではないのですが、《魔導法士 ジュノン》を出す場合に《奈落の落とし穴》などを温存されることがあまり無いので結局はサーチせざるをえないことが多いです。
《侵略の汎発感染》同様《デモンズ・チェーン》のような永続するカードに対しては若干弱いです。《デモンズ・チェーン》の効果を受けないのは発動ターンのみで、エンドフェイズ以降は再び《デモンズ・チェーン》が有効になるため、全体的に見れば0:1交換になっているからです。

☆《セフェルの魔導書》
今期も潤滑剤です。
前期はデッキ内の残存リソース数が重要だったため無闇に引き出してくるのはあまり上手い使い方ではありませんでしたが、今期は墓地に一枚でも多くの魔導書を置いていきたいためスピーディーに墓地に置くことを目指します。除外した後は《アルマの魔導書》からタダで墓地に引き戻せるので墓地コストとしてかなり優秀です。

☆《魔導書庫クレッセン》
前述した通り、《魔導書の神判》禁止で「当たり」の確率が下がったためサーチカードとしての信用度はかなり低くなりました。《グリモの魔導書》や《魔導書士 バテル》と同時に引いた場合は単なるサーチカードとして使用出来ること、たまに経由して墓地に置けるパターンがあることも述べた通りです。
少し詳しい確率の話をすると、初手でまともに動かせる魔導書が《魔導書庫クレッセン》くらいしか無い場合、発動して《グリモの魔導書》を入手出来る確率は1/3です。《セフェルの魔導書》を引いた場合の再抽選を含めても、解決に繋がる確率は1/3+(1/3)^2=4/9しかありません。ちなみに、前期は《魔導書の神判》《グリモの魔導書》の二枚が当たりだったので、一枚から解決に繋がる確率は再抽選を考慮して2/3+(1/3)*(2/3)=8/9でした。

☆《アルマの魔導書》
目的の魔導書を引っ張ってくるだけなら《グリモの魔導書》の方が手っ取り早いですが、《アルマの魔導書》は除外ゾーンの魔導書を復活させられるため息切れを防ぐ効果があり、可能な限りデッキよりも除外ゾーンから魔導書を拾うのが望ましいです。《セフェルの魔導書》まわりの使い方は述べた通りです。
《ゲーテの魔導書》で除外してはいけないカードの筆頭で、《アルマの魔導書》で《アルマの魔導書》を回収することは出来ないので、一度除外された《アルマの魔導書》を回収する手段はありません。今期は墓地の魔導書管理がシビアでいざというときは《アルマの魔導書》を除外して《ゲーテの魔導書》を発動したいシーンもあるので、2枚以上の投入も有り得ると思います。

☆《月の書》
防御に使えることに加えて、魔導では《魔導書士 バテル》に対する《エフェクト・ヴェーラー》を止める役割があります。
魔導では《グリモの魔導書》が手に入らなかったり、最初に使う魔導書を確保出来なかったりすると出来ることがなくなるので、初動の《魔導書士 バテル》に対する《エフェクト・ヴェーラー》は総じて辛いです。《エフェクト・ヴェーラー》に対して《月の書》で応じた場合、裏返した《魔導書士 バテル》は再びサーチ効果を使えるため、《魔導書士 バテル》自体をアドバンテージに勘定しなくても相手の消費は《エフェクト・ヴェーラー》一枚、こちらは《魔導書士 バテル》《月の書》を消費して二枚サーチで±0という形になり、アドバンテージはこちらが一つ有利です。
また、《月の書》で防御を行った場合、返しに《ヒュグロの魔導書》で戦闘破壊する目途が立ちます。

§2:モンスター

今期は《魔導書の神判》禁止により《昇霊術師 ジョウゲン》や《青き眼の乙女》をリクルートして盾にする戦略は成り立たなくなりました。戦線を支えるモンスターの選択も見直すことになります。
個人的には魔導を使用する最大の理由は《ゲーテの魔導書》で、魔導モンスターは二の次だと思っていますが、《ゲーテの魔導書》だけでは相手のライフポイントを削れないので、数値を持っているモンスターを何かしら選んでいく必要があるわけです。
採用するモンスターは基本的に魔導書を扱える魔法使い族である点は動かないと思います。しかし、それ以外に制約は特になく、《魔導戦士 ブレイカー》《見習い魔術師》《青き眼の乙女》《仮面魔道士》などなど、考えられるモンスターはいくらでもいます。キリが無いので少しだけ書きます。

☆《魔導法士 ジュノン》
魔導のダムド、概ね出れば強いですが、魔導書3枚という特殊召喚条件が課題です。
即座に手札の魔導書を増やすことが出来る魔導書は使いづらい《魔導書庫ソレイン》のみで、基本的に手札の魔導書は引いてきた以上の枚数にはなりません。《魔導法士 ジュノン》を使用する場合、初手で6枚引くことを考えて最低でもデッキに20枚前後魔導書を入れることになります。
魔導書を3枚引いた後も、魔導書を場に置いていくことで手札の魔導書は減っていきます。早い段階から場に置きたいのは《魔導書院ラメイソン》や《ゲーテの魔導書》で、一度場に魔導書を置いてしまうと引いてきたり《魔導教士 システィ》からサーチした《魔導法士 ジュノン》は出しにくくなります。場に《魔導書士 バテル》がいれば場の《ゲーテの魔導書》を手札の魔導書に変換でき、相手を牽制する役割と手札の魔導書を確保する役割を同時にこなせます。
出した後はあまり難しいことは無いですが、何度も書いている通り今期は墓地の状態がシビアです。効果を発動することで墓地の魔導書枚数が1枚以下になってしまう場合は、手札から魔導書を除外するのも手です。

☆《魔導召喚士 テンペル》
損無くアタッカーを引っ張れるリクルーターです。
起動条件として魔導書を発動する必要があります。《魔導教士 システィ》と比べ、後続の魔導書をサーチ出来ない上に効果がアドバンテージにならないので、《トーラの魔導書》や《ヒュグロの魔導書》など《グリモの魔導書》以外で起動するのは若干辛く、これも《グリモの魔導書》を必要とするカードの一つと思います。
制約の都合上、《魔導法士 ジュノン》《魔導召喚士 テンペル》を両方手札に持っている場合は1ターンではどちらか片方しか発動出来ません。場に魔導書を置いた後はSSしにくくなるので、《魔導法士 ジュノン》から出すことの方が多い気がします。

☆《魔導天士 トールモンド》
《魔導召喚士 テンペル》を採用している場合は視野に入ります。
アドバンテージの塊のようなモンスターで、自身の戦闘力に加えて出した時点で2アドバンテージが確定しています。
サルベージ効果によって墓地の魔導書枚数は減ってしまうため、可能ならば2枚回収しても《ゲーテの魔導書》の発動が可能な、4枚以上の魔導書が墓地にあるときにSSを狙いたいところです。
引いても《魔導書の神判》からのアドバンテージでごまかせた前期に比べて、今期は手札に引いてきたときが致命傷になります。初動《魔導教士 システィ》からの手札7枚を調整して墓地に放り込む手がありますが、他に処理手段はあまりないです。

☆《お注射天使リリー》
実質的に3400の打点を持つ下級モンスターで、大体のモンスターは戦闘破壊でき、《ヒュグロの魔導書》との相性も良いです。
とはいえ、莫大なライフコストを必要とするため一デュエルで起動できるのは最大で3回までで、《お注射天使リリー》を据えた息の長いビートダウンは有り得ません。《お注射天使リリー》を使用する場合は早めに決着をつけるか、《お注射天使リリー》は使い捨てとみて他の攻め手を用意する必要があります。早期決着を迫られる性質は若干《魔導書院ラメイソン》との相性が悪いです。
効果の使用可能回数が限られている性質上連続攻撃に弱く、3回以上殴られる場合はそのまま敗北に直結することもあります。
例えば、わかりやすいのが対ヴェルズで初動《ヴェルズ・オピオン》に対してぶつけた後です。まず《ヴェルズ・オピオン》に対してまず2000ポイントを支払って戦闘破壊、返しに《ヴェルズ・ケルキオン》から《ヴェルズ・カストル》、《ヴェルズ・サンダーバード》の3体が展開され全てアタックされたとします。これら全てに効果を使うと効果使用回数が4回になりライフが無くなるので、戦闘破壊されることは確定です。どこで維持を諦めてもライフは大きく減り、連続攻撃への脆さが出る形になります。
なお、レベルが低く、単騎でもそれなりの戦闘力を持っているので《魔導書院ラメイソン》から引き出すには手頃なモンスターです。

§3:罠

魔導においては《ゲーテの魔導書》がサーチでき、《トーラの魔導書》も含めて魔導書の中で罠的な役割を担う防御システムが構築されているため、罠の比重は他のデッキと比べると小さいです。
しかし、
1.魔導書は魔法使い族を必要とするため、《魔導教士 システィ》の効果を使用した直後や魔法使い族を除去された場合など、魔導書が使用できないシーンが存在する
2.サーチして場に置く魔導書は相手からも見えているため、意表を突きにくい
3.魔導書は1ターンに1枚しか使用出来ず、それを超える除去・物量で攻められた場合防御出来ない
4.《ゲーテの魔導書》を最初から最後まで毎ターンコンスタントに発動していくことは難しい
5.求められるスペルの性質自体が魔導書に無いものであることがある
などの理由から、罠を採用する必要はあると思います。
相手が《ゲーテの魔導書》を超えるためにモンスターを大量に展開してくることは十分に有り得るため、そこを刈ることの出来る全体除去はそれなりに相性が良いです。

§4:デッキ相性

最後に少しだけ環境デッキに対して思っていることを書きます。

・水精鱗
多段攻めを体現したようなデッキで、場を荒らすことに長け、《ゲーテの魔導書》を踏み越えることも得意です。ゲームスピードも速く、常にワンショットを成立させられる見込みがあり、全体的に相性が悪いです。
《スケープ・ゴート》《和睦の使者》などでなんとか猶予ターンを捻出していきたいところです。

・ヴェルズ
多くのデッキがそうであるように、対ヴェルズは《ヴェルズ・オピオン》をどう攻略するかというところに帰着されてきます。
《魔導法士 ジュノン》をアタッカーとして据えている場合、メインアタッカー間の相性は不利です。《ヴェルズ・オピオン》を弾く手段には《ゲーテの魔導書》や《お注射天使リリー》、《ヒュグロの魔導書》がありますが、《ゲーテの魔導書》は《侵略の汎発感染》、《お注射天使リリー》《ヒュグロの魔導書》は禁じられた系のコンバットトリックや《安全地帯》で対応が可能で、いずれもヴェルズ側のリソース次第で対応される可能性があります。《侵略の汎発感染》を枯渇させれば《ゲーテの魔導書》が通るようになるので、なんとかして死ぬ前に《ゲーテの魔導書》を通せる状態に持って行けないだろうかとか考えています。

・征竜
最近登場し、大抵の征竜で出せるようにチューニングされている《神竜騎士フェルグラント》が脅威です。
《閃b竜 スターダスト》にも《幻獣機ドラゴサック》にも問題なく対応出来る《ゲーテの魔導書》ですが、唯一《神竜騎士フェルグラント》に対しては見てからの効果起動が間に合ってしまうため1枚では解決出来ません。《魔導法士 ジュノン》やスペルなどの除去を重ねることで処理出来ますが、処理出来るかどうかは魔導側の引きに依存するところがあります。独特のセコい粘り強さは相変わらず健在で、あまり処理に多くのリソースを割くわけにもいきません。

・炎星
有利だと思います。
基本的に魔導は低〜中速の罠系ビートダウンに対しては有利です。

おわりです。
ラベル:魔導
posted by LW at 22:28| Comment(2) | カード考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月15日

【カード考察】しっぺ返し

☆《しっぺ返し》
カウンター罠
自分の墓地に存在する魔法・罠カードと同名のカードを相手が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、この効果で発動を無効にしたカードと同名のカードを自分の墓地から選んで手札に加える事ができる。


ABYSS RISINGで登場するカウンター罠。
《スターライト・ロード》《リ・バウンド》の流れを汲む、発動条件が厳しい代わりにアドバンテージを得られる新しいタイプの汎用カウンター。発動時にアドバンテージが確定するタイプのカウンターは、従来のカウンター罠と同様に「マストカウンターを潰す」以外にも「発動出来る時に発動してアドバンテージを得る」という使い方が出来るのが大きな特徴。特に《しっぺ返し》は同名カードを要求する性質上、特定の対象を狙ってカウンターするという使い方が難しいため、後者の使い方が主となり、「発動可能か否か」が大きな争点となってくる。

発動条件は
 ・自分の墓地に相手が発動した魔法・罠カードと同名カードが存在すること
だが、実際に運用する際は相手がカードを発動するよりも自分の墓地にカードを置く方が早いため、
 ・自分の墓地に置かれている魔法・罠カードと同名カードを相手が発動すること
と言い換えた方が適切であろう。
直接魔法・罠を墓地に置くような工夫をしない場合は「自分が一度発動すること」が実質的な条件となってくるので、それも意識してカードを動かしていく必要がある。例えば、《強欲で謙虚な壺》であれば発動タイミングを選ばないので墓地に置きやすいが、《強制脱出装置》など受身のコンバットトリックは無理やりにでも発動しなければ《しっぺ返し》のカウンター圏内にならない。転ばぬ先に《しっぺ返し》の対応幅を増やしておくか、より適当なシーンまで温存するかという選択が迫られてくる。
また、【ライトロード】を代表に、《カードガンナー》《名推理》《モンスターゲート》などデッキから墓地にカードを送る戦術を擁するデッキでは、発動を経由せずとも直接墓地に魔法・罠カードが増えていくので、《しっぺ返し》を強く使いやすい。

カウンター対象については、採用率の高いカードが大きな狙い目となってくる。採用率の高いカードは大抵カードパワーが高く、特に《しっぺ返し》を意識してカードを選択せずとも対象になってくる魔法・罠カードも多い。
まず、《大嵐》《月の書》《死者蘇生》《ブラック・ホール》といった制限カード。回収した時のリターンが大きく、相手が手札に握る可能性も高いが、実際に《しっぺ返し》でカウンター出来るかどうかは、相手よりも先に引けるかどうかの引き勝負となる。カウンター対象の指定が「魔法・罠カード」と緩いため、どれか一つでも先に墓地に置ければそれがそのままカウンター圏内に入るのが魅力。
次に、《サイクロン》《強欲で謙虚な壺》といった無制限カード。デッキによっては採用しない場合もあるが、大抵相手は複数枚採用しているであろうから、カウンターの機会が制限カードよりも増えてくる。《しっぺ返し》を採用するならば、最大枚数まで投入しておくのが無難。

相手に同名カードを要求する都合上、同名カードを多く使用するミラーマッチで特に有効。
汎用性の高いカード以外にも同名の魔法・罠カードを複数採用するデッキであれば、より《しっぺ返し》によるカウンターを行う機会も増え、なお良い。
しかし、《しっぺ返し》には弱点がいくつかあり、弱点を突きやすいデッキに対しては有効に働きにくい。
弱点の一つは、魔法・罠カードしかカウンター出来ず、効果モンスターには対応出来ないこと。どんなに墓地を溜めようとも効果モンスターには《しっぺ返し》は発動出来ないまま破壊されてしまうため、魔法・罠を除去する効果モンスターを擁するデッキには《しっぺ返し》の採用は適切では無い。
二つには、墓地が溜まってきてから確率的な噛み合わせでカウンターを行うため、墓地が肥えていない序盤では真価を発揮出来ないこと。高速でライフを削ることが可能でデュエルのスピードが速いデッキに対しては有効性は若干落ちる。
 ・専用の、相性の良い魔法・罠カードを複数採用する
 ・魔法・罠を除去出来る効果モンスターが存在しない・少ない
 ・デュエルのスピードがそれ程速くない
あたりを条件にミラーマッチでの採用を考えると良いだろう。

冒頭では軽く流したが、対応幅とコストの軽さを強みにして特定の魔法・罠をカウンターする使い方も可能ではある。
ピンポイントで墓地に魔法・罠カードを落とす効果を持つカードには、《ラヴァルバル・チェイン》や《マジカルシルクハット》がある。
posted by LW at 01:34| Comment(0) | カード考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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